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Rock Novel「シンデレラ物語」人魚のイヤリング

「トムお兄ちゃん〜ここ、ここ!」
パシャ パシャ 🧜‍♀️🧜‍♀️🧜‍♀️

「人魚たち海の底に隠れていてくれよ。
だから、船上コンサートなんてしたく
なかったんだ。」

「お兄ちゃん、お母さんからのメッセージ
あの、ジョンって言う人を私たち人魚の
歌声で誘って、明日までに海の魔物に
差し出さないと、お兄ちゃんは〜もう
人魚に戻れないのよ。それどころか
海の藻屑になってしまうかもって!」

「ジョンの事は放って置いてやってくれ、
オレの命をかけてもアイツの事は守りたいんだ。」

「お兄ちゃん〜それでいいの」

「ああ、藻屑になる覚悟!」

(次の日)

「ジョン、大丈夫か?昨日の晩はうなされてた
ようだけど?」

「あ、マネージャー、変な夢を見てたんだ。
トムにそっくりな女の人魚達が、
綺麗な声で歌って俺を海の底に誘うんだよ。
一緒に行きましょうよ!って。」

「冷や汗かいてたぞ。」

「海の底が暗くて、寒くって、怖かった。
トムが海を怖がるのが分かった気がする。」

「さ、次はお前達のバンドMermanの出番だぞ。
KISSなんかに負けないヘビィな音出して
くれよ。トムは何処だい?」

「お、トム何処行ってたんだよ。お前の
赤いギター🎸置きっぱなしで、初ステージ
怖くて、トイレで吐いてたのか?」

「ああ、実はそうなんだ、船酔いで!参った。
心配かけてすまない、マネージャー、ジョンも」

「しっかりしてくれよ!ここで失敗したら
お前らの努力は全て海の泡!海の藻屑だぞ!」

「人魚姫みたいに泡になっちまうな!」

「ジョン、それは言わないでくれよ。」

「ジョーク 冗談だよ。トムのギター🎸の
腕を俺は信じてますって!さ、行こう!」(演奏開始)

「お前らサイコウだったぞ、トムとジョンの
歌声に! 海の人魚姫も真っ青で、聞き入ってたんじゃないのかな?」

「海も波🌊ひとつ立てずにシーンっとしてたね!
トム!ギター🎸ソロもよかったよ。」

「ジョン、ありがとうよ。オレの声とギターで
人間を感動させるって言う夢が叶った
もう何も思い残すことは無いんだ。」

「人間って?お前も人間だろう?2本足で
立ってる、変なこと言う奴だね!全く!」

「ジョン、リッチーって奴がお前に
話があるって言ってるけど?」

「?何だろう?」

「ジョン、演奏は聴かせて貰った、僕は
リッチーって言います。失礼だけど、
あのトムって人より僕の方がギターの
腕は上だと思うな。
『人魚』何て甘ちょろいバンド名じゃなくて、
あんたの名字の『ボンジョビ』で正式デビュー
した方がいいと思うな。僕と組まないか?」

「生意気な奴だな、お断りするよ!」

「明日までに君の全曲コピーしとくから、もう一度
考えておいてください。」

「勝手にしろよ!」

「トム、心配するな、俺はお前を裏切ったり
しないから。」

「ジョン、いい奴じゃないか、リッチーって。
ボンジョビか、いいかもね!」

「何でそんな事言うんだよ!お前居なくなっちゃう
様な口ぶりだな?」

(次の日)

「バシャーン!」

「おーい、誰かがデッキから🚢落っこちたぞ、
髪が黒い奴だ!」

「ジョン、トムが居ないぞ!ベッドに手紙がある」

ジョン、アリガトウ ボク ハ ウミニ
カエリマス ダマッテ イテ ゴメン
コノ ボクノ ニンギョ ノ ナミダ
ノ シンジュ ヲ ウケトッテ クレ 
リッチー ト ウマクヤレルヨ キット!
             トム ヨリ

「トム、やっぱりお前は人魚🧜‍♂️だったんだね。
君の涙の真珠でイヤリングを作って、
肌身離さず付けてステージに立つよ!」

潮風に乗ってトムと姉妹の人魚達が歌う🧜‍♂️🧜‍♀️
声がジョンには聞こえた様な気がした

「Nobody’s Fool Nobody’s Fool
溢れ出る真珠の涙を指折り数えて〜♫
お前を想っているよ〜
あれから千年の時が過ぎたようだ♬」

トムが泡となって海に消えてしまったのか、
何処かの街でまだ歌っているのかは誰も知らない。
ボンジョビはその後ジョンとリッチーで
有名になったのは周知のことだが、
もし君の街に潮の香りのする黒髪を持った
男がが現れたらMermanかも知れない。

The End

lol




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