会える時に会っておく
はじめてこう思ったのは今から6年ほど前の2014年のことである。友人とディズニーで遊んでいた時に父方の祖父が亡くなった。当時祖父は老人ホームで暮らしていて、その側を通学で毎日通過していた(電車で)が、その日に限って「あぁここにおじいちゃんがいるんだ」と思いながら通過した。
夕方、母から「早く帰って来れるか」と連絡があった。何故だか分からないが祖父が亡くなった気がした。きっと朝に祖父のことが頭をよぎったからだと思う。予想は当たっていた。
しばらくしてから祖父が倒れた時刻を教えてもらうと、自分が老人ホームの側を通過してから30分も経っていなかったことが分かった。虫の知らせだったのかもしれない。
祖父が亡くなってからしばらくの間後悔した。一見頑固で厳しい人のように見えて、孫の自分にはとても優しかった。そんな祖父といつでも会える範囲にいたのに全く会わず、二度と会えなくなってしまったからだ。そこではじめて「会える時に会わないと後悔する」と思った。
人間はいつ死ぬか分からない。いま側にいる人、愛する人、家族、友人が明日にはいないかもしれない。
2014年からそう思って過ごしてきたが、時間が経つと次第に忘れていった。そしてまた同じような後悔をした。2年前、母方の祖父が亡くなった。またしても会える範囲にいたのに半年間も会っていなかった。
本当に後悔した。もっといろんなことを話したかったし一緒にご飯を食べたかった。また同じことをしてしまったという自分の不甲斐なさに押しつぶされそうになった。
追い討ちをかけるように、大学のテストと被ってしまったためお葬式にも出ることができなかった。最後のお別れは講義に行く前に、棺に入って穏やかな顔で眠っている顔を少しだけ見ただけだった。こうして文章にしていると改めて本当に申し訳なかったと思う。
あれから2年。三度同じような後悔をしてしまうのではないかとオドオドしている。コロナ禍で気軽に会いに行けないのは重々承知だが、できる限り祖母に会いたい。祖母が元気なうちにコロナがなくなることを願っている。
「会える時に会わないと後悔する」
絶対に忘れてはいけないこの言葉を胸に刻みながら生きていこうと思う。
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