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映文連アワード2024 表彰式&上映会/トークセッション報告~【2:上映会・トークセッション】

WOWOWプラス地方創生支援プロジェクト発の短編映画『美瑛の丘で』が、映文連アワード2024で優秀作品賞(準グランプリ)を受賞しました。
11月27日(水)には国立新美術館 講堂で表彰式が、28日(木)~29日(金)には渋谷のユーロライブで上映会が開催されました。

『美瑛の丘で』は「Cプログラム コーポレート映像の今」のラスト16:24から上映され、プログラム上映終了後に行われた「トークセッションⅠ」には、企画・製作総指揮を務めた弊社の原田が登壇しました。

今回は、前回の記事の続きとして、28日に行われた上映会とトークセッションについての記録です。

今のところレア!『美瑛の丘で』の大きなスクリーンでの上映

実は……『美瑛の丘で』を大きなスクリーンで見る機会はほとんどなく、今回の上映会の楽しみの一つでもありました。何度目かの視聴でしたが、環境が変わると、特に「音」の聞こえ方が変わり、ダイナミックに感じるシーンがあると思いながら拝見しました。
実は、『美瑛の丘で』には、まだ世に出ていない4K素材があります。環境の違いによる印象の違いを味わってしまうと、いつか4K上映の機会も作れたらと、思わずにはいられませんでした。

「トークセッション」の話題に移る前に、まずは『美瑛の丘で』が上映されたプログラムで、どんな作品が上映されたのかをご紹介しようと思います。

「Cプログラム コーポレート映像の今」ではこんな作品が上映されました

【経済産業大臣賞】
待ってろ、未来。神山まるごと高専 入学式クロージング動画

徳島県名西郡神山町に2023年に開校した「神山まるごと高専」は、国内の高等専門学校としては19年ぶりの新設校です。全寮制のため、新入生たちは15歳で親元を離れ、神山の地へ旅立ちます。第一期生たちに密着し、入学式のクロージングに流されたものだそうです。
若者たちの夢や希望、その奥にある不安や覚悟を感じられる、とても素敵な動画です。
映像作品としての良さはもちろんありますが、登場した生徒の皆さんの魅力の強さも、「経済産業大臣賞」を受賞する大きな力になったのではないかと思いました。

【部門優秀賞[コーポレート・コミュニケーション部門]】
「あなたの街の空へ、未来を。」NTT東日本グループ『NTT e-Drone Technology Concept Movie』

「ドローンの仕事」を、「ドローンだから撮れる視点」で見る。そんなことができる、とても興味深い動画です。
使う人やドローンが働く現場の近くにいて、日々問題解決に向けて挑戦を続ける開発者の皆さんの語り口や物腰は静かでありながら、情熱的にお仕事に取り組んでいることが伝わる動画でした。

【部門優秀賞[コーポレート・コミュニケーション部門]】
ダンビラムーチョがCMプランナーとつくった「Japan Mobility Show 2023」

◆「ふ~ん」と、心が1㎜も動かない、いくつかのシーン
◆「だよね~」と、心が動かなかった理由(わけ)でもあるツッコミパート
◆「ふっ」っと、それも“あるあるでは?”と思わず笑いそうになるオチ
コンパクト(1分)な中で、3つの感情が次から次へと入れ替わり、でも、何を「宣伝したいのか」は過不足なく伝わります。
さすが!芸人(ダンビラムーチョ)と“CMプランナー”が作ったCMでした。

【部門優秀用[コーポレート・コミュニケーション部門]】
「愛はつづく。」篇
残念ながら、公開されている動画はありませんでした。
受験シーズンに展開される“受験生”や“受験生のいる家族”を応援する映像は、繊細なことを扱っているからだと思いますが、丁寧で優しい作品が多い印象があります。
明治「R-1」が受験期に、受験生とその親を応援するために公開した作品。親と子の間にある学びや勉強に向き合うシーンが、小学校入学前から大学受験に至るまで積み重ねられています。共に歩んできた学びが、受験では勉強として子どもが一人で向き合い、それを親が細やかに「体調管理」でサポートする、受験の厳しさとそこにある優しさを感じる物語でした。

