利休の夢 下
１分小説
この物語は２章構成になっています！
第二章: 和菓子の彩り
夢の世界を進むにつれ、瑠璃は自分の心が和菓子の色彩に映し出されていることを理解した。最初に出てきたのは、淡い桜色の練り切りだった。春の訪れを感じさせるその色は、瑠璃が常に抱えていた「新しい始まり」への期待と不安を象徴していた。瑠璃は、利休の教えを思い出し、その練り切りを慎重に作り直した。桜色はより鮮やかになり、練り切り自体が生命を持ったかのように輝いた。
次に現れたのは、深い緑色の羊羹。これは瑠璃の心の奥底に潜む孤独感を表していた。彼女は独身で、友人も少なく、仕事に没頭するあまり、自分自身を見失いかけていた。しかし、羊羹の緑が持つ落ち着きと安定感に触れることで、瑠璃は自分の内面に少しずつ平穏を取り戻していった。
最後に現れたのは、黄金色のどら焼きだった。これは、瑠璃がこれまでの努力や努力に対する報いを受け取る準備ができていることを示していた。どら焼きの黄金色は、彼女の未来に希望と明るさをもたらし、その甘さが彼女の心に安らぎを与えた。
利休の夢の中での旅が終わりに近づくと、瑠璃は自分が和菓子を通じて心の平穏とバランスを取り戻したことを感じた。そして、最後に利休が現れ、静かに微笑んだ。
「貴女はよくやりました。この夢の中での経験を現実の世界でも活かしてください。」
その言葉とともに、瑠璃は再び意識を失い、目を覚ました。彼女は元の和菓子屋の片隅で、古い本を握りしめていた。ふと、店の外を見ると、夕日が黄金色に輝き、まるでどら焼きのようだった。
瑠璃はその光景を見ながら、心の中で何かが変わったことを確信した。そして、これからは和菓子を通じて自分の心と向き合いながら、新しい日々を迎えることを誓った。
おわり
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よろつよ
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