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Rock Novel 「シンデレラ物語」シナモンロール 1

「いらっしゃい〜お客様この美容院初めてですよね?」

「あんたが、エミリーさん?」

「はい、そうですが。」

「俺たちみたいな髪が長い連中の相手
してくれるって聞いたからさ!」

「え?」

「ああ、ごめん🙏そっちの相手じゃなくてね、
あの毛のテイクケアの話しなんだけど!」

「(苦笑)そうですよね、ちょっとびっくり
しちゃった。何か髪のご相談でも?」

「ああ、ちょっと毎日スプレーかけ過ぎで
毛が傷んでて、からまっちゃてるから
どうにかならないかなって。」

「じゃ、とりあえず今日は毛先揃えて
シャンプーしてヘアトリートメントって言うのは
いかが?」

「あ、お任せするよ!」

「はい、ありがとうございます。
誰のご紹介ですか?」

「リタの!」

「ああ、あのゴーゴーズじゃなくって、
えーと?」

「ラナウエイズ!」

「そうそう、ギター🎸のカッコイイ
イギリス人のお姉さん!」

「エミリーは日系人って聞いたけど!」

「そうなんです、パパが海軍で日本に来てて
ママに出会って、サンディエゴで私が生まれて。」

「そうなんだ、うちのギターのジェフも
かーちゃんが日本人なんだ。」

「すいません、どのバンド?」

「あ、言い忘れてた俺達はシンデレラって
言う、俺はリーダーのトム、よろしくね。
最近ナッシュビルに越して来たんだ。」


「こっちこそすいません、ナッシュビルって
一杯ミュージシャンが居るから
覚えられなくて。」

「どうして、サンディエゴから
ナッシュビルに?」

「うーん、話すと長くなるから。。。」

「そう、じゃまた今度聞かせて、
あ、ごめんよ。個人的な事言いたくなきゃ
イイんだよ。」

「あ、そう言う意味じゃないんですけど、、、
まだ頭の中が整理出来なくて。」

「そうなんだ、わかる気がするなぁ
だから、俺なんか作詞して作曲して
頭のごちゃごちゃ整理して表現してるんだけどね。そんなんで、髪も、もじゃもじゃだけど。
なーんか最近気分んもモヤモヤしててさ。」

「(大笑い)トムさんて面白い🤣!でも
イイですね、音楽や絵が描ける人って!
羨ましいわ!」

「エミリーも美容師で色々表現してるんじゃ
ないの?」

「そうかな?まだ経験も浅いし、
表現ってほどでも無いんですよ。」

「でもシャンプー最高に上手いよ、
とっても頭がリラックスできたし、
ちょっとしたマッサージセラピーだよ。
疲れがいっぺんに取れた気がする。
メイク ラブ❤️よりイイくらい!」

「やだ〜でもそう言って貰えると嬉しいです。シンデレラのトムさん!私、日本で美容師の
修行もしたからかしら?」

「実は俺が最近別れた女房があんたと
同じ名前でさ、それもあってここに
来てみたんだよ。それでニュージャージーから
ナッシュビルに心機一転来た訳さ。」

「ごめんなさい〜奥様の事思い出させちゃって!」

「君のせいじゃ無いよ。変な事言って
悪かった。まだ彼女に未練があるのかな?」

「実は私もサンディエゴの
海軍将校の夫と別れてここに心機一転
一人で来たんです!」

「なーんだ同じだね!」

「(笑)そうですね、で、名前がこっちも
トムでした!」

「え!冗談でしょ!
俺のこと担いでんでしょ?
もしかして、元トップガン、トム クルーズ
みたいに?」

「トムって名前ほんと多いですからね!
夫はフィラデルフィア生まれで。」

「え、俺もフィラデルフィア生まれ!」

「え、信じられない!変な巡り合わせですね。」

「ちょくちょく、シャンプーに来ても
イイかな?」

「もちろん、まだ自分のお客様が少ないから
助かります!」

「うちに出張で来れる?
家から出たく無い時が多いんだ。」

「トムさん、大丈夫ですか?
シャンプーより心理カウンセリングに
行った方が?」

「うん、精神安定剤は飲んでるけどね。」

「私も離婚したばっかりの時は
不安で息もできなかったから!」

「そうなんだ、君も辛かっただろうね。
コーヒーでもこの後どう?
シナモンロール美味しいとこがあるんだぜ。」

「あ、なんで私が好きなの知ってるの?」

「エミリーも好きだったから。」

「なーんだ!」

「女の子は大抵シナモンとジンが好きじゃない?
ちょっとクセがあるもの」

「そう、ジントニック大好き❤」

「だろ?お茶はすっ飛ばして
ハッピーアワーにするかい?」

「それもイイですね!でもトムはお薬飲んで
るんだからお酒はダメよ!」

「俺はジン抜きのトニックウォーターと
ライムでいいさ!君のお好きな方で!」

(大笑い)「ほんと私も今は
男性より、シナモンロールの方がいいなぁ!
甘くて刺激的〜でも傷付かなくて
済むもの。」

「うん、全く、じゃちょっと待ってて!
今コーヒーとシナモンロール俺が買ってきて
やるからさ😋」

「ありがとう、シンデレラさん、
これ夢じゃ無いですよね!?
じゃ、シナモン入りのパンプキン🎃ラテも
お願いしていいかしら?ちょっと疲れちゃった!
トムの髪長いんですもん。」

「お易いご用意!じゃちょっくら
カボチャの馬車で行ってくるよ〜:)」

The End

1996年
トム キーファー 35歳
エミリー ジョンソン 32歳

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