言葉が消えてしまうのは、その言葉が指し示すものがなくなってしまうから。そしてそれは、そのものを支える仕事がなくなっていることでもあります。
しかしこの本の重要なところは、なくなってしまったものを懐かしむ本では「ない」ところです。
存在しているのに、気づかないでいるものがある..。
消えた言葉に関して問題なのはこちらのほうだ。ものがなくなるのは習慣や生活環境の変化によるものである、でも永い歴史を経て残り、存在しているのに、言葉のほうが先になくなってしまうということがあるのです。
どうしてそれがここにあるのだろう?
これは何と呼ぶのだろう?
コレはいつからあるのだろう?
そういう疑問すらなくなって、視野がどんどん狭くなって..。 存在しているのに「見えなく」なっていて、それに平気でいること、言葉を知らないというのは、そのように貧しくなってしまうことなんだということだと思いました。