国道4号「盛岡南道路」を探る(2)予定線の今を訪ねて・上
盛岡と矢巾を結ぶ予定の国道4号のバイパス・盛岡南道路は、まだ工事の準備が本格化する「事業化」が始まる直前ではあるが、大体のルートが明らかになっている。盛岡友愛病院そばの西バイパス南口交差点をスタート地点に、図面を基に「だいたいこの辺を通るのだろうな」と思う場所を辿った。(前回はこちら)
※ 以下「予定線」という言葉を多用していますが、ルートに関して詳細な決定がなされている訳ではなありません。今後の工事の準備過程で変更となる可能性は十分にあり、「もし現在の公開資料の通りに工事が進んだら」との仮定から記事を執筆しております。ご注意ください。
予定線の始まりは西バイパス南口
みなさん御存知、盛岡市永井の西バイパス南口交差点に自転車でやってきた。
国道46号の盛岡西バイパスは、本宮交差点で直角に折れてから真っ直ぐな道が続く。ただ、盛岡友愛病院の近くで南インターから来た県道とぶつかって終わる。
国土交通省によると、この交差点から盛岡南道路が始まる予定という(道路管理上、正確にはここは起点ではなく終点になるようだ。矢巾側が起点になる)。
西バイパス南口の交差点は、完成してまだ10年も経っていないが、すっかり交通の要衝になっている。交差点から津志田の国道4号に向かう県道36号は、現在は国道46号にも指定(格上げ)されている。
国道だけで矢巾、紫波、花巻方面に行く場合は、ここを左折しなければならない。
現在の国道4号へと向かう大量の左折車両を横目に、盛岡南道路が接続するという正面の方向を見る。少々既存の建物が見えるが、雪の積もった田んぼが多い。奥に見える横に長い建物は盛岡市中央卸売市場だ。
予定線は、卸売市場の東側に引かれている。資料によると、西バイパス南口交差点を立体交差の橋でパスした後、卸売市場の南東角に向かって南進するルートだという。交差点を渡って少し先に進む。
右に見える卸売市場、左は球技場
交差点を南に渡り、以下の地図(これは北が上)のように現地を巡った。
西バイパス南口交差点の先、斜め右前方向に進む市道から、盛岡南道路が通ると思われる左側の空間を眺める【A地点】。卸売市場の建物からは若干の距離がある。国土交通省の公表資料を見ると、予定線は左奥の携帯電話基地局の方向に進むらしい。
砂利敷の農道を右左折しながら、上の写真で見えた携帯基地局のすぐ横【B地点】に来た。「鹿妻本堰」という水路が流れていて、向こう側は矢巾町だ。国交省の資料では、このあたりに長さ70mの橋を架ける予定だという。この水路を渡るのだろう。
映っていないが、そばに歩行者用の橋が架かっていて、ありがたく利用させていただく。渡河地点のすぐ左側は南公園の多目的広場で、右側は卸売市場の敷地のちょうど南東角。A地点から南進するほど、両側から公共施設の敷地が迫ってきて、ここにしか道路を作れる空間がなさそうに見える。
水路を渡った先【C地点】。予定線の方向には小高い丘が見える。資料によれば、南道路は西バイパスからこの丘までわずかにアップダウンしながらも盛り土の上を走るようなので、急な上り坂になることはなさそうだ。
多少家が建っているが、丁度良く空き地があるように見える。既存の建物に影響がないようなルートで工事されることを願う。
丘を登って「農免道」に合流する
少し遠回りして丘を登ると、視界が開けた【D地点】。遠くに岩手流通センターの倉庫群が見えるものの、自分の周りは殆ど田んぼである。10mもない高低差だが、ここまで景色が変わるものなのだと驚く。
そこまで遠くない場所に県道120号の交差点の信号機が見える。
県道120号の交差点【E地点】にやってきた。西バイパス南口交差点を右斜め前方に進んで市道に入ると、卸売市場の西側を回り込んで、結局この交差点に着く。市場の逆サイドを通ってショートカットする盛岡南道路は、ある意味では既存の市道のバイパスとも言える。
既存の市道でもこれだけ交通量がある。南道路ができたら相当な車通りになりそうだ。
県道交差点から、西バイパス南口方向(盛岡市街方向)を振り返る。市場は高低差による死角に隠れていると思われる。携帯基地局は思ったよりも右にある。ちょっと予定線が描けない。
とはいえ、カメラでズームすると西バイパス南口まで見通せる。初めて知って驚いた。思っていたよりも2つの交差点は近かったようだ。ここからダイレクトに友愛病院の辺りまで行けるなら、非常に便利だと思う。
この交差点の南側からしばらくの区間、盛岡南道路は県道120号と同じルートを辿る。事実上、この区間は国道4号に昇格する形になるのだろう。
次回に若干触れるが、この道路はかつて「農免道」と呼ばれていたらしい。要するに、農道だったのだ。
農道が県道に昇格し、そう遠くない未来に天下の国道4号になるのだという。出世街道という言葉があるが、街道の出世である。
おめでとう、農免道。