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ターニングポイント

 人生においてターニングポイントは必ずあるだろう。それはいつあるのか分からないし、1つとは限らない。自分は既に1度経験している。それは、

クラブを移籍したことだ。

 高校2年の秋、3歳から通い小学1年生から選手として育てていただいたクラブから移籍した。選手として成長したいと思ったからだ。

 高校1年生になった時に移籍のことを考えはじめたが、決断するまでに時間がかかった。その理由は長年選手としてクラブにいたため自然とリーダー的存在になっていたからである。
 もう一つ悩んだ理由がある。それは、「このままクラブに残れば楽だな」と思ったからだ。

 言い方は悪いが、正直クラブに張り合える存在はいなかった。ベストタイムは近くても練習相手としては物足りなかった。そんな環境に満足していない自分と、一番速いという優越感を持った自分がいた。自分に合わせた練習メニューを作ってもらっていたりもした。天狗のような存在だったのかもしれない。
 

 最初に移籍のことを考えてから約1年半。移籍することを決断した。結果が出せなかったからである。
 当時結果を残さないことをコーチや環境のせいにしていた。多少は関係あったかもしれないが明らかに自分の努力不足だった。自分の非を認めたくなかったから逃げたのだと思う。

 
 正直クラブを移籍することは怖かった。成長したいと思っていたが、心の隅では環境を変えることへの不安はあった。だが後悔したくないから移籍を決めた。結果として良い選択だったと思う。

 良い選択と一言で言ってしまうと、元々いたクラブが悪いように思えてしまうが決してそういう意味ではない。自分が言いたいのは、移籍しなければ関わることの出来なかったら人たちと出会えて、人として成長することができたということである。
 選手として成長したかったのであれば、実績のあるコーチとチームメイトに囲まれて練習できるため、高校1年生の時に移籍するべきだったのは間違いないだろう。ただ、悩んだ末に移籍したからこそ見える景色もあった。移籍して選手としてはもちろんのこと、1人の人間としても成長することができた。だから良い選択だったと言える。

 ただ、良いことだけだった訳でもない。いくつか失ったものもある。まず「信頼」である。

 移籍する時、担当コーチと揉めた。5年以上教わり、全国まで連れて行っていただいたコーチや一緒に練習していた仲間にも相談せずいきなり移籍することにしたからである。当時を思うと身勝手なことをした思うが、そのときは自分のことしか考えられなかった。もともと信頼されていたかどうかは分からないが、少なくとも信頼されることは無くなった。

 もう1つ失ったものがある。彼女だ。
失ったという表現は間違えているだろう。なぜなら自分から別れを告げたからだ。移籍して練習に集中したいと言う自分のわがままで別れた。しかもLINEを送るだけで電話すらしなかった。最低だ。
 これまた自分のことしか考えず、相手のことを全く考慮していなかった。若かったからで済まされるような内容ではない。本当に反省している。

 これが自分のターニングポイントである。
得たものと失ったもの、それぞれ数え切れないほどあるが、環境を変えることでコミュニティが変化し自身の成長につながることに気づけたこと、自分のことだけを考えて生きていたらダメだということに気づいたことが1番大きい。

 またいつの日か人生のターニングポイントに出くわすだろう。そのときはできる限り失うものを少なくしたいと思う。できれば何も失いたくはない。

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