Rock Novel 「シンデレラ物語」Sun 💥 burst
「Yo! ジェフ こっち来いよ!」
「何さ、トム」
「59年 レスポール サンバーストもう一本
手に入ったんだよ。」
「おー、すっげ〜」
「欲しいかい?」
「ギターやってて欲しくない奴いる?」
「じゃ、やるよ!」
「マジで?」
「ああ、俺2本もう持ってるしさ!
お前頑張ってるもんな。日本初公演🇯🇵🤚
ジェフのソロ良かったって、日本のギター雑誌の奴も褒めてくれてさ、俺も鼻が高かったよ。」
「リーダー!ありがとう😭嬉しいよ。
デビューした時は安いの2本しか持ってなくてさ、
今、こんなギター🎸世界に100本しかない
ビンテージギターの1つを持てるなんて
夢みたいだよ。」
「ああ、信じられないよな。
フィラデルフィアのクラブで何年もやってて
レコード会社に山の様にデモ送っても
突っ返されて、壁紙に出来るほど、
リジェクション レターもらってさ、」
(大笑い)
「これ、全部夢だったらどうしよう。
大きな屋敷も、車もワイフも猫も🐈
好きなギターも買えたけど、全部シンデレラの
魔法で、いつか消えちまったらどうしよう
って俺、怖い時あるんだよ。」
「ああ、俺もそう感じるよ。
速すぎてついてけないよな。
この成功がさ。第二弾のレコード
会社からもうせっつかれてるしね。楽しんでる
余裕ないなぁ。」
「日本の親戚がさ、一気に増えたり、
高校生の時に喧嘩したり、無視して来た奴らがさ
友達だったよなぁって顔で急に近づいて来たりさ、
俺凄くナーバスになる時あるよ。シラフじゃ
最近人と会えないんだよ。」
「ああ、分かるよ。」
「いつまで、やってられるんだろう?」
「ジプシー ロードだよなぁ、まったく。」
「ツアー ツアー 日が暮れてもツアー!
日が昇ってもバス🚌ツアー!」
「ジェフまだ、結婚したい子はいないのかよ?
俺はさっさと日本行く前に式挙げちまったけど。」
「まだ居ないよ、そんな子は。日本で
お見合いパーティーでも行けばよかったかな?」
「お前さ、お見合いパーティーどこじゃ
ないだろう、普通のパーティーで手一杯じゃん!」
「ハハハ、バレてた?」
「ギター演奏に支障が無い様にしてくれよな!」
「ジミー ペイジだってヘベレケで弾いてるじゃん。」
「あの人は特別、寝てても弾けるの。
俺たち凡人ギター🎸リストとは違うんだからさ。」
「トム兄貴だって、ジニアスだと俺は尊敬してるよ。謙遜し過ぎだよ。」
「いや、俺がわきまえてるだけ。
兎に角さ、折角手に入れたんだもん
レスポール 宝の持ち腐れに
しない様にさ、俺はシラフで弾くさ!」
「Don’t Know What You Got till’ It
Gone! ♫ だね。リーダー!」
「お、いい事言うじゃん、ジェフ
それ次の曲のタイトルにしよっと!」
「いい曲出来ると👍いいね。トム!」
「ああ、『ジプシー ロード』っていうのは
書き上げたしね。」
「次のアルバムのコンセプトはツアー続きで
家に帰れない俺らの悲哀がテーマなんだ。」
「いいね〜 Yo、ブルースマン!」
(大笑い)
1987年冬 フィラデルフィア
トム キーファー 26歳
ジェフ ラバー 24歳
2020年7月14日 ナッシュビル
ジェフ ラバー 58歳 永眠