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雑誌探訪「Ambitions 2024年3月号」
AlphaDrive Magazine Ambitions 2024 MARCH VOL.04
「特集 ビジネス『以外』の話をしよう。」の中で、嶋浩一郎(しま こういちろう)さんのインタビューが掲載されていました。
嶋さんは、博報堂で活躍されているとともに、下北沢の本屋B&Bを経営されていることで知られる方です。
本屋B&Bは、ほぼ毎日のように本にまつわる対談イベントが行われており、私も何度も参加したことがあります。
著者と読者が出会える素敵な場を提供してくれる、魅力的な本屋です。
その嶋さんは、インタビューの中で、読書によって俯瞰した立場、「バルコニー」に立つことを言っています。そのために、特にフィクションや小説の大切さについて述べていたことが印象的でした。
インタビューの最後に、おすすめの3冊として、いずれも古典文学をあげています。
それは以下の3冊です。
角田光代・訳「源氏物語1」河出書房新社
町田康「口訳 古事記」講談社
島田雅彦・訳「好色一大男」河出書房新社
嶋さんは、「古典はいまの感覚とは違う部分もありますが、当時の人々は、いまを生きる私たち以上にヒリヒリするような生き方をしていたことが読み取れます」と言っています。
あえて全て古典作品をあげているというのはおもしろいですね。
また、選んだのが源氏物語と古事記、そして好色一代男という人気作品であることは納得なのですが、特に徒然草や枕草子といった随筆ではなく、いずれも物語というのは興味深いです。やはり、物語から得られるものに注目されているのでしょう。
そんなヒリヒリするような物語の世界を、ぜひお楽しみください。
執筆者:古原大樹/1984年山形県生まれ。山形大学教育学部、東京福祉大学心理学部を卒業。高校で国語教師を13年間務めた後、不登校専門塾や通信制高校、日本語学校、少年院などで働く。2024年に株式会社智秀館を設立。智秀館塾塾長。吉村ジョナサンの名前で作家・マルチアーティストとして文筆や表現活動を行う。古典を学ぶPodcast「吉村ジョナサンの高校古典講義」を公開中。学習書に『50分で読める高校古典文法』『10分で読める高校古典文法』『指導者のための小論文の教え方』がある。