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アンドリュー・ウェザオール_怪しくダブっぽいミックスが稀有なトラックメイカー

Andrew Weatherallが2020年2月17日肺塞栓症により56歳で逝去したとのこと。
改めて思い起こして見ると、90年代前半にロックやポップスを聴いていた自分がテクノやハウスへと音楽の趣味が変わっていく過程で慣れ親しんだ重要な作品が多いことに気付かされる。90年代初期の古い作品ばかりだが現在でも聴ける楽曲を備忘のために振り返っておく。

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Haunted Dancehall/The Sabres Of Paradise

19994年のThe Sabres Of Paradise名義の2ndアルバム。日本版の帯には細い隷書体のおどろおどろしい文字で「このCDは幽霊が出ます…」との解説文。ダサいコピーのような気もするけど的を得ていて好きだし、むしろインパクトがあって今でも忘れられないのだから強烈なインパクトがあったということ。
遅めのテンポでビートは強調されておらず複雑なリズムの曲が多いためフロアで踊らせるためのダンス・ミュージックというよりは、音響作品という印象が強い。暗い雰囲気なんだけど音の質感は軽快でこういうエレクトロニカ作品は稀有。暗い部屋で聴いていると雰囲気に浸れる名盤。筆でサッと引いた赤と少しユーモラスな書体のシンプルなジャケのセンスも良い。レーベルはWarp Records

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Sabresonic II/The Sabres Of Paradise

19995年のThe Sabres Of Paradise名義の3rdアルバム。
集中線と真ん中に丸いオレンジのグラデとスキンヘッドを貫くナイフ。イラストがコミカルでなんとなく観光地の海賊っぽいのが嫌だし、とにかくこのジャケのセンスは最悪だと思うのだけれども、収録されている楽曲の品質は無関係であることが幸い。2ndアルバムよりもビートが強調されたテクノっぽい楽曲が多い印象。M1のSmokebelch II (Beatless Mix) がとても美しい楽曲(オリジナルはLamont Bookerの「New Age Of Faith」)となっておりWeatherallにしては珍しく多幸感のある楽曲となっている。
さらに、ラストのSmokebelch II (David Holmes Mix) は14:24もあり曲の展開がプログレのようにドラマティックなのだが何度でも聴ける。このアルバムもWarp Records からのリリースで、アルバムとしてのまとまりは2ndの方が良いが印象的な曲はこちらの方が多い。

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Hallelujah (Club Mix)/Happy Mondays

Paul Oakenfoldとの共同プロデュースの名曲。日本版の『Pills 'N' Thrills And Bellyaches』にはボーナス・トラックとして、最後にこの楽曲が収録されており自分は最初にこのアルバムでこの曲を繰り返し聴いた。

エコーエフェクトの効いたハレルヤの掛け声によるイントロから重たいドラムループとレゾナンスの効いたシンセベース。そうしてデジタルピアノのループに妙な陶酔感があってこれもスルメ感がある。今となっては古臭い印象のある曲ではあるが、映画『24 Hour Party People』のクライマックスでこの曲がかかる瞬間は鳥肌モノ。

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Soon (Andy Weatherall Mix)/My Bloody Valentine

シングル・カットされたSoonのB面にはなぜか収録されておらず、自分は散々探し回って中古盤で『Keeping The Faith』というコンピレーションアルバムに収録されているのをやっとの思いで見つけた。Soonはオリジナル版もアルバム(Loveless)最後を飾るに相応しい壮大なトラックなのだが、やはりダンスに特化したこのミックスの方がグルーブ感があって好き。重たいギターのフィードバックが特徴的なシューゲイザーもWeatherallにかかればこのように踊りやすくなる。
GROOVE TUBE pt.2/Flipper's Guitarの元ネタでもある。

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Weatherall's Weekender (Audrey Is A Little Bit More partial mix)/Flowered Up

マンチェスター・ブームの終焉と共に消えていった数多のバンドのひとつFlowered Up。
自分も音楽雑誌にの宣伝にのせられてアルバム『A Life With Brian』を購入したけど、ほとんど聴かずに売っ払ったのを記憶している。そのため今となってはどんな曲をやるバンドだったか、ほとんど覚えていない。
試しにSportifyで同アルバムを聴いて少し思い出したのだが、ハリの無いボーカルの声質と必死な歌い方が残念ながら好きになれなかったのだと思う。(トラックはいかにも91年のマンチェな感じで悪くは無い)
そんなマンチェスターブームも既に下火であろう1992年に発表された名ミックス。どの辺りがリミックスされておりのだ?と疑問に思うほど、原曲は残っておらずサンプリングされたワンショットの声とタイトなリズムがジャンル的にはハウスなんだと思う。また、曲のテンポが後半スローに切り替わる展開が大仰でいかにもWeatherallらしくて良い。

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Only Love Can Break Your Heart (A Mix Of Two Halves)/St Ettienne

Neil Youngのカバー曲でSaint Etienne初期の超名曲。オリジナルは跳ねるピアノの印象的な楽曲なのだが、よりダークなダブミックスとなっている。バスドラムを逆回転したような音が特徴的で、途中からあまり加工されていないオリジナル版が挟み込まれるために元曲の良さも残っている名ミックス。余談だがこの曲にはMasters At WorkによるDub Mixもあって、声ネタが繰り返されるミックスとなっていて、それもまた良い。

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Regret (The Weatherall Mixes)/New Order

ダブっぽいユルいリズムで原曲のvocalを残した「Regret (Sabres Slow'N'Lo)」と、オリジナルの雰囲気をほとんど残さずに、ポップな4つ打ちに仕上げた「Regret (Sabres Fast'N'Throb)」の2ミックスを収録しているがどちらも陶酔感があって良い。
オリジナルは1993年発表のRegretからの先行シングルで、かなりポップでメランコリックな曲だがリミックスされたことによってもはや面影しかないが良い。

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改めてAndrew Weatherallの楽曲を探すと、今となっては入手しづらい楽曲が多く、当時は気付かなかったが、こんな曲までRemixしていたのか(New Orderとか)ということが多い。Andrew Weatherallコンピレーションが発売されると良いのだけど。

また、本当はYouTubeの楽曲を埋め込みたかったのけだどnoteで綺麗に埋め込む方法が不明(なぜか前後の文字に被さったりする)なので今回は割愛した。

最後に英国のFACTというサイトでAndrew Weatherall’s 30 greatest remixes」というページを公開していたのでリンクを貼っておく。
謹んでご冥福をお祈りいたします。

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