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hakanai yume 下

1分小説
この物語は2章構成になっています!


第二章: 忌まわしき過去


翌日、瑠璃は影の囁きに導かれるように、幼い頃に住んでいた古い家へと向かった。その家は今や廃屋となっており、人の気配はなかった。瑠璃は心の中に沸き上がる不安と共に、その家を探索することにした。

家の中を探し回るうちに、彼女は地下室への扉を見つけた。錆びた鍵を開けると、地下室にはかつての家族の思い出が詰まっていた。しかし、その中には瑠璃の記憶にない写真があり、それは彼女が赤ん坊の頃のもので、母親と見知らぬ男性が写っていた。瑠璃はその男性が誰なのかを知らなかったが、写真の裏には「真実を見つける時が来た」と書かれていた。

その瞬間、瑠璃の背後で何かが動く音がした。振り返ると、影が再び現れ、彼女に語りかけた。「私はお前の父だ」と。影は続けて、かつて自分が悪魔の契約によって影の存在となり、家族を守るためにその姿を隠し続けたのだと告げた。瑠璃の母親はその真実を隠し、瑠璃には普通の生活を送らせようとしたが、影は常に彼女を見守っていたという。

瑠璃は父親の影と対話を続け、彼を解放する方法を探すことを決意した。影は、彼をこの世から解放するには、かつての契約を破棄する儀式を行う必要があると教えた。そして、その儀式のためには、瑠璃が自らの血を捧げる必要があると言った。

恐怖と悲しみを抱きながらも、瑠璃は父親を救うためにその儀式を行った。影はやがて薄れていき、瑠璃に最後の言葉を残した。「ありがとう、瑠璃。これでやっと、私は安らかに眠れる」。影が消えると同時に、家は崩れ去り、瑠璃はその場に泣き崩れた。

儀式の後、瑠璃は店に戻り、和菓子作りに再び取り組んだ。彼女は、父親が常に見守ってくれていることを感じながら、その日々を過ごすこととなった。影の囁きはもう聞こえなくなったが、彼女の心には常に「はかない夢」のような記憶が残っていた。




おわり


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よろつよ


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