【「禍話」リライト】想像の家の中【怖い話】

前書き

 2016年8月から始まった大人気「怖い話」ツイキャス、『禍話』(まがばなし)。週に一度、ばらつきはあるものの大体1時間半ほども怖い話をし続けるという驚異の活動力・怖い話ぢからをもった語り手のかぁなっき氏の魅力ある語り口に魅了されたサポーターたちの増加は留まることを知らず、2021年現在すでに2200人を突破している。
 そんな禍話であるが、質のいい「怖い話」が多数語られているのにもかかわらず、著作権がフリー。訓練されたサポーターたちが、怖い話によってこの世にあまねく「禍」をふりまこうともくろんでいるかぁなっき氏の意を汲んでか知らずか、かぁなっき氏の語る「怖い話」を文章の形に書き上げたものが、Twitterなどで見かける「禍話リライト」である。
 そして本項以降に続くのもまた、今怖い話界で最も熱くて怖いツイキャス『禍話』の、記念すべき第一回放送第一話の「リライト」である。

想像の家の中
 

 家に幽霊がいるかどうか知る方法。怖い話をネット上で漁って読むような人ならきっと一度は耳にしたことがあるだろう。
 目をつむって自分の家の中を想像し、玄関から順にすべてのドア、窓を開けながら部屋を巡っていく。そうして最後の部屋まで行ったら今度はさっき開けたドアと窓を全て閉めて戻っていく。こうして巡っていった部屋の中に、想像であるにもかかわらず人がいた場合、それはその部屋に実際に幽霊がいる証だというものだ。
 これは絶対にしない方がいい、というのがこの話である。

 とある女子校でのことだ。放課後、友人同士で話しているときに、「家に幽霊がいるかどうかを知る方法」であるということを伏せて、心理テストとして数人の友人に答えさせ、そのあとにネタ晴らしをする。そういうドッキリを考えた生徒がいたそうだ。
「ちょっとこれやってみてよ、テストテスト」
「えー、何?心理テスト?」
「目ぇつむって、自分の家を想像したら、玄関から全部のドアを開けていって開けていって開けていって……」
「うん、全部開けた」
「で、家の奥まで行って、全部開けたら今度は閉めて戻って……で、最後に玄関を閉めました」
 全員がそこまでたどり着いたのを確認すると、彼女はこう聞いた。
「では、家の中に誰かいましたか?」
 本来なら、ここでネタ晴らし。そこに幽霊がいるってやつなんだよね。といえば終わりだった……のだが。
 「すごいねこれ!」
 突然一人が言ったのだという。
 「これすごいね、びっくりした」
  もちろん仕掛けた側としては予想もしていない反応だ。
「え、何が?」
  思わず聞き返す。
 「どの部屋行っても、お母さんが後ろ向きで立ってる」
 「どの部屋行っても、お母さんの肩がものすごい揺れてるから、たぶんお母さんすごい勢いで笑ってるんだと思うんだ」
 
「ねぇねぇ、ちなみにこれ何がわかるの?」

(出典)禍話 第一夜(1)

※「禍話リライト」は無料かつ著作権フリーの青空怪談ツイキャス「禍話」より、編集・再構成してお届けしております。

禍話公式ツイッターはこちらから→ 禍話(@magabanashi)

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