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【2020年】コロナ禍におけるタイの昇給率・賞与への影響についてのまとめ

先週のトップニュースといえば、アメリカのトランプ大統領が新型コロナウィルスに感染したことでしょうか。
本来であればまだ入院が必要な期間にも関わらず退院したり、年内にワクチンの使用が可能になると発言したり、
おそらく大統領選に向けたパフォーマンスも含まれているのでしょうが、、、

さて、本日はコロナ禍におけるタイの昇給率・賞与への影響についてまとめてみました。
タイ経済の大きなウェイトを占める観光業・自動車産業の不振により、弊社も然りタイ経済は甚大な影響を受けております。

2020年9月15日アジア開発銀行発表によると、タイの2020年の経済成長率の見通しはマイナス8.0%と予測。
東南アジアの中でも最悪の予測数字となっております。

このように厳しい経済下において、昇給率と賞与の支給をどうするかは判断が難しいところです。

言うまでもないですが、タイ人にとって昇給・賞与は非常に重要です。
彼らの期待より昇給率が低い、賞与が少ないということが起きれば元々転職=給与増加というタイ人の感覚の元、離職に繋がりかねません。
タイの平均昇給率は約4%ですが、逆に彼らの満足する昇給・賞与が支給できればモチベーションの源泉になると思います。

とはいえ、コロナ禍において、企業の業績も大きく悪化しており、例年どおりの支給が難しいというのも実態かと思います。
ということで下記は弊社が実施したアンケート結果を下記にまとめてみました。

<昇給率の見込み>

(弊社2020年5月弊社実施アンケート:回答企業402社より)
アンケート結果によると、多くの企業がコロナ禍における昇給率を「例年より減る」という回答をいただいております。

【製造業】
※「例年より減る」と回答した企業が全体の78%、そのうち、13%は「例年より大幅に減る」、「11%は昇給なし」

・例年通り     :22%
・例年より減る   :54%
・例年より大幅に減る:13%
・昇給なし     :11%

【非製造業】
※「例年より減る」と回答した企業が全体の65%、そのうち5%は「例年より大幅に減る」、15%は「昇給なし」

・例年より増える  : 2%
・例年通り     :33%
・例年より減る   :45%
・例年より大幅に減る: 5%
・昇給なし     :15%

上記のように製造業・非製造業も例年より昇給を減らす企業が大半となっております。
では、企業は具体的な昇給率をどれぐらいで見込んでいるのでしょうか。

<ポジション別の昇給率>

※製造業・非製造業ともすべてのポジションにおいて、昇給率が前年比較で下がる見込みとなっております。
特に製造業は、19年には4-5%超と設定されていた昇給率が、どのポジションにおいても3%未満。
前年に比べて昇給率が大幅に減る見込みとなります。

【製造業】
・マネージャークラス:例年4.3%、今年2.8%
・ミドルクラス   :例年4.8%、今年2.7%
・ジュニアクラス  :例年5.2%、今年2.8%
 
※非製造業に関しても、どのポジションも昇給率は下がっておりますが製造業に比べると下げ率は小さいようです。

【非製造業】
・マネージャークラス:例年3.8%、今年3.2%
・ミドルクラス   :例年4.0%、今年3.3%
・ジュニアクラス  :例年3.9%、今年3.6%

これは、コロナショックにより、製造業の方が非製造業より影響を受けているということが言えるかと思います。

<賞与の見込み>

多くの企業がコロナ禍における賞与支給を例年より減らすという回答をしています。
【製造業】
※製造業では、例年より減ると回答した企業が全体の81%、そのうち、30%は「例年より大幅に減る」、3%は「賞与支給なし」

・例年より増える  : 1%
・例年通り     :18%
・例年より減る   :47%
・例年より大幅に減る:30%
・賞与なし     : 3%

【非製造業】
※非製造業では、「例年より減る」と回答した企業が全体の66%、そのうち、18%は「例年より大幅に減る」、6%は「賞与支給なし」

・例年より増える  : 1%
・例年通り     :33%
・例年より減る   :43%
・例年より大幅に減る:18%
・賞与なし     : 6%

このように製造業・非製造業も例年より、賞与を減らす企業が大半となっております。
では、企業は、具体的な賞与の支給をどれぐらいで見込んでいるのでしょうか。

<賞与支給の見込>

【製造業】
※賞与の『支給なし』と回答した企業が2019年調査時は全体の12%でしたが、2020年今回の調査時は28%まで増えております。
なお、『1ヶ月未満の支給』についても2%から13%に増えております。
また、2019年調査時は『3ヶ月以上の支給』と回答した企業が全体の38%でしたが、2020年今回の調査時は、11%まで減少しております。

・なし    :12%>>28%
・1か月未満 : 2%>>13%
・1~1.5カ月:17%>>20%
・1.5~2カ月:10%>>11%
・2~3カ月 :21%>>17%
・3~4カ月 :25%>> 7%
・4~5カ月 : 8%>> 3%
・5カ月以上 : 5%>> 1%

このように『支給なし』という回答が12%から28%に大幅に増える一方、3ヶ月以上の支給の回答が38%から11%まで大幅に減少しております。

【非製造業】
※2019年調査時は賞与の『支給なし』と回答した企業が全体の9%でしたが、2020年今回の調査時は、21%まで増えております。
 なお、『1ヶ月未満の支給』についても、5%から13%に増えております。
 また、2019年調査時は『3ヶ月以上の支給』と回答した企業が、全体の22%でしたが、2020年今回の調査時は、6%まで減少しております。
 このように『支給なし』という回答が9%から21%に大幅に増え、3ヶ月以上支給という回答が22%から6%まで大幅に減少しております。

・なし    : 9%>>21%
・1か月未満 : 5%>>13%
・1~1.5カ月:27%>>30%
・1.5~2カ月:15%>>16%
・2~3カ月 :22%>>14%
・3~4カ月 :10%>> 5%
・4~5カ月 : 8%>> 1%
・5カ月以上 : 4%>> 0%

現在のコロナ禍において、会社として従業員が満足する昇給・賞与を提供するのも企業業績を鑑みた場合、難しいと思われます。

それゆえ、会社の業績・市場・他社の動向・タイの経済など現状を従業員にしっかり伝え、
満足・納得させられなくても、理解させることが重要となって参ります。
また、合わせて会社の業績・市場がどう回復するか。
今後賞与・昇給をコロナショック前の基準に戻せるかを明示することで将来への不安も和らぐかと思います。

ご参考までに!

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