📖この本で学んだ⑪つのこと『人生の教科書「人間関係」藤原和博』

人間関係とはコミュニケーション。コミュニケーションがなぜ、必要なのか。それは脳のネットワークを増やすため。改めて、藤原和博氏の良さを知る本。

①感動の「！」は質問の「？」から始まる

問いかけは相手が一番話したいことを想像する。
1時間のミーティングで、50分以上相手の話を聞くことになる場合もある。でも、これが、あなたと相手の距離がぐんと近づく前ぶれ。
自分ネットワークの始まり。
自分でおもしろかったと思ったら、なんでも人に伝えましょう。
おもしろい「！」と思う感覚と、人にそれを表現する技術が自分ネットワークを育てるからです。
ずいぶん前の話題ですが「Q33NY」ってご存じでしたか？ワープロソフト（MSワード）を立ち上げて、半角でQ33NY （クイーンズ通り番地ニューヨーク：貿易センタービルの地番）と打つ。
で、フォントを Wingdingsにする。偶然か暗示か、誰が見つけたのかわかりませんが、この話題は世界中をメールで駆け巡りました。
事件の悲惨さを思えば、けっして気分のいい話題ではありませんが、それでも思わず誰かに転送したくなってしまうような”！"のあるメールだった。

②テレビをつけっぱなしで見せている家庭の子の学力が保証しません

テレビは一日1時間強まで、番組を選んで見せて下さい。
これで1年間のテレビの視聴時間が約400時間となり、英数国理社5教科の年間総授業時間数と並びます。
2時間以上つけっぱなしで見せていると年間800時間以上となり、考える力に著しいダメージを与えます。
テレビを1時間に抑え、そのかわり自宅学習を1時間15分以上させれば、自宅での勉強が年間に400時間積み増され、確実に学習したことが定着するでしょう。
読書も保護者が率先してするよう心掛けて下さい。
大人が読書しなければ、子どもが読書するようにはなりません。

③保護者への五つのお願い

１．和田中を選んでこられた以上、責任をもって参画していただきます。
学校へ預ければ自動的に息子や娘が育って出てくるわけではありません。
本校の教育目標「自立と貢献」にあるように、保護者には学校に貢献する意識を持っていただきます。授業も十分に参観したうえで学校を評価して下さい。

２． 生徒の生活習慣が規律を持ったものになるようご協力下さい。
規則正しい起床・就寝の時間管理、遅刻をさせないこと、挨拶、宿題や提出物・忘れ物のチェック、服装と身だしなみ（靴のかかとを踏まない、ズボンからシャツを出さない、スカートを折り込んで短くしない、化粧しないなどは常識の範囲です）
さらに、朝食を必ず食べさせることなど、基本的な生活習慣に屈することは家庭の責任で指導して下さい。

３．家族の一員として当然やるべき仕事や、勉強の成果としての成績の上昇に対して金品を動機付けの手段とすることを避けてください。
「ありがとうよくがんばったね」と言う親子の言葉の交流こそが自己肯定感（だいじょうぶ、自分には居場所があるという確信）を育てます。
また、いったん始めたことは、中学3年間で身に付けた資産となるよう、是非とも続けさせて下さい。
苦しいこともあったが続けられたという自信と集中力は一生の財産になります。

４．ケータイは持ってこさせない
自転車通学はさせないケータイは学校への持ち込みを禁止しています。
働いている保護者には不便かもしれませんが、持たせている場合には一度自宅に帰ってから使うようにして下さい。
学校で見つけた場合は保護者に来ていただかなければ返しません。自転車も事故が多いので禁止しています。
なぜ通学に使えないか、子どもには「あなたには大人としての貴任がとれないからだ」とはっきり伝えて下さい。なお、バス通学は許しています。

５．子どもに仕事を与えること、続けさせること
子どもには、家庭でさまざまな仕事を分担させて下さい。
学校でも毎週水曜日の朝に掃除をする「水曜ボランティア」や職業体験での保育園・老人ホームでのケア、あるいは近くのホームへの合唱・合奏の慰問など多くのイベントがありますが、日常的な仕事の分担と地域でのボランティア活動は職業意識の自然な生成に必須です。

④日本社会がパワーゲーム社会からクレジットゲーム社会へ

日本社会は長く情で結びついた村社会だった。
人々は同質であり平等という幻想を維持しやすかった。
それを保障したのは、嫉妬という心の働きを支配者がうまく利用したから。嫉妬心が村社会では、自動的に働く警察の役割を果たしてきた。
こうした閉鎖社会では、情を集めてパワーとしたものが権力を握る。
田中角栄が例。その権力に媚びるものがおこぼれをもらえた。

なぜ、情の社会が崩れたか。

1、人々はもう決して同質であり、平等であると信じられなくなった。
人々はみな、別々であるということがバレた。外国人や所得の差。情で結びつく村社会の内部崩壊。

２、別々に散らばった個人のある属性を集めて、パワーとして使う手法が確立されたこと。
インターネットの存在。異質なキャラ同士を結びつけるこの指とまれ機能が安価で実現できるようになった。
どこまでが村の内で、どこからが外なのかの意味をなくした。
内部崩壊を促進する道具の登場である。

3、情で結びつく社会を保障していた外部構造の変化
国と企業社会の変質という事件。
国民の幸せを丸ごと保障することを諦めた。
企業も従業員の終身を保障することを投げ出した。
国と企業社会の構造の見直しを余儀なくされた。

