あの指に帰りたい~優季の場合②~
薫さんのマンションはうちからさほど遠くなく、歩いても二十分ほどのところだった。
一人暮らしとは思えないほど広くて、家具もモノトーンで落ち着いたデザインだった。
物はあまり持たない主義なんだろうか。生活に最低限必要なものしかないからか、広い部屋がより一層広く見えた。
「暑かったねー。優季ちゃんアイスティーでもいい?コーヒー切らしちゃってるの忘れてたの。」
薫さんはエアコンの温度を下げながらキッチンからこっちを覗き込んだ。
「はい!私家ではいつもアイスティーなんで、ありがたいで