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Gloria Estefan(感想)_頭を空っぽにしてくれるアッパーなリミックス

80年代中頃から活躍するGloria Estefanの紹介文によると、キューバからの移民でいわゆるヒスパニック系アメリカ人のサクセスストーリーの体現、または1990年の交通事故による瀕死の状態からの復活劇など。
正直に言ってGloria Estefaについてほとんど知らないけど、リミックス目当てでシングル盤を集めていたらそこそこ手元にある。

すべてのリリースの把握となると数が多すぎて無理だけど、90年代以降のリミックスには特にお気に入りのトラックが多くて、傾向としては大げさでこってりしたハウスが頭の中を空っぽにしてくれるから好き。
それらいくつかのお気に入りのリミックスをピックアップした感想などを。


You'll Be Mine (Party Time) (Classic Paradise Mix) (1996年)

アルバム『Destiny』からの2ndシングルで、あらゆるGloria Estefanのリミックスの中から現時点で最も好きなリミックス。
原曲はパーカッションが印象的で陽気なトラックで、それをゴスペルっぽいコーラスとドラマチックな展開のハウスにしたのがLove To Infinity
どんどんリフトアップして行って、どこまでも高いところへいざなってくれるような高揚感が最高。
踊れるし、リスニングにも耐えられる完成度の高さ。
「いいよ、何でも相談にのるよ?」ってな頼もしさを感じさせるポーズで、満面の笑みのカバー写真も素敵。


Don't Let This Moment End (1995年)

アルバム『Gloria!』からの3rdシングル。2022年にデジタルで再リリースされた際には、この曲だけでなんと21バージョンも収録されており、取り敢えず数曲聴いてみるも流石に飽きるというか頭がおかしくなってくる。

原曲はハウスビートでThe Sharp BoysMousse T.などの豪華なリミキサーが並ぶが、イケイケな「Don't Let This Moment End (Hex Hector 12" Vocal Mix)」だけあればまぁ良いかなという印象。

そうして、この盤のお気に入りは12インチシングルのB面収録曲の方。Tony Moranがリミックスに参加してオリジナル曲とカバー曲をメドレー(16分超え)で繋げた「The 70's "Moment" Medley」が素晴らしい。
特にJackie Moore「This Time Baby」のカバーからのアッパーな展開は本当にシビれる。「Never Can Say Goodbye」に辿り着く頃には、明け方の時間帯にミラーボールがキラキラしているような多幸感に包まれる。
こんなにも素晴らしいメドレーなのに、2022年の再リリースでは尺の短い異なるバージョンが収録されていて残念。


Everlasting Love (1995年)

前屈みにして胸の谷間を強調するけども、目線は「そちらを見てませんよ」のポーズがあざとく色気を漂わせている。
アルバム『Hold Me, Thrill Me, Kiss Me』からの3rdシングルで気になるリミックスはやはりこの曲でもLove To InfinityTony Moranによるもの。

どちらもか雨季の熱帯雨林かと思うほど湿度の高いエモーショナルなリミックスで、どれだけケーキへ多くの生クリームを使用できるのかを競っているかのようなしつこさに胸焼けするけど甲乙つけ難い。

「Everlasting Love (Classic Paradise Mix)」は、トライバルなリズムによるイントロ、電子オルガンや跳ねるような太いピアノの音色が印象的で最初っから全力疾走。
タメて、タメて、それでもまたタメをつくっておいて、なかなかサビがやって来ない「Everlasting Love (Moran's Marathon Love Mix)」はやり過ぎだろ?と思うけどそういうものだと思えばむしろ好きになってくる。


Turn The Beat Around (Def Classic Mix)(1995年)

Vicki Sue Robinsonによるヒット曲(1976年)のカバーは、アルバム『Hold Me, Thrill Me, Kiss Me』からの1stシングル。
Gloria Estefanのイメージに合っている、良い曲をカバーしたと思う。

David Moralesによるリミックスは王道な歌モノハウス。ラップのように早口でまくしたてたり、Congaを想起させるパーカッションなどが楽しげ。他リミキサーによる影響で「じゃあ、俺も」となってしまったのか、David Moralesのリミックスにしてはカロリー高めな気がする。


Reach (Higher Club mix)(1995年)

アルバム『Destiny』からの1stシングル。
原曲は壮大なバラードとなるが、David Moralesが原曲を素直に踏襲したハウスミックスに。

Love To Infinityによるリミックスはいくつかあるけど珍しくダウンテンポだったり。「Reach (Love to Infinity's Aphrodisiac mix)」はハウスビートだけど、淡白でいつものような脂っこさは無い。


I'm Not Giving You Up (Tony Moran 12” Remix)(1995年)

アルバム『Destiny』からの3rdシングル。
Tony Moranによるリミックスは、いつものやつを求めているなら期待を裏切らず、グイグイくる感じは無いけどメリハリをつけてくるのは流石。切なげなメロディと情感たっぷりにしっとりと歌い上げる様子はもはや演歌のようでもある。


Feelin' (Love To Infinity Remix)(1998年)

アルバム『Gloria!』のボーナストラックで、これもLove To Infinity
跳ねるピアノとゴスペルっぽいコーラスによるハウスのLove To Infinityで、爽やかでポジティブ。
尺が5分未満と短いので、長くていつものしつこいヤツを期待していると少し物足りなくはある。
アルバムカバーの髪のボリュームが凄すぎて、露出の多い身体の方へ視線がいかない。


Heaven's What I Feel (Victor Calderone Mix) (1998年)

アルバム『Gloria!』からの1stシングル。原曲はポジティブな印象のハウス。
「Heaven's What I Feel (Love To Infinity's Classic Paradise Mix)」もまぁ良いけど、Victor Calderoneがハードに仕上げているので、こちらの方が踊れる。
強い光で色んなものを飛ばしすぎて、カバー写真のグロリアが急に老け込んだように見えるのは、スタイリストのせいかそれともカメラマンのせいか。


リミックスをざっと振り返ってみると、とにかくLove To InfinityTony Moranのリミックスが目につく。
本音を言うと、Love To InfinityTony Moranのリミックスというのはいかにもというか、ベタ過ぎて好きと公言するのが恥ずかしいところがあったのだけど、もう最近は一周回って好き。
様々な書体が入り混じっていて、文字サイズのまちまちなタイポグラフィーも時代を感じさせる。


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