情ではなくて、何が社会を動かす要になるのか。

それは、異質性をはじめから認め合う意識でしょう。

バナナもイチゴもメロンも一緒に入れて絞ったミックスジュースではなく、そのまま混ぜ合わせたフルーツサラダのようなもの

そうした社会では、情が要ではなく、信頼と共感、つまりクレジットが人と人とを結びつける要になります。

クレジットレベルが高いほど多くの人からアクセスされ、より多くのエネルギーと自由を集めることができる。
課題解決のための資源も増え、人生の選択肢も増える。
一方、クレジットレベルの低い人には他人が知恵を貸しませんから、狭い世界観での乏しい決断になる可能性が高く、視野狭窄に陥る危険も増す。

⑤成長社会と成熟社会

成長社会
もっと早く、大量に、標準的なものを。
正解が至る所にあり、見えやすかった。
テレビ、車、家。いい大学、いい会社、退職金、年金。
社会全体で学校で教えられた正解が通用したし、人生のコースとして正解もあるような気がしたもの。

成熟社会
皆がある程度豊かになり、多様な選択ができ、今までのように一丸となってではなく、バラバラに動き始める社会のこと。
高齢化と、国際化が、この傾向に拍車をかける。

豊かさと多様さが混じり合った成熟社会では、万人にとっての正解はないから、自分自身が納得でき、かつ関わる他人をも納得させられる解が歓迎される。
これを納得解といい、納得解を導き出すチカラのことを情報編集力と呼ぶ。

正解が一つではない課題にどれだけ遭遇し、どのように立ち向ったかによってつくチカラ。PISA調査が測る広義の学力。

PISA調査で出題された有名な「壁の落書き」問題を解くチカラを想像してみてください。こんな感じの問題です。

「公共の壁に落書きをするのは犯罪的であると主張するAさんと、街のいたるところで目にする会社の広告や店の看板と同じコミュニケーションの一種なのだから許されるべきだと主張するBさんがいます。あなたの意見はどちらに近いですか？その理由とともに述べなさい」

正解はありませんから、記憶の中から正解を引っ張り出そうとしても無駄な抵抗です。
だから、菩積した知識、技術、経験と照らし合わせて、自分自身が納得のいく「納得解」を導くしかないわけです。

情報処理力はあたまの回転の速さ、ジグソーパズルを早くやり遂げるチカラ。一つのピースの正解の場所はたった一つ。図柄は決められてる。

情報編集力はあたまの柔らかさ、レゴブロックをやる時に要求されるチカラ。組み合わせによって、宇宙船にも家にも、街全体を作り出すことも可能。

人生観や幸福感にも正解はないので、自分で納得できる解がつかめなければ、幸福感も掴めない。

⑥情報編集力はどうしたらつくのか

処理力と編集力の学習比
小学校　9:1
中学校　7-8:2-3
高校　5:5
大学　0:10

以前は情報処理力側の学習を学校ではなく、地域社会が引き受けてくれていた。兄弟、親戚、おじいちゃんおばあちゃん、近所。

どうしたら、秘密基地の場所を教えてもらえるか。どんなものを代わりに使えば同じように遊べるか。捨て猫を飼うにはどうやってお母さんに言い訳をしたらいいか。

地域社会は正解のない例外事項を教える学校であった。
地域社会の機能が著しく衰えている現代社会にあっては、正解が一つでない例外事項についても。学校で学べる機会を作らなければならない。

⑦自分だけの閉ざされた体験を開いてくれるのが他者とのネットワーク

自分とは異なった経験をもとに、他人が語る知恵は、あなたの頭に新鮮な刺激を与え、知識と知識は今までとは違うやり方で結び合わせてくれる人の役割を果たします。
他人の脳のネットワークがあなたの脳を進化させるわけです。
こうしてあなたの頭の中に、新しい回路による新しい結びつきが出来上がるネットワーク脳の効用です。
それが非常に印象的で思いかけたつながりだった場合、人はこれを目から鱗が落ちたと表現するのです。
目から鱗の体験ですね。

コミニケーションっていうのは、他人の頭と自分の頭をつなげること、労働省をつなげて、新しい知識を乱すための知恵だったんです

⑧介護の世界では、認知症になりやすい職業が2つあるとささやかれている

それは教師と裁判官だそうです
どちらも常に1番高いところから相手に接する職業、自分の側に知識の全てがあって、それを一方的に相手に与えていく仕事だから、人間関係が一方通行に陥りやすい。
しかもいつも上から下へと眺め下ろす視線で世界を見ることで、世の中への接し方が固定されてしまうのかもしれません。

⑨アポトーシス

刺激されない脳細胞は殺せと言う命令を出す遺伝子。例えば遺伝子研究によると片目がもったいないと言って眼帯をしたままで暮らした人が使っていた。片方の目が見えなくなったので、匂いを眼帯を取ってみたら大事に取っておいた方の目も見えなくなっていたと言う話。

⑩フランスの言葉　幸福とは

元来孤独に存在しているはずの人間と、人間をつなぐクリエイティブな会話こそ、幸福感の源泉であり、人生の豊かさそのものだ。

⑪社会化とは、異質な他者とのコミュニケーションに揉まれること

家庭は少子化と核家族化で子供を社会化する機能低下させた。
簡単に言えば、子供は兄弟や親戚や同居老人の少ない家庭で揉まれない。だから、たくさんの子供たちが大人になれないまま、彼らだけ大人になってしまった。