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ジャンボリー和菓子 上

1分小説
この物語は2章構成になっています!


第1章: 消えた「つばめ饅頭」


里田瑠璃は、東京の下町にある老舗和菓子店「つばめ堂」で働いている。28歳の彼女は、店主の息子である篠崎亮と共に、伝統の味を守り続けていた。


瑠璃は色彩の資格を持っており、季節ごとに変わる店の和菓子を華やかに彩るセンスには定評がある。特に人気なのが「つばめ饅頭」。つばめの形をした小さな饅頭で、和菓子を愛する多くの人々に愛されていた。

しかし、ある朝、瑠璃がいつものように店に出勤すると、棚に並べていた「つばめ饅頭」がすべて消えていた。

亮も驚き、すぐに店内を調べたが、泥棒が侵入した形跡はなく、警察に通報することをためらっていた。彼は言った。「これは誰かのいたずらかもしれない。もう少し様子を見よう。」

その日から、瑠璃の心に不安が広がっていく。店には不審な来客が増え、彼らは饅頭が消えたことを知っているかのように、何度も店を訪れては、瑠璃に奇妙な質問を投げかけた。

「何か、見たかい?」
「この店には秘密があるんだろう?」


瑠璃は戸惑いながらも、店を守るために気丈に振る舞った。

その夜、瑠璃は店の裏にある古い倉庫を訪れた。何か手がかりがあるかもしれないと思ったのだ。埃だらけの棚を探していると、1冊の古い帳簿が見つかった。

それを開くと、何年も前の売上記録がびっしりと書かれていたが、あるページで突然、文字が途切れていた。


そしてその次のページには、血のような赤いインクで、ただ一言「つばめ」の文字が書かれていた。瑠璃は背筋に冷たいものが走るのを感じた。


つづく


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よろつよ


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