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「越前海岸」の思い出

修学旅行の記事で、宮崎県の「鬼の洗濯板」に触れ、家族で訪ねた奇岩の海岸を思い出しました。

息子たちがシュノーケリングしながら魚を捕獲することにハマっていましたので、砂場より磯場を選ぶ方が多く、私たち家族は「磯場フェチ」だったのです。

昨年、記事にした和歌山の「天神崎」もそうですが、同じ県内の「三段壁さんだんべき」「橋杭岩はしくいいわ」もなかなかの奇岩の景勝地であり、磯場を求めて、私たちは紀伊半島はすでにくまなく探検済みでした。

そこで、ふと浮かんだのが福井県の「越前海岸」です。

下調べもせず、予期せずに見つけた日本海側の景勝地がそこにはありました。

確か13年前の長男が中2、次男が小5ぐらいだったと思います。
「東尋坊」「松島水族館」への旅行を計画したことがありました。

越前海岸沿いを走り、途中、良さそうなスポットがあれば、そこで磯遊びし、行き当たりばったりのワクワク感を楽しみながら目的地へ向かったのです。

めいっぱい遊ぶつもりで夜中の、夜中の3時半ごろに自宅を出発し、途中「呼鳥門こちょうもん」や「銭ヶ浜ぜにがはま」に立ち寄り、さらに北上しました。

もちろん早朝なのでまったく渋滞にも遭わず、「呼鳥門」に着いたのが、まだ朝の7時頃でした。

画像クリックでGooglemapが立ちあがります。



弁慶の洗濯岩

自然が作り出した造形美

銭ケ浜からそのまま海岸沿いの305号線を走り、何度も車を止めて海岸の様子を確認しながら進むと、素晴らしい景観の海岸を見つけました。

その駐車場の石碑には「弁慶の洗濯岩」と刻まれていました。

まるで、高波が崩れ落ちる瞬間で固まったような形の奇岩が延々と続き、その様子に目を奪われてしまったのです。

その名の由来は、

源氏の英雄源義経が源頼朝より追われる身になり逃れる途中、義経と弁慶一行が、この洗濯板のような岩で洗濯を行ない休息したといわれる伝説によります。

ふくいドットコム

限りなく真実とは言い難い「伝説」です💦

不思議な事に、この海岸に着いたとたん、早朝の曇天がすっかり晴れ渡り、その景観が徐々に露わになるのを目の当たりにして、あまりの美しさに感動して呆然となったのを憶えています。

きっと、気が遠くなるほどの年月をかけて、自然が作り出したであろう造形美は、どんな有名デザイナーのオブジェにも優ると実感しました。

この日は風もなく海も凪いでいたのもあり、大袈裟ではなく、本当にここは天国か極楽かと思ったほどでした。


兄弟で魚獲り合戦!

早速、息子たちが水中を探検ところ、メジナの稚魚が多く見られ、金魚すくいならぬ「メジナすくい」の兄弟対抗戦を開始することになりました。

2時間という時間制限内でどちらがたくさん獲るか1000円の賞金を懸けて競争です。

早速、次男は自作のペットボトルの仕掛けに魚肉ソーセージを餌にっして設置しましたが、長男はせっかく作った仕掛けを置くこともなく、ただシュノーケリングで魚獲りです。

きっと仕掛けに頼らずとも弟には負けないというハンターとしての余裕だったのでしょう。

次男はというと、シュノーケリングしながら、時々仕掛けも確認するという、忙しさです。

「何匹おる??」と数える次男。

「この勝負もろたな。」と、得意満面の長男でしたが、終わってみれば、長男が47匹。次男が58匹。なんと!次男が逆転大勝利だったのです。

丸い容器が長男。四角い方が次男。

ある程度獲ったら休憩していた長男に比べて、制限時間ギリギリまでモーレツに獲りまくった次男。

その二人の対比が実に面白かったです。

二人の性格は未だに変わらず、長男はある程度で諦めるのですが、次男は諦めないガツガツタイプ。

二人は正反対の性格なのです。

獲ったメジナを全て逃がして、次男が1000円ゲットして大会は終了したのですが、次男は休憩することなくその後も泳ぎまくりましたが、長男は、車に戻って休憩したまま結局、もうココでは泳ぎませんでした。

片時もじっとしていない次男は日頃、炎天下でサッカーをしまくってるからか、スタミナは底知れないのです。



鉾島ほこじま

極楽のような景色に後ろ髪を引かれながらも、海岸線をさらに北へ進むと、明らかに岩の形が変わってきましたた。

そしてひときわ目立つ山を発見!!


東尋坊と同じ「柱状節理」

細長い角材のような岩が下からニョキニョキっと衝き上がり、それらの長短を利用して構成されている「鉾島ほこじま」です。

黒雲母角閃石流紋岩柱状節理の島である。

Wikipedia

ブラタモリをご覧になっている方はご存じだと思いますが、「東尋坊」と同じ形状の「柱状節理」で、小さな東尋坊という感じです。

高さはだいたい50mの柱状の岩で、途方もない年月をかけて日本海の荒波に浸食されて形作られたのでしょう。

インパクトある島なので、必ず目に留まります。


「不動明王」を祀る小さな祠


この島には遊歩道が通され、実際に登ることができます。
頂上には、ほんの小さなお社があり不動明王が祀られている鉾島神社があります。

その神社の伝説が以下の通りです。

村一番の働き者の若者は、寝たきりの老母の滋養のため、毎日早朝から鯛を獲って母に食べさせる孝行者でした。
ある日若者が漁をしていると、眩しく光る不動明王像が網にかかり、持ち帰ってその夜、枕もとに置いて寝ると夢に現れ、
「親孝行な息子よ。お前は私を鉾島の頂きに祀るのじゃ。大事にいたせよ。」
言われた通りに小さな祠を建てて祀ると、それ以後、漁の間は荒波はピタリと止み、いつも大漁となった。

現地案内板の記載を要約

それ以来、地元民の篤い信仰を集めているとの事です。

実際に登ってみましたが、登るほどに道幅は狭くなり、崖っぷちを登るスリルはなかなかの冒険ですが、頂上からの眺めはため息が出るほど美しいです。


兄弟でシュノーケリング

その鉾島のふもとの海も恐ろしいほど美しいです。

「うわぁ!!ここで泳ぎたい!!」と、次男の一声に長男も頷き、ここでしばらく落ち着くことにしました。

駐車場が高台になっていて、海を見下ろす位置なので、そこから見ると、水の透明度が高いせいか浅く見えるのですが、実は深いらしい…

らしい…というのはなぜかというと、親二人は高台にある木陰から、一歩も動かず高見の見物だったからです。

この頃はもう、親がピッタリついて体を張って泳いだり、必死になって魚を捕まえることなどしなくても、兄弟だけで大丈夫になってきていたのです。

離れた涼しいところで、息子達から目だけは離さず見守るだけで十分で、ずいぶん楽になっていました。

こういう時の兄弟は便利で、普段は喧嘩ばかりでも、この時ばかりは仲良く楽しんでいます。

「おった、おったー!!」
「おまえー、どこ見てんねん!!そっちや!!」
長男の声が聞こえるのは、どうやら、また何かを見つけたらしい。

体長は5cmほどイシダイの幼魚2匹をゲットしていました。

深いところに潜り、二人で力を合わせて、追い込みながら捕獲したと言っていました。



人 と が 織 り な す
のまち 越 前

越前町環境基本計画よると、大まかな4つのプランを核として、人の営みと自然が調和し共生する社会づくりを目指しているようです。

・ひとづくり
・生活環境 向上
・自然、歴史、 環境保全
・循環型社会 共生

学校での環境教育にはじまり、住民による美化や環境保全の活動など、郷土を守るための意識啓発が積極的に行われています。

山間地では、渡り鳥や猛禽類などの多様な生態系や絶滅危惧種のアベサンショウウオの生息が確認されていますが、河川ではホタルやメダ カなどの身近な生き物の生息地が減少してきました。

また、越知山おちさんなどのブナ林、越前海岸の水仙など、優れた植生が今もあります。

ここでも山と海との自然体系と、動物や人間との共生が常に課題のようです。

この美しい越前海岸の景観も歴史的文化遺産とともに次世代へと伝えていく取り組みはとても大切だと思います。

私たち家族の思い出の美しい海岸を
ぜひ今後も守って欲しいものです。


◇◇◇


このあと東尋坊まで行き、翌日は松島水族館も楽しみました。
有名な観光地でなくとも、こんなにも素晴らしい場所を見つけ、翌年、もう一度行ったと記憶しています。

今では息子たちはすっかり成人し、家族で自然と触れ合う機会は無くなりましたが、今も家族の大切な思い出として、しっかり胸に刻まれています。

たまにフッと思い出すと、懐かしさでいっぱいになります。




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千世(ちせ)
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