戸棚の文子ちゃん
現実と空想が入り混じる新感覚、超超短編小説
ケータイひとつあれば、 いつでもどこでも言葉の意味を検索できる。 でも、自分に向けられて言われた言葉の意味は どうがんばっても検索できない。 何であのとき、あんな言葉をかけてくれたのか。 未だにわからない。 わからないのに その言葉をどこか信じている自分もいる。 音声は一瞬で消えていくのに 人の頭の中には残り続ける。 本当に面白くもあり、怖くもある。
"屋台を冷やかしながら歩く" なんと夏らしい言葉だろう。 今夏、この言葉を満喫したい。 そんなこんなで、数年ぶりに地元の祭りへ。 チョコバナナにラムネ、たこ焼き、リンゴ飴。 最近は、チーズハットグなんかも売ってるらしい。 歩けど、歩けど、屋台が続いて、 ああ、今夢の中にいるのだ と錯覚する。 お店を冷やかしながら歩きたかったけど 中々難しいもんだなぁ。 気づいたら屋台に吸い寄せられて、 両手に飯。 「冷やかす」はポジティブに捉えづらい言葉かもしれ