
韓国の餅『トッ』の味の説明が出来ない件
「トッ食べますぅ?」
「何?とー?」
「トッ」
「と?」
「トッ『ト』に小っちゃい『ッ』トッ」
「き~たコトないそんな名前の食べ物」
「トック、のトッ。韓国の餅」
「あぁ~トックのトッな、聞いたことあるわ、トッどしたん?」
「もらった」
「誰に?」
「神父さん」
「なぜに?」
「ん~~~おいしい、から?」
「ちゃうちゃうちゃう、もらった経緯のほうやんか」
おいしいから食べ~ゆぅてもらったんは、わかっとんねん。
神父さんて教会の?キリスト教の?たぶん白人かな~て思ってるけど?
その人が韓国の餅をくれるにはそこそこ国を跨いでる可能性があるんだけども、日本から一歩たりとも出国していないアンタにまでその餅が回って来るには、経緯というものが要るだろうよ、経緯がよ。
「おいしいから」て理由だけで急に食べ物を渡されたら、くれた相手がいくら神父さんでも一服盛ってると疑わざるを得んぞ?
日本は平和な国だけど、そこまで開けっぴろげに平和ではないぞ。
「教会の掃除の仕事行ったやん?ソコの神父さんが中国人やねん。よくはわからんけど韓国に行ったのかな?それで『これすごくおいしい韓国のトッていうお餅~自然解凍だヨ、絶対にチンしたらダメだヨ』て3時間くらい前にくれてんけど、まだ凍ってんねん…」
「なかなかの情報過多やな」
「夕食の時くらいかな、食べれるん」
「そのまま食べる餅なん?」
「たぶん…きなこ的な何かが、かかってるから…」
「甘いの?」
「2種類あって、1種類は確実にあんこやと思うねんけど…コレ」

「デカッ!…へ?!神父さん、この量くれたん?餅てわかっててくれてるんやんね?」
「これ知ってる?すんごくおいしい韓国の餅~!てゆってたで?」
「わかってるよな…餅て…腹持ちええから2個も食べれば十分やけどな餅…味見にしては多くない?」
中国人の神父さんが「絶対に自然解凍で食べてネ」てくれたらしい韓国のお餅を半解凍で6人前ほど持ち帰って来た。
というグローバルな状況に、数々のカルチャーショックが混入している。
食べてみてネ~にしては多いが半解凍だからもぅ完食あるのみ。
中国の食文化だとこうなるのか…足らずよりは残すのを良しとするにしても多すぎる…もったいない文化の日本人にとっては悩める消費量である。
絶対にチンしたらダメだと釘を刺されているけれど、予定もあって留守にするので、二人がかりでも2~3日はかかってしまう…数時間で自然解凍が完了しあとは固くなってゆく一方…どうしたらいいんだ…アーメン。
「この白い粉は何やろな?」
「ちょっと舐めてみる?」

「…?!しょっぱい!何これ?!甘くないんや?じゃコッチ…あんこか?!」
「日本のあんことは色ちゃうけどコレはあんこやって」
「あんまあんこ食べたことないからわからんけど…コレ…あんこかなァ?あんこてこんな薄い色か?」
「でもほら…小豆やしサ」
「そやなァ…小豆ならあんこかァ…」
日本のとは違うけど小豆が見えてるし色も近いし、1つはあんこということでひとまず決着。
問題は「白いほうが何か」である。

きなこではないだろう、色からして。
ちょっと赤っぽい粉が混ざっているのは、あんこのほうと一緒に入っているからだと考えて本来は「白い何かがかかっている餅」なのだと思う。
「トッ」という韓国語で「餅」という意味しか神父様からは説明を受けておらんので「トッ 餅 白い粉」と入力して画像検索。
「白インゲン豆インジョルミ」なるよく似た商品が楽天でヒットしたので、「白インゲンの粉」がまぶしてあると踏んで食べてみたところ、この白い粉ね、日本でもお餅を丸める時によく使われてる「餅とり粉」ですね。
つまり上新粉とか片栗粉でして、餅がくっつかないようにするための単なる粉です。
上新粉や片栗粉を粉単体で舐めてみたことはないけど、もしかしたらちょっとしょっぱいのかもしんない…舐めてみようとは思わないけど。
人間とはえらいもんで得体の知れないモノが食べ物だとわかっていたら「舐めてみよう」て言い出すんですねぇ…上新粉とわかってたら舐めようなんてこれっぽっちも思わないのに。
パンが大好きだからって小麦粉を舐めようとはしないでしょ?
そうなったらもぅ禁断症状が出てるレベルで異常なことですもんね。
それと一緒で餅が好きだからって上新粉を舐めたりはしないわけですよ。
なんなら餅についてる上新粉はキレイに払って焼いて、焼きあがってからも掌の中で転がして転がして目の敵かの如く払い落とすのが餅とり粉ですからね、餅のために裏方として働いてこのような扱いの上新粉には申しわけないのですが、おいしく餅を食べようとすればするほど上新粉は払い除けることになるのは全世界共通でしょうかね。

トッの粉も出来るだけ払い落して日本のお餅同様、出汁醤油や砂糖醤油なんかで食べるとおいしいですね。
トッは餅自体がほのかに甘い。
日本の餅は「米食ってる」て感じだけど、韓国の餅は「団子食ってる」て感じで、素朴な甘さが餅自体にあります。
もう1つのトッのお味につきましては、以下の会話をご参照くださいませ。
「それ、あんこなん?」
「ん~~~よくわからんけど…たぶんあんこちゃうか?」
「日本のあんことは違うん?」
「あ~違うね」
「どんな味?」
「ん~~~味…か…説明するの難しいから食べてみ?」
「甘いか甘くないかゆーてよ、甘かったら食べれへん」
「まァ…甘いんちゃうか?よくわからんねん…食べてみ?」
韓国の食べ物の感想ちょいちょいまだコレあるなァ。
韓国のおでん食った日本人に「どんな味?」て聞いたら同じこと言ってた。
「ん~~~…味?」
「何の味してました?」
「何の?ん~~~…」
「一番感じる味の部分ゆーてくださいよ、あるでしょ?出汁とか、醤油とか、コンソメとか、いりことか、かつおとか、ケチャップとか、そういうコトですよ」
「あ~~~…ん~~~…出汁…出汁なんやろうなァ…味の説明が難しいねん…食べてみ?」
そんなに「味」の説明が出来ないモンかね。
私は自分が食べたモノに関しては味の説明は出来ると思っているが。
だから私は、白いほうのトッの味の説明なら出来る、食べたからね。
ちょっと食感はカタめだけど、日本の焼く前の団子、何の味もつけてないヤツの味です。
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