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ピンポイント指さし恐怖症

世の中にはいろんな恐怖症があるが、私はピンポイントに恐怖を感じる瞬間がある。

よくあるこんなシチュエーション。
おしゃべりをしていて誰かの発言に同意する時、その発言者を指さしながら「それそれ!」と言う。

私はこの「それ!」と言いながら急に指をさされた時に、相手の腕がもげるほどの勢いでバチコーーーン!と叩き落としてしまうことがある。

咄嗟に手が出てしまいそのうえ自分でも思ってるより速くて強いので「火事場のくそ力」とはコレのことかと思い当たる。
一瞬のコトで状況がつかめず、相手も自分もビックリを通り越して笑い出すほどである。

「ごめんごめんごめん、コレよくあんねんけど叩いちゃうのごめん。瞬時に手が出てる、自分でもわかってるけど止めらんないのよ叩き落としちゃう、たぶん怖いんだと思うけど…なんせ一瞬の出来事でさ…自分でもなんで叩き落とすんだろ、て思うねん。ゾワッてするけど何にゾワッてしてるのかずっとわかんない」
「指さされんのがイヤなん?ごめんごめん」
「いやいや、そうじゃないねんよ。黙って指さされても全然ヘーキやねんけどな」
「それはヘーキなん?」
「指をさされてこの反応になる、てコトではないのよね。反射なのよ、自分で意識してる行動じゃない、熱いの触ったら手を離すやろ?アレと一緒で、反射でやってる。熱いのは火傷を避けるためなのはわかるけど、コレは何を避けてるのかがわかんない…私に何らかの害があるんかなァ」

多くの人に「先端恐怖症ではないか」と言われたが、鉛筆やペンといった細長い物を自分に向けられても何の反応もしないし、指をさされて毎回叩き落すということでもない。
「それそれぇ~」と間延びしたカンジで言われて指をさされても叩き落すことはない。
かといって「それ!」と言いながら指をさされたら必ず反射的に叩き落とすわけでもない。

「それ!」と強く言っているのと指をさすタイミングなのだと思うが、それらがミックスされて一定の条件を満たすと「瞬時に叩き落すほど怖い」と思っている感じがする。
セリフは「それ!」か「それそれ!」の時に恐怖を感じていると思う。

しかしその恐怖は一瞬で終わり、叩き落したら完結するので「たぶん怖いからだと思うんだけど…」とじつは恐怖かどうかにも自信はない。
ゾワッとするから恐怖感なんじゃないか、と推察する程度である。

学生の時にはクラスメイトが私のこの「叩き落す条件」を特定しようと色々と試したこともある、友人はいろんなタイミングで私に指をさし「それ!」とか「それそれ!」とか言ってみたが何も起こらなかった。
つまり、私自身が指をさされることを知っている状況で指をさされたとて、反射的に叩き落すようなことはしないのだ。
指は「不意に」さされなければ、ならない。

一度だけ違う条件で似たような反射を繰り出したことがある。

何人かの生徒で集まって「グーとパーで別れましょ!」とグーパーをしていて、グーとパーがよき人数で決まった時に、私の向かいにいた男子生徒が私と同じグーを出していて、そのグーのカタチから人差し指を出して私に向かって指をさしたのである。
彼にしてみれば「同じチームだ」との軽い確認だったと思うが、私は反射的に彼の人差し指を強く握っていた。

「腕を叩き落とす」以外に「さされた指を握る」という反射もある。
私に何らかの害があるのかどうかはわからないが、反射的に反応する時にはゾワッとしていることだけは確か。

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千徒馬丁
サポートをしていただいてもいただかなくても文章のクオリティは変わらない残念なお知らせをしますこと、本当に残念でなりません。 無料の記事しか公開しませんのでいつでもタダで読めます。 この世にはタダより怖いモノはないらしいので記事ジャンルはホラーてことで。