バチェロレッテのコウコウにどハマりした話
Twitterの方で連日うるさく呟いていたのでフォローしてくださっている方は知っていると思うのだが、このところバチェロレッテにどハマりしていた。こういう類いのリアリティショーって実はあんまり好きじゃなかったし、バチェラー3に限っていえば友永さんがポンコツ過ぎたのと胸糞エンドでただただ胸糞だった思い出しかない。
だけど今回は違った。気がつけば配信日である毎週金曜0時に毎回iPad mini4でAmazon Prime Videoにアクセスし、それまでに風呂やなんやかを済ませて待機していた。
バチェロレッテ・シーズン1の最大の魅力は、なんといってもバチェロレッテである福田萌子さんその人自身であることは間違いないだろう。予告編では悪意すら感じられる編集でなんとなく金持ちを鼻にかけた高飛車お嬢様っぽい印象を受けたが、本編ではそのイメージがガラリと変わる。
誠実で、まっすぐで、聡明で、健気で、そして少女のように可憐で可愛らしい人だった。彼女の人柄ゆえに、ラストはとんでもない結末を迎えることとなる。そう、まさかの最終話で「誰も選ばない」という決断を彼女は下したのだ。
なぜ彼女は前代未聞・掟破りともいえる選択をしたのか。そこについても考察をしたいところだけど、その前に今回はラスト2名のうちの1人、我が推しである黄皓さんについて語りたい。
黄皓さんはやり手中国人実業家で色白塩顔高身長イケメン、17人のうちでもっともハイスペ男性である。正直コウコウは最初は苦手だった。鼻持ちならないマウンティング野郎というか、単なる高飛車で嫌味なナルシストにしか見えなかったのだ。「わーぜってーこいつだけはムリー」とか思ってたくせに、その後どんどんコウコウ沼にハマっていくこととなる。
その最大のきっかけがいわゆる「コウコウカンカン」である。カクテルパーティー中に他の男性と話している萌子さんの気を引くため、しゃがんで持った2つのグラスをカンカンと鳴らしたのだのだけど、このシーンに悶える人続出だった。事実わたしの身の回りの友人数名も、「最初はコウコウちょっと嫌いだったけどグラスカンカンでやられたわ」とあっさり墜落していた。さすがわたしの友人と言うべきか、ツボが似ている。類は友を呼ぶとはこのことか。
コウコウはなんといっても不器用なのだ。男性陣の前で強気な態度を取るのも、コンプレックスや自信のなさの現れで、本当はたぶんめちゃくちゃいいやつだと思う。最初は苦手すぎて(すみません)気がつかなかったのだけど、ラスト2名のうちもう1人の杉ちゃんがep1のカクテルパーティーで萌子さんになかなか話しかけられずにいたところで「どこかでグッといかないと、後で後悔しますよ」と背中を押したのは誰でもないコウコウだったのである。他人をよく見ているところ、気を配れるところも、彼の繊細さに因る気がしてならない。
もっとも好きなシーンは台湾での温泉デートなのだが、そこでコウコウは「男性陣ともめてしまったこと、その原因が“個性がない”と言われたことだ」と萌子さんに打ち明ける。完璧すぎて隙がないことがコウコウの欠点、と指摘したローズ、お前のことは未来永劫忘れないぞわたしは(でもローズのことも嫌いじゃない)。
思春期に中国から来日したコウコウは、当然ながらいじめに似た経験も受けたと話した。そうだよな、当たり前だよな。日本には残念なことに他アジアへの偏見がまだまだ存在する。そのころのコウコウさんの日本語のスピーキング力やリスニング力がどの程度だったかなんて知る由もないけれど、今まで生きてきて言葉のこと、国籍のことや人種のことで傷ついたことはたくさんあるだろう。
それをはっきりと感じたのは、最終話のお家訪問の時だ。コウコウは萌子さんのお母さんに、国籍のことや将来のお墓のことなどを、かなり強張った面持ちで、それでも真剣に伝えていた。
スタジオメンバー(シェリーはともかくナイナイにする必要はあったのか? 岡村の言葉の端々に滲む外国人差別や女性蔑視発言が気になって仕方がなかった)であるシェリーは、「きっと今までお付き合いした中でこういうことたくさん経験したんですよ。すごく誠実ですよね」とアメリカ人とのハーフとしての目線から語っていた。もちろんそれもあるだろうけど、恋愛という局面でないところ、日常においても常にそういう目に晒され続けてきた人の言葉にわたしは聞こえた。「誠実」であるのは当然そうなんだけど、考えて考えて考えすぎて出た言葉でもあるんだろうけど、「そう言わざるを得ない環境に身を置いて生きてきた」彼のこれまでの人生に思いを馳せ、勝手に目頭が熱くなってしまった。ハマり具合が気持ち悪すぎるな、我ながら。
