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2022年、夏の夜に聴きたいメロウなグルーヴの曲

今年の梅雨は明けるのが早くて暑い日が続くと思ったら、7月も中旬になって雨の日が続いたりと身体のバランスを整えるのにひと苦労。
いずれにせよ湿気とうだるような暑さには逆らわずに、チル・アウトよりはメロウなグルーヴのある曲を聴きたいときのR&B、ソウル、ソフトロックで、主にここ1年くらいにリリースされた音楽などの感想を。

Piece Of Me/Lady Wray

他名義も含めると、恐らく3枚目となるUSのシンガー、Lady Wrayによるアルバムは2022年1月リリースで、郷愁を誘うようなネオソウルとなっている、名盤。
Nicole Wray名義でのデビューが'98年だったというだけあって、ベテランならではの貫禄でまったりとしたソウル・ミュージックを聴かせてくれる。
一番のお気に入りは「Through It All」で、高音の少し掠れたボーカルと緩やかなビートが心地よくて、もう本当に何度もリピートしてしまう。これから先何年も聴きたくなるようなフェイバリット。
グルーブ感のある「Under The Sun」もリピートしてしまう。
「もう、こっち見るな」と言いたくなるほど無表情にこちらを見つめてくる、貫禄あるカバーデザインも段々好きになってきた。


First Nights EP/Arjuna Oakes & Serebii

ニュージーランド、アオテアロアを拠点にする2人組ユニットによる6曲入りEPは2021年8月のリリースで、まったりとしたソウル・ミュージックとなっている。

スローでもったりとした素朴なリズム、そうして枯れ気味な男性ボーカルと、落ち着いた女性ボーカルの掛け合わせが絶妙な「Holding Cell (feat. Mo Etc.)」が好き。
失恋や自己発見をテーマにしているだけあって全体を通した雰囲気は少し暗いけども、こういうのもたまには。
全曲を通して聴いた時に、ラスト「First Nights」のピアノの美しさが沁みる。


Tropical Gypsy/DJ CAM

かつてはフレンチタッチのプロデューサーとして括られていたDJ CAMによる11曲入のアルバムは、カバーデザイン通りリゾートの空気を感じさせるセンスの良いダウンテンポが聴ける。
もっさりとしたリズムと、印象的に挿し込まれるサックスの音色を聴いたらもう休憩するしかない「Tropical Gypsy」が好き。
ボサノバっぽい「Soul Assassin, Pt. 2」には、少しこもったピアノの音色によって身体の無駄な力が抜けていく気持ち良さがある。
残念ながら本作はSpotifyに無いようなのでリンク先はYouTubeの1曲のみ。


Are We Going Too Slow ?/Ckubhouse

オハイオ州出身の5人組によるバンドClubhouseによる7曲入りデビューEPは2021年11月のリリースで、ジャンルはソフト・ロックに近い。
リズムの雰囲気はR&Bに近いのと、ソフトタッチな男性ボーカルによる優しい印象の曲が多い。

バンドメンバーのひとりが難病(骨肉腫)を患ったらしいが悲壮感はなく、カバーデザインの長閑な自然の風景のイメージ通り。「Weekend」のポップセンスや、「Are We Going Too Slow ?」の穏やかさには没入感がある。

JúJú & The Flowerbug/Sunni Colon

LAを拠点に活動するシンガーSunni Colonによるリリースは2022年3月。ジャンルはファンク、ネオ・ソウル。普遍的な音楽で、どこか懐かしさを感じさせてくれて洗練されている。
カバー写真の表情は眠たそうにも見えるが、聴いてるこっちも眠くなるようなビートで、ゆりかごで揺られているかのよう。

ピアノの音色と穏やかなビートによる洗練されたR&B「Provide」がお気に入り。浮遊感のある心地よいギターサウンドとリズムがタイトな「JÚJÚ」も好き。


Amane/Boy Funktastic

カバーのデザインが気になったので試しに、と聴いてみたところこれが意外にも良かったのだが、検索してもろくに情報がヒットせず、分かったのはアルゼンチンのプロデューサーということ、Fabric、Funkyloverという変名でのプロジェクトも存在するということだけ。
ジャズっぽいサックスと、もったりとしたダウンテンポのインストは、真夏夜に眠れない時に散歩する際にでも聴きたい気分。


Black Acid Soul/Lady Blackbird

LAのシンガーLady Blackbirdによるデビュー・アルバムは2021年11月のリリース。
ピアノと力強く太いボーカルによる最小限の音で構成されたソウルテイストもあるジャズで、スローなバラード「Blackbird」がお気に入り。

情報収集していると、「Gilles Petersonがジャズ界のGrace Jonesと評した」なんてコピーを見かけるけどGrace jonesをよく知らない私個人の印象としては、Nina Simoneに印象が近いと感じるのは、普遍的なスタイルの音楽だから。
いずれにせよ、時流には乗れないかもしれないが、その分古びることもないカッコ良さがある。


Remember Your North Star/Yaya Bey

しなやかな女性ボーカルを聴かせてくれるアルバムは、2022年6月リリースでジャンルとしてはソウル、R&B、レゲエ、アフロビートなどとなるが全体的にまったりとしたビートが心地よい。レーベルはBig Dadaより。

Yaya Beyはニューヨーク出身で、ワシントンを拠点に活動するシンガーソングライターで本作がデビューアルバムとなる。
アルバムタイトルは黒人女性ならでは愛され方と深い傷からインスピレーションを得て、歌詞はミソジニー、欲望、自己愛などについて書かれているとのこと。
いつまで経っても気温の下がらない深夜の暗い部屋で、独り静かに聴きたいような、そんな音楽。


Look at it in the Light/Kate Bollinger

バージニア州を拠点に活動するKate Bollingerによる6曲入りEP。レーベルはGhostly International。

ジャンルはポップスになると思うのだけど、ゆったりとしたビートと線が細く控えめな女性ボーカルの組み合わせがなかなかクセになる。
お気に入りは牧歌的だけども芯の強さも感じさせる「Lady in the Darkest Hour」
メロディーの良さは確信的で、「どうせルックス先行でしょ?」と聴かずいるのは勿体ないと思う1枚。


Kids World/Sorcerer

US西海岸系の深みと浮遊感のあるパッドサウンドと、キックの4つ打ちがダウンテンポで心地よく流れて、耳馴染みが良いから夏の日没時に聴きたくなるような開放感のあるインストが8曲。
シンセベースが印象的で、音響系のシンセサウンドも室内空間でリラックスするのに最適な「Crunchy」がお気に入り。



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