【部門優秀用[コーポレート・コミュニケーション部門]】
二人の椅子の物語 ブランドコンセプト「くらしDIY」ムービー

引きこもりがちな老夫婦が、息子と孫からプレゼントされたアームチェア。そこから二人の「お茶」の時間が変わっていきます。長い時間をかけて決まってしまった日常のルーティンの再構築が夫婦にもたらしたのは、行動の変化だけでなく、笑顔や会話の変化だったことも心を温かくします。そしてラストに「幸せを、DIYしよう。」のテロップ。
「幸せを、DIYしよう。」することを具現化し、提案してくれる素敵なショートムービーでした。

【部門優秀用[コーポレート・コミュニケーション部門]】
生彩
「Cプログラム」の中で、もしかすると今回の上映会のなかで最も独特かつ、映画の上映環境やPCでは、本当のすごさを味わえないと思われる作品で、noteにリンクを張れるような動画も公開されていません。
では「生彩」はどこで観ることができるのかというと、日本各地の国宝や重要文化財、観光資源の魅力を先端表現技術で世界に発信する地方創生/観光立国の共創拠点「NIPPON GALLERY TABIDO MARUNOUCHI®」に設置されている高さ2.7m×幅13.5mのLEDビジョンだそうなのです。けれども、残念ながらこちらの施設は一般公開がされていないとのこと。さらに『生彩』は、12K作品なんですよ。
あぁ、最適な環境で是非、一度観てみたい!

【部門優秀用[コーポレート・コミュニケーション部門]】
水無瀬イノベーションセンター イントロダクションムービー
こちらも今回、noteの記事を書くにあたり動画を見つけられなかった作品。「興味」が刺激される、とても面白い映像作品です。
「不可能に思えることも、発想の力で実現できる」というMINASE Innovation Centerの思いを、ありえないことが目の前で実現する<錯視の立体表現>をモチーフに映像化。アイデア勝ちのようにも思えますが、それを作品として分かりやすい映像にするのは大変なことで、ハイスピードカメラや表面反射鏡を用いた表現など、撮影技術の工夫によって現実ではありえない物体の動きや不思議な世界観を滑らかでクリアに表現しています。

そして……
【優秀作品賞[準グランプリ]】を受賞した
美瑛の丘で

©WOWOW PLUS.2024

「Cプログラム」のラストに上映されました。
個人的には、過去最大のサイズのスクリーンと良い音響のなかで鑑賞した『美瑛の丘で』の感想は、冒頭に述べたとおりです。

光栄なことに、『美瑛の丘で』の上映をもって終了した「Cプログラム コーポレート映像の今」。
短編映画や企業のブランドコンセプト映像、ある特定の時期や機会、施設で上映するための映像が並列で審査される面白さが凝縮されたプログラムだったように思います。

それぞれの視点が光る裏方たちの「トークセッション」

トークセッションの様子

上映会終了後には、長谷部守彦さん(博報堂 エグゼクティブクリエイティブディレクター)をモデレーターに
大石健弘さん(Happilm)
 『待ってろ、未来。神山まるごと高専 入学式クロージング動画』
 ディレクター
鎌田憲之さん(TOPPAN)
 『生彩』
 プロデューサー
大石剛久さん(カインズ広報部長)
 『二人の椅子の物語 ブランドコンセプト「くらしDIY」ムービー』
 クライアント
そして、『美瑛の丘で』の企画・製作総指揮を務めた弊社の原田が登壇し、トークセッションが行われました。

トークセッションの様子

まずは、それぞれが携わった作品を紹介。その後に長谷部さんが経歴や作品を見た上で選んだゲストが感想を述べるという流れは、作品を見た上でさらに深く理解するのに参考になる話が生まれやすいのか、映画・映像の「見方」を学ぶ良い機会となりました。
カインズの大谷さんも、今はクライアントという立場ですが、かつて映像制作の現場で活躍されていた経歴をお持ちだそうで、皆さん、作品への強い思いを持ちながら、一方でクリエイターとしていかに伝えるかという点では、冷静に一歩引いた視点を持っているように感じました。「そういうところを見るのか!」というプロだからこそ得られる視点もあり、大変面白かったです。

出来る限り「Cプログラム」の作品をちゃんと紹介したいと思って、若干無計画に記事を書き始めてしまったので、ずいぶんと長くなってしまいました。

人に会って、お話を聞く。
その良さを改めて五感で感じた2日間でした。