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オムライス

 誰しもが好きな食べ物や料理、お袋の味や思い出の味というものがあると思う。自分にもある。「オムライス」だ。

 ラーメンやお寿司など好きな食べ物をあげればキリがない。そんな中でNo. 1はオムライスなのだ。

 しかし普段は全くと言っていいほど食べない。母親が作ってくれた記憶もない。幼少期には作ってくれていたかもしれないが、少なくともここ10年は作ってくれたことはなく家で食べたことがない。そんなオムライスをいつ食べるのか。それは決まっている。

好きな人とご飯を食べにいくときである

 これには理由がある。オムライスを好きになった理由が好きな人と食べた時だったからだ。これを加味するともしかしたら「オムライス」が好きなのではなく、「好きな人と食べるオムライス」が好きなのかもしれない。それもあるかもしれないが、結局はオムライスが普通に好きだ。

 いろいろなオムライスを食べてきて気が付いたことがある。当たり前だといわれればそれまでだが、オムライスは店舗によって様々な味、見た目がある。いわば十人十色、人間のようなものである。
 自分の好きな人自体はずっと変わらない。ただ、見た目や年齢、その人の考えていることやその人を想う気持ちは日々変化していく。全く同じということはなくオムライスと同じようなものだと思う。

 そんな好きな人とオムライスを食べるということは一期一会のような気がする。変化していく好きな人との関係と、場所によって様々な味のあるオムライス。その2つが組み合わさることに魅力を感じている。
 別にオムライスではなくカレーなどでもいいのだが、いかんせんオムライスを好きな人と食べたので自分の中ではオムライスしか考えられない。

 そんな理由からオムライスは好きな人としか食べないと決めている。好きな食べ物なのに変な制限を設けていることを疑問に思うかもしれないが、オムライスを食べれるということはそこには好きな人がいるということになり、一層美味しく感じられるのではないかと考えている。もしかしたら緊張して味を感じないかもしれないがそれでもいい。好きな人といることに変わりはないからだ。

 もう1年近くオムライスを食べていない。一応コロナ禍のせいにしている。次食べられる日はいつだろうか。次食べるオムライスはどんな味なのか、そんなことを考えながら日々を過ごしている。 

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