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[創作大賞感想] 蒼龍 葵さん著『砂の城』/フェティシズムに突き動かされて生まれた物語は強いのだ!

蒼龍 葵さんの『砂の城』を読みました。

ネタバレなしで感想を書きたいと思います。

『砂の城』は兄妹の間で起こる恋愛の物語です。

いわゆる禁断の恋。

実兄の忍を愛している妹の麻衣が、事故で記憶を失ってしまった兄の前に “私はあなたの恋人だよ” と何もかもを偽って現れます。
ダメダメダメだよそんなこと~。と思いながらも、ぜひ読み進めてほしいのです。

たくさんの物語を読んだり観たりしていると、だんだんと自分の “好き” の傾向がわかってくるものです。

その中でもどういったシチュエーションの恋愛に萌えるのか…つまり、自分のフェティシズムを知る・認めることで人生がより楽しくなります。

フェティシズムに突き動かされて生まれた作品は強いです!

私の専門は “幼馴染” です。
少年が大人になっていく過程がメタモルフォーゼというか、全くの別物になっていくようでたまらないというかなんというか。

だから子供のころから知る二人が思春期を経て大人の関係になっていくのに激しく萌えるのです。

“兄妹恋愛” というのは、それの究極の世界なのかなと思います。
禁断の愛としても究極の設定なのではと思います。

究極×究極。すなわち、超絶究極に萌えるのが、実の兄妹の恋愛ストーリーなのです。

ちなみに、こういった萌えの傾向と、現実世界とは必ずしもシンクロしないということを言っておきますね。
BL好きの男子が必ずしも100%ゲイではない…というのと同じです。

これはファンタジーなのです。

多くの恋愛小説がそうであるように、ファンタジーなのです。

だから、“兄妹恋愛” と聞いて構えてしまった人がもしもいるとしたら、今着ている倫理観を脱ぎ捨てて丸腰で読んでみてください。

…そうやって勧誘したくなるほどに、この物語はドロっとしてズブズブと足が沈んでいくような沼っている世界なのです。
純愛なのかもしれないけれど、闇も深い。呪いにも似た執念。暗闇を迷走するけれどどこか清い。

たとえ兄妹恋愛フェチでなくても、人間ドラマにはまってしまうことでしょう。

蒼龍 葵さんのあとがきも読ませていただきましたが、このお話は長い年月をかけて暖められてきたものだそうで、この兄妹への思入れの強さをうかがい知ることができました。

この二人の世界を完結させてあげたい…そんな蒼龍 葵さんの想いが詰まった作品でもあるのです。
だからなんですね。読んでいるうちに麻衣の念に溺れそうになりました。何年も何年もかけて練り込まれた愛情にわたしは溺れた…!!!

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