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ザキ病に罹患して早43年
「コレ、お皿ね」
6月、孫の誕生日のお祝い金を持参した義母が、新鮮な野菜と果物の救援物資の中から「約束してた例のブツだ」みたいなノリで私に握らせた白いブツ。
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ヤマザキ春のパンまつりの白い皿
私は毎年、春の2か月強、ザキ病に罹っている。
別居の義母に協力をお願いしたことは一度も無いはずだが、夫の実家にあるパンから点数を盗む私の手癖の悪さがバレて、会社の若い子に差し入れしているパンを春はヤマザキパンに切り替えて義母が、ここ数年白い皿をプレゼントしてくれる。
2月~4月は意識的に食べるパンを第一パンでもイケダパンでもフジパンでもパスコでもなくヤマザキにシフトして点数シールを集める重度のザキ病を43年も患っているおかげで、私は5月病とは無縁だ。
春のパンまつりのキャンペーンが始まった43年前は6才であったが、私の主食がパンなのでザキ病を発症した母の症状緩和に既に一役買っていた。
母子二代に渡る遺伝病なのだ、ザキ病は。
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せっせと集める0.5点~1.5点この小数点以下があることで計算がしにくいが、食べてるパンのシールにおおかた小数点以下が付いてくるからしゃ~ないよね。
30点で皿ひとつだからすんげぇ時間かかんのよ。
発症当時は20点で一皿だったのに25点で一皿30点で一皿と、どんどんレートは上がっている。
偏食の私は食べられるパンの種類が限られている。
対象商品のうち6商品、うち1つが食パン。
5種類のパンで2か月間まわすので、精神的に無理をしてヤマザキを選ぶ。
同じパンが続いて食がすすまない感アリアリで食べる日もある。
そうすると夫が言うのである。
「皿が欲しいなら金払って白い皿買って自分が食べたいパン食べろよ」
そ~~~~~じゃナイんだよね。
そーーーーーじゃナイんだよ。
正直買うくらいなら違う皿にする、白くなくてもイイしね。
同じようなボウルや皿に見えるのにビミョーにカタチが違うので、重ねて収納するとこうなる「ヤマザキの皿」は
![](https://assets.st-note.com/img/1717937117435-5CeCM2h883.jpg?width=1200)
水屋泣かせの白い皿。
まとまらないサイズの皿は床下収納に眠らせている。
言ってしまえば欲しいのは皿じゃない。
欲しいのは、誰が見ても「ヤマザキの皿」とわかる皿を、30点も集めてもらう「やっと」感。
と、その苦労。
に、高められる皿の付加価値。
の、わりにもらってから困る収納場所。
を、探し当てた時の達成感。
で、まぁまぁ場所を取る嵩の高さ。
な、くせして使うとけっこう便利な容量だったりする意外感。
これがヤマザキのパンまつりの白い皿の魅力なんだよ。
複雑な魅力を欲してやまない。
料理レシピを載せるCOOKPADでたまに使ってトップ画に据え、見た人に「ヤマザキの皿」と気付かせたい。
あわよくばザキ病末期患者に「これは1992年の皿」だとか「白い皿が3億枚突破した2005年の皿」だとかひっそりと利き皿してもらいたい。
「白い皿を買う」ということで解決する現象ではないからね。
世のダンナの皆さんは春に奥さんがザキ病に罹ったら、ほっとくかヤマザキパンを食べてやるかの二択でいくのが正解だと思う。
私はこの病のために、作業服を来てコンビニの前で立ってパンを食べている兄ちゃんなんかに、声を掛けたくなったりすんのよ「そのシール、要ります?」ゆぅて。
5分くらいで昼食が終わってしまう建設現場ぽい格好の兄ちゃん絶対いらないと思うの0.5点〜だったら私にちょーだいよ〜て言いたいんだけど勇気が出せない、だって近所だから。
世間体があるじゃない、家族てモンがあるしさ、ご近所さんに見られるリスクも。
歩いてコンビニまで来ている風の兄ちゃん、現場は近くのはずだ。
私が0.5点欲しさに声を掛けたら、現場仲間の中で「あのコンビニの前でパン食べとったらや~」とか噂される。
ほんで「ヤマザキばばぁ」てアダ名を付けられて、不審者扱いだな。
「ほらほら来た来たヤマザキばばぁ」と仲間内で罵られているとも知らず、それを息子の同級生とかがたまたま会社が休みでコンビニ前で目撃して東京の長男にLINEすんのよ。
「オマエのオカン、コンビニ前でヤマザキて呼ばれとったけど」
…いかんな。
声を掛けてはならぬ絶対に。
春はそんなジレンマと戦っていると訴えたら二男が、こっちは受け身に徹し、向こうから声を掛けてきてくれて0.5点をゲットする方法として「アナウンス風戦略」を提案してきた。
パターンは二つ。
「エスカレーターのアナウンスイオン編」子供への警告風でさりげなく。
「よそ見をしているそこのボク?あぶないですよ。エスカレーターから降りる時は、ポーンとまたいでくださいね」をアレンジ。
ヤマザキパンを食べてるそこのボク?シール付いてますよ。とくに必要がない場合は、ポーンと気前よく下さいね。
「ちりがみ交換風に不要物回収編」超ノロいスピードで自家用車を転がす。
「まいどお騒がせしております。ちりがみ、ちりがみ交換車でございます。ご不要になりました古新聞・古雑誌・ボロ切れなどございましたら、当方、高く、あ、高く、買取ります」
突然でビックリさせております。ヤマザキ・ヤマザキ春のパンまつりでございます。ご不要になりました応募シールがございましたら、当方、集め、あ、集めてございます30点。
捨てないで、ください、私に。
受け身なんだか捨て身なんだか。
「ゴミ置き場の掃除があってゴミ袋見た時に気付いてんけど、昼ごはんでヤマパン食べた人がシールごとゴミに捨ててんねん。ゴミ置き場にシール台紙置いといたらみんなシール貼ってくれる説」
「あるかもな~関西人なら。来年シレっとやってみる?」
2025年の春も私はザキ病を患う気マンマン。
まだ2024年の6月なのにね、気が早いし長患いだよねぇ。
#創作大賞2024 #エッセイ部門
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