2022→2023
あけましておめでとうございます。
生まれ故郷大阪の、大阪と奈良の県境にある実家の、こたつに座ってこれを書きはじめました。部屋着にメガネにすっぴんで、実家って感じ。自宅じゃなくてもできる作業はしつつ、温泉に連れてってもらったり、おせちを食べたり、アプリで「HUNTER×HUNTER」のキメラ=アント編読了して泣いたり(良すぎた)、姪っ子と甥っ子を愛でたり、おかんのご飯を食べたりとお正月を満喫しています。おかんのお雑煮は、白味噌でまる餅。
駅から家までの道を歩いていたら、道の真ん中をゆっくり歩く爺さんの姿。追い越せず困っている車を見て、その場に居合わせた人がほぼ同時に「じいちゃん、端っこ歩きや!」「危ないからこっちきい」とわざとらしくない声で言う。どこの誰ともわからん爺さんは「ああ〜ほんまでっか〜。えらいすんませんな〜。」と言いながら道の端にヨチヨチ向かう。
毎度大仕事なオリーブとジンジャーを連れての帰省。新幹線の乗り口でカワイイですね、と話しかけてくる親子連れ。お子さんに「ねこ、好き?」と聞くと、「うん、好き。ほんまはな、犬飼っててんけど死んでん。こないだな、◯◯ちゃんとこにまたネコ一匹来てな、こんな大きさでな、ほんでな、」と止まらない。「また」って言われても、わかんないのになぁと内心笑いながら「そうかそうか〜。」と私。
関西の人は、初対面でも遠慮なく喋る。全員がそうではないけど、やっぱりよく喋るなって帰る度に思う。でも馴れ馴れしいと不快に感じないのは、私が関西で生まれ育った証拠なのでしょう。もう二度と会わないのに、いままでも何度か会ってて、これからも会えるような気になる。新宿で気安く話しかけてくる奴のタメ口となんでこんなに違うんだろね。
実家にはもう姉も妹もいなくて、そこそこの初老になった両親が二人で暮らしている。元気だけど、老けたなあと思う。私は老けた今の両親がすき。姉のところに3歳の甥と0歳の姪、妹のところに今年小学生になる姪、ばあちゃんは入院中でお見舞いはご遠慮くださいだそうな。
2023年正月の藤井家はこんな感じ。
2022年が飛ぶように終わって、今2023年にいる。振り返るのはあまり好まないけど、記録として残しておきたい2022年でした。
▶1月
2022年を迎えてまもなく、2021年末に出演した「泊まれる演劇」の『藍色飯店』のPVが公開になりました。
時を忘れたホテルに訪れた女性役。部屋にはいろんな時を忘れた旅人がいて、私もその一人で、私はこれを観るたび、夢のような空間だったなと思い出す。夢だったんじゃないかな、とも。どの作品も終わると消えてしまう夢みたいなもんですが、『藍色飯店』はずっと大切な作品。
▶2月
低身長向けのブランド「ensmall」のアンバサダーをやらせていただいてて、契約満了した月。ずっとやりたかった服の仕事に携わった。インフルエンサーでもなんでもない私を起用してもなんの得にもならなかっただろうに、人間同士の接し方をして下さって嬉しかった。2シーズンほど関わった。また服の仕事やりたいな。担当の皆様が元気にしてますように。
▶3月〜4月
佐藤佐吉演劇祭の関連企画で新設団体だけを集めた「見本市」というショーケースイベントに、自分の演劇ユニットSHIMAISHIBAIで参加。旗揚げ公演となりました。『エレファンドッグシンドローム』とゆう30分の短編を作るために心血を注いだ日々。たった30分なのに、書きたいことが書けなくて、やりたいようにできなくて、なんもできないことを痛感した。すごくしんどくて、すごくたのしかった。とても純粋に、子供のように居た。知らないことに出会うと、私はとてもうれしい。
やってみないと「もういやだ!」となるか「またやりたい!」と思うかはわからない。やってみたから、続けたいと思えた。私は書くことがすきで、演劇がすきで、人がすき。とっても。
ちなみに、年末に発表になった「佐吉祭2022」の各賞にはかすりもしませんでした。なんでやねん。ぴえん。
▶5月〜6月
舞台『redo、雨』の稽古と本番、11月本番の舞台のWSオーディション、長編映画の撮影、9月のSHIMAISHIBAI本公演の準備などでなんだかパツパツでございました。
でも、ずっと忙しくなりたかった。不安になる暇もないくらい。遊ぶ暇もないくらい。自分の仕事のことだけを考える生活がしたかった。今だって、もっともっと忙しくなりたい。この頃、人生で初めてちょっとだけ忙しかった。ほんのちょっとだけね。しんどかったけど、やっとだったからうれしかった。
