2024年、夏の夜に聴きたいメロウなグルーヴの曲
既にかなり気温が高めな2024年の初夏、これも地球温暖化の影響なのか。
そういう暑苦しい日には、つけっ放しのエアコンを止めて窓から入ってくる風を受けながら今年もメロウなグルーヴの曲を聴いてやり過ごす。
R&B、ソウル、ソフトロックなどで、主にここ1年くらいにリリースされた音楽などの感想を。
VANTABLACK/Lalah Hathaway
1990年にデビューし、55歳になるLalah HathawayはDonny Hathawayの娘。
8枚目のアルバムは2024年6月のリリースで、レーベルはSoNo Recording Groupから。
女性ヴォーカルにしては低めの音程で歌われているのが特徴的で、だからこそ耳に馴染むというか心が落ち着く1枚で、ミドルテンポの曲が多くゲストも多数。
アコギのアルペジオによる「Returning」が美しいのと、「So In Love」のコーラスによる展開のメリハリがある感じも好き。
このアルバム、齢を重ねたからこそ輝く表現力を感させるというかLalah Hathawayの過去作と比較してもダントツに素晴らしいのではと考えている。
Reflections/Moonchild
LA出身の男女混合トリオMoonchildによる、過去曲をリメイクした6曲入りEPはTru Thoughtsから2023年11月のリリース。
耳当たりの良い音色と、音の隙間によって穏やかなグルーヴがつくりだされている。ジャンルとしてはジャズ、R&B、ネオソウルあたりで、深夜にアルコールをチビチビやりながら聴きたい。
少しかすれ気味の低音女性Voが印象的で、1曲目のたどたどしく時間の流れる「Money」から引き込まれる。最近アルバムを通して聴くのも飽きてしまうからこれくらいの曲数が丁度よいというのもあるけど捨て曲無し。
Eat Your Heart Out/Potatohead People
バンクーバーのユニットPotatohead Peopleによる4枚目のアルバムがBastard Jazzより2024年5月にリリース。
先行シングルとなった「Keepin' It Kool」のレトロなR&Bに引き込まれて、アルバムも聴いてみたらこちらも”当たり”だった。
ジャンルとしては洗練されたネオ・ソウル、R&Bとなり、抑制されたグルーヴが疲れた心にじんわりと沁みてくる。
Compositions of LaTasha Lee & Salih Williams/LaTasha Lee
テキサス生まれのシンガーLaTasha Leeによるアルバムは2024年2月のリリース。
レゲエっぽいリズムにのせた、いい感じに肩の力が抜けたソウル・ミュージックが収録されている。
声質がAmy Winehouseに少し似ていると思ったら、同じようなメイクをしている写真もあったから意識しているのかも。
ノリの良いミドルテンポの「Do You」や、男性Voとの掛け合いのある「Star of the Show」が好き。
影響の受けたアーティストが、Aretha Franklin、Etta James、Sam Cooke、Otis Reddingというだけあって、アルバム全体の印象はレトロなソウルといった感じで泥臭い雰囲気もある。
本作、Spotifyでは検索ヒットするも聴くことは出来ないみたい。
Hovvdy/Hovvdy
テキサス、オースティンの男性デュオ、HovvdyによるアルバムはArts & Craftsから2024年4月のリリース。
耳当たりの良い聴きやすいメロディーと素朴なアコギ、そして男性Voのジャンル的にはポップスまたはソフトロックになると思われる。
そうして少しだけR&Bっぽいリズムが心地よく、地味な2人組が写ったカバー写真だけど郷愁を誘うメロディーはポップで聴きやすい。
アコギと堅めのリズムのバランスが絶妙な「Forever」とかを、スロースタートしたい日曜の朝とかに聴きたいかも。
In The Half Light/Swim Surreal & Zero 7
Zero 7プロデュースのアルバムはMake Recordsから2024年6月のリリース。
かれこれ10年以上アルバムリリースをしていないZero 7だけれども、細々と活動を続けており本作は9曲入りのアルバムとなる。
Swim Surrealなるユニットの詳細は不明だが、甘い男性voを聴かせてくれる。
これまでも数年ごとに様々なヴォーカリストとコラボをしてきた経緯があるだけにZero 7だけに本作も新しい試みなのだと思われるが、いつも通り品質は高い。
優しい声質の男性Voが印象的なアルバムは、体を揺らすように音楽へ委ねたくなるようなダウンテンポ。
たゆたうようなベースと郷愁を誘うようなヴォーカルが印象的な「Bloom」、そして少し70sディスコっぽい「Don't Call It Love」が好き。
The Sunset Sessions, Vol. 12
コペンハーゲンのレーベルMusic For Dreamsから、Kenneth Bagerによるシリーズものの編集盤は2024年6月のリリース。
ジャンル的にはダウンテンポまたはチルアウトになると思われ、まったりとしたビートの曲が多数収録。
タイトルにIbizaとつけられた編集盤は世の中に数多あれど、ほとんどがゴミみたいな選曲ではっきり言ってハズレが多いという印象だが本作は信頼のおけるKenneth Bagerだから問題ナシ。
気分の落ち気味な時に、Jamie Porteous「Nervous」のような曲を聴きたい。
全体的にカバー写真のとおり、夕暮れ時に合うような落ち着きのある選曲。
The Beginning/Subnesia
こちらものレーベルMusic For Dreamsから。
男性デュオSubnesiaによるアルバムは2023年10月のリリース。
経歴としてはAnders PonsaingがDJで、Michael Runeがサックス奏者とのこと。
収録されているのはカバーデザインのとおり、海辺でリクライニングできるチェアに寝そべって聴きたいような常夏を感じさせるダウンテンポ。
いずれにせよ時間の経過を気にしない空間へといざなってくれる。
見た目ほど暑苦しくはない男性Voによる「Here with You」の肩肘張らない感じとか好き。
北欧のデンマークにもヤシの木が生えるビーチがあるのかな。
以下は、同じコンセプトで選んだ過去3年分のテキスト。夏の暑過ぎるのは嫌だけれども、風の通る木陰とかでこういう音楽を聴きたいなぁ、と思う。