それが萌子さんのいうところの「リスクマネジメント」に繋がるのかもしれない。萌子さんの「ダメなところなんて出さなくていい!出す必要ないもの!いろんなことを知っていていろんな視点を持っている、それが個性だよ!(意訳)」という言葉には首がもげるほど頷いた。なのでその後のグループデートでコウコウのつんけんした態度を萌子さんに「気に入らなかったといえばいいのかな」と告げ口したローズ、お前をわたしは許さねえ(2度目)。「気に入らなかった」とか「怒った」とかではない、コウコウは「傷ついた」んだよ。たぶんだけど。
ところで、マラカイやローズの「和を乱すなよ」「協調性重んじろ」的発言、だるくないか? わたしのまわりの友人たちもだいたい同意見だったんだけど、「友情」を育むためにここにきてるわけじゃないんだし、集団の中でうまくやれない人をそういうふうに攻撃すること自体が、協調性ゼロのわたしから見たらイラついた。コウコウは萌子さんに会いにきてんだろ。お前らも萌子さんのことだけ考えてろよ。真顔で「なんなんすかね」とかいったAmazon CEO、そうだお前だ。いいか、いくぞ、歯を食いしばれ。
とはいえもちろん「自然に生まれた連帯感」も見どころなのも否めない。話は逸れるが、ライバルだったはずの相手に親愛の感情が生まれていく過程は、やっぱり胸を熱くさせるものがある。バチェラーのときは女同士のバチバチばかり取り上げていたから(それも見どころのひとつではあるけれど)、今回はそういうところもフィーチャーされてて嬉しく思った。女性同士にだって確実に友情は育まれていたし、そこだって見たいポイントなので、バチェラー4ではぜひバチバチと同じくらい「女の友情」にも焦点を当てて頂きたい。そしたらバチェラーシリーズも、もう少し感情移入して観ることができそうだ。女はネチネチ、男は爽やか!みたいな刷り込みもわりとだるい。
閑話休題。
杉ちゃんの「成長」にばかりフォーカスが当てられてしまっていたことと、コウコウ自身の口下手さでいまいちコウコウの萌子さんへの愛情というか恋心が伝わりにくかったのだが、コウコウだってたぶん杉ちゃんと同じくらい萌子さんのことを好きだったとわたしは思う。
男性陣には絶対見せない柔らかい表情や、ハグを断られて「ローズにはしてたじゃん」と拗ねるところとか、あれがガチじゃなかったら計算高すぎて怖い。コウコウカンカンや指切りげんまんなどのあざとい仕草もどこまで素でやってんのかわかんないけど、気を引きたいからこそ出てくるものだろう。
コウコウの気持ちを改めて確信したのは、最後のローズセレモニー後の杉ちゃんとの会話である。2人にローズを渡さなかった萌子さんに対して、「萌子さんって空気読めないとこあるじゃん。でもそこがかっこよくて好きだったんだよね、きっと」と言うのだ。この台詞! 萌子さんの不器用さをすべて理解して、そんな萌子さんのダメさ(と言いつつわたしはそんな萌子さんが大好きだ、萌子さんについては今度ぜったい別に語る)を「かっこよくて好き」と言い切れちゃうって、相当好きじゃないと出てこない言葉じゃないか? ウダウダと文句を垂れていたサーファーやサムライ、ナンパ師、マラカイ、この台詞を聞け。黙って聞け。100回は聞け。ここがお前らとコウコウ、そして杉ちゃんやローズとの違いだ。
それから「コウコウ、モラハラ説」についてもコウコウ推しとしては触れておきたい。モラハラって本来、男性社会――ひいては世間での評価が高く外面の良い男性(モラハラは男性に限らないけど、とりあえずここでは男性のモラハラに限定する)がやるものだ。ソースはわたしの父親。モラハラをするのは、集団の中でうまく立ち回ることのできる器用な男性と相場が決まっている。
コウコウの「シンデレラでいうところのブスの姉たちの言い合い」「前菜の三品」などのキレッキレのツイッタラーみたいな毒舌は普段からのキャラクターでもあるんだろうけど、番組におけるヒールを任されていたことによる「演技」でもあったように見えた。推測の域を出ないけれど、コウコウは親しい人に対して毒は吐くが(これは彼にハマりすぎた結果彼のYouTubeやインスタを見漁って感じたことでもある)、同時に親しい人をちゃんど大事にできる人だと思う。彼の「毒舌」=冗談を、ヒールに仕立て上げるための道具として演出ないし編集していたようにも感じられた。
あと結局アレ、顔が好き。夫に若干似ていることで気がついたんだけど、顔がタイプなんだよ。死ぬほど。感想じゃなくて単なるコウコウの魅力について語り倒しただけになってしまったが、まあ推しへの愛を語り尽くせたので満足である。
萌子さんについてや、番組全体の感想については明日にでも。先に言っておくけど、わたしは萌子さんが大好きだし、萌子さんの最後の選択については肯定派である。以上!
追記:ローズと同じく萌子さんを庇っていた料理(北原さん)について言及するのを素で忘れていたことに、フォロワーさんのご指摘で初めて気がついた。料理、ごめんな。君のこともけっこう好きだったよ。全体の感想のときには触れるからね。
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