一生懸命やってたらいろんな人が仲間になってくれたし、いろんな人が離れていった。何も感じなかったわけじゃないけど、その一つ一つを静かに泣いたり笑ったりしながら受け入れてたと思う。諦めって言ってしまうと、語弊があるんだけど。
▶7月〜8月
7月前半はまだ映画を撮っていて、クランクアップしてからはとにかく書いてた。SHIMAISHIBAI Vol.2『ギャルバン!』をなんとか物語にしたくて、思い出したくないことを思い出したり、参考になりそうなものを読んだり観たりして、食べては出してた。頭の中にあることをどう出すか。かっこいいものが作りたい。そんなことばっかり考えてた気がする。
『ギャルバン!』の稽古でとにかく一瞬だった夏。できることが少なすぎて、悔しい思いと申し訳ない思いをたくさんした。同時に、近くにも遠くにもたくさん仲間がいることを知った。いや、知ってたけど。改めて知った。愛のある言葉をもらうたび、応援してもらうたび、こんなに幸せ者でいいのかとビビった。ほんとに、大袈裟じゃなくて、生きててよかったなってたくさん思った制作期間。
▶9月
ど頭が『ギャルバン!』の本番でした。あんなに脳みそ絞って時間とお金かけてたった3日しかできないのやっぱおかしいと疑う。観たいと思ってくれた人に大変じゃない形で観てもらいたい。このままじゃ選ばれた者だけが嗜むエンタメのままだ。どうしたらいいんだろう。どうしたらいいのかちゃんと考えないと。
本番はお客様のご理解と、楽しみたい心、豊かな想像力、全てに助けられてとてもいい公演になりました。たのしかったな。悔しかったけど。同じ芝居を観てるのに、楽しくなかった人も、とんでもなく楽しんで余すとこなく持って帰ってくれた人もいた。傷ついて救われながら、だったらもう自分がいいって思うものつーくろって思いました。
やりたいことと情勢の相性がほんと、とにかく悪いの。次どーしよっかなって思ってる。コロナまじうっとーしいね。でも無視して無茶したら私たちの負けだから、奥歯ギリギリ言わせながら戦いましょう。絶対無視してやんねー。睨みつけてやるんだ。違和感とむかつきを忘れたくない。
ご来場、誠にありがとうございました。まためんどくさい感じの演劇作らせてください。映像、もうちょっと待ってね。今編集中です。遅くなってごめんなさい。
で、『ギャルバン!』が終わった翌々日に、今出演中の『ALICE IN THE NIGHT MYSTERY CIRCUS』のプレ稽古が始まってますね。初対面なのに髪の毛オレンジで、本番終了と同時に同じく終了したガスガスボイスだったので、ちゃんと自己紹介の時に「いつもはこうじゃないです」って説明しました。
短編映画の撮影で鎌倉に滞在したりもして、準備と稽古と撮影って感じの月。鎌倉観光はできなかったけど、たのしかったよ。
▶10月~11月
6月のWSオーディションの結果ありがたいことに出演が決まった、舞台『遥かな町へ』の稽古と本番。演劇漬けの一か月半。とても有意義だった。稽古とゆうより修行に近いな。あと、みんな面白くて稽古中笑いすぎでよく息できなくなりました。
特技も経歴もまるで違う個人を活かしつつ、一つの絵を作るような。全が一であり、一が全でもあり、スター俳優は出てないけど、私たちは作品のパーツであり、作品そのものでした。全員でバトンをつなぐ主役のいない演劇。タイミングとか、見んでもわかるようになっちゃって全員ハンターすぎた。
はじめて海外の演劇人と作品作りをした。言葉は必要だけど、最重要じゃないなって学んだ。演出家のドリアンとデルフィーヌは何度も「本当に幸せ。」と口にしてくれた。言語が違うから飛び交う言葉は至極シンプルで、普段だったら恥ずかしいこともあの場所だったら素直に話せた。カンパニーのみんなの事信じてたし、信じてくれてる事がわかった。許されるって、ここに居ていいよってことなんだね。
同時進行で『ALICE IN THE NIGHT MYSTERY CIRCUS』のリハーサル。他現場の撮影。とにかく現場から現場への秋だった。あのー、幸せでした。ずっとつかれてたけど、ほんとに幸せだったなあ。
▶12月
連日リハーサルとテストを繰り返してた『ALICE IN THE NIGHT MYSTERY CIRCUS』がついに本番を迎えました。前半はほぼアリスナイトに費やしてた。やー、無事に幕が開けた時はとにