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「地獄思想」というモラル

「“『地獄思想』というモラル”とは奇異な言い方だが、地獄というものが『見せしめ』として存在する以上、『地獄』が、最も極端な形をとったモラルであることに間違いはない。私はそのように思う。だからこそ、その『地獄を必要とするような社会の豊かさ』を抜きにして、『地獄思想のあれこれ』を論じても無意味であろうと、私は思うのである。」

橋本治『ひらがな日本美術史』

「人間というものは、『根元的恐怖だからこわい』とばかり思うものではなくて、『甘美なものを“根元的恐怖”という言葉で表現してしまうもの』でもあるのだ。
だからこそ、『恐怖映画』という娯楽がある。だからこそ、マゾヒズムという快感がある。サディズムという快楽も。人間のモラルというものは、それが極端な形を取った時、必ずその裏に、『それを必要とする人間の欲望の複雑』をあぶり出すようなものでもあろうと、私は思う。」

橋本治『ひらがな日本美術史』


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