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被害回復について考えたとき、ぼくにとってはそれがエピーだった

昨年夏から落ち着きかけていたうつが再発し、比喩でなく命懸けで越冬した。先日ひさしぶりにTravisJapanのライブ鑑賞のため外へ出たら、すっかり消え去った冬の寒さに驚いた。バブアーのオイルドジャケットの下によりによってフリース素材のフーディを着込んでいたため、会場に着くときにはうっすら汗をかいていた。

花粉が鼻腔を直撃し涙と鼻水が止まらない。そんなぼくを見て一緒にライブへ行った友人は、「もう冬終わったよ」と笑った。

春もあまり、得意ではない。クラス替えなど変化の多い季節だったこと、なにより誕生日があること。環境が変わることも、年を取ることも苦手だ。生き延びてしまった罪悪感に駆られるから。

18で家出をしたあの日、ぼくは大好きなはんめ──祖母の家がある京都へ逃げた。鈍行列車を乗り継ぎ、約10時間ほどかけて京都駅へ降り立ったが、新幹線で先回りしていた母親(となんでか知らねえがついてきてぶうたれてた弟)にとっ捕まったその夜。祖母宅で放心していたぼくの椅子を、親族に思いっきり蹴っ飛ばされた。

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ぼくの地下室にも、あなたの地下室にも、理不尽に傷つけられて息も絶え絶えになった猫がいると思う。その猫たちを一緒に拾い上げ、慰撫する場所になったらいい。

地下室の猫を拾い、ほこりを払ってブラッシングして、頬ずりしたりお腹に顔を埋めて匂いを嗅いだりする文章たち。

読んでくださってありがとうございます。サポートはFIP闘病中の愛猫エピーの治療費に使わせていただきます。