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ブルースター 下

1分小説
この物語は2章構成になっています!


第二章:願いが叶うとき


その男性が再び店に現れたのは、それから一週間後のことだった。彼はまたブルースターの和菓子を買い求め、今度は店の外にある小さなベンチに腰掛けて、それを静かに味わっていた。

瑠璃は、ふとその姿が気になって外に出た。彼は一人、穏やかな秋風に吹かれながら、じっくりと和菓子を楽しんでいる。その表情には、何か深い考えが隠されているようだった。

「すみません、失礼します……」
瑠璃が声をかけると、彼は顔を上げて柔らかく微笑んだ。
「こんにちは。またこのブルースターをいただいているんだ。少し話してもいいですか?」

二人はしばらく和菓子の話をした後、彼は静かに話し始めた。数年前に妻を亡くし、彼女の好きだったブルースターの花を、ずっと手にしていたこと。二人の思い出が詰まったこの花を見かけるたびに、彼女のことを思い出してしまうこと。瑠璃はその話を静かに聞いていた。彼の言葉には、何か自分にも通じるものがあると感じていた。

「和菓子って、不思議だよね。甘さだけじゃなくて、何か温かさがある」
彼の言葉に瑠璃は小さく頷いた。
「それが和菓子の良さだと思います。花のように、誰かの心にそっと咲くような……」

その日、彼は一つの小さな願いを瑠璃に打ち明けた。「また誰かと一緒にこのブルースターを味わうことができたら、それが願いだ」と。

時が経ち、彼は和菓子屋に通う常連客となり、瑠璃と共に季節の移り変わりを感じながら、少しずつ心を開いていった。彼が望んだ「誰か」は、もしかすると瑠璃だったのかもしれない。そして、ブルースターは二人の心を繋げる小さな架け橋となっていた。

秋が深まる頃、彼はそっと瑠璃に一輪のブルースターの花を差し出した。
「君のおかげで、願いが叶ったよ」
瑠璃はその言葉に、優しく微笑みながら青い花を受け取った。



おわり


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よろつよ


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