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Rock Novel 「シンデレラ物語」番外編 半魚人のKISS
(ジャボーン)
「おーい、男女が岬から落ちたぞ」
ここは唐人お吉が身を投げた所で有名だ
唐人お吉の舞台をやった有名女優も昔
車ごと海に真っ逆さまに落ちた場所
何かが彼女達を呼んでいたのか?
海の底の様な紺碧の目が見つめていた
「生きて、僕の最後の一呼吸
まで君に捧げる、目を覚ましてくれ。」
と言って、女と一緒に海に飛び込んだ
青い眼の男は女の口に息を吹き込んだ。
人間から半魚人の姿に戻った、男は
女を漁師の船のそばまで運んで
海に消えて行った。
陸に戻った漁師は、こんな話を
「昔からのここら辺の言い伝えでな、
人魚🧜♂️に誘われた女どもがよく岸壁から
身を投げたそんだ、この人もそうだった
んかも知んねいな、でも息を吹き返してくれて
よかった。」
「この女性と一緒だった男を見ませんでしたか?
靴が2足岬に脱ぎ捨てられていたんです。」
「この人のそばに男が一瞬浮かんでたんが
見えたんだが、波に🌊乗って
消えっちまってな、不思議な事に男の
身体は鱗だらけだったな。魚🐟んみたいになぁ。」
「男が人魚🧜♂️そんな馬鹿な!」
「人魚の肉を食べると、50年寿命が延びる
と言う言い伝えんもあるんだ。ここんでは。
食った事ねいけんどね。」
「じゃ、反対に人魚は何故人間の女を
海に誘うんでしょうか?」
「永遠の命を海の魔物から貰えるそんだよ、
女を魔物に差し出せば〜な。」
「じゃ、この女性を、どうして今回は
海の底に連れて行かず、離したんでしょうかね?」
「人魚🧜♂️が自分の生命よりもその女を
大事に思ってしまったんでねいか?」
「冷酷な人魚も恋してしまったんでしょうか?」
「そんかもしんねいな!」
「この人は別嬪さんだが、誰か?
有名な人なんかい?」
「ええ、行方不明になっていた、
ミュージカルの舞台女優さんです、」
「そんだったのかい。そりゃ、たまげた。
オレの船がたまたま通りかかったのも、何かの
縁だな。助かってくれてよかった。」
「本当。おじさんのお陰です。
ありがとうございます。」
「あんたは?」
「あ、私は彼女のファンで音楽ライターなん
です。失踪した彼女を探し回っていたんですよ。でも不思議な話ですね、彼女と一緒に居た
男は外国人だった様なんですが、
やっぱり同じ舞台に出ていた、この写真🤳」
「多分な、髪は長くて外人さんぽかったな。
そう言えば。唐人お吉もついて行った人魚なら
青い眼だろうな。」
「ハハハハ〜全くおじさんの言う通りだ。
下田と言う漁村は何とも風情がある
所ですね。」
「そんだよ、あんた、5月、6月の
紫陽花の季節に来ればいいさ。黒船祭りも
いいよ。」
「そうですね、是非伺います。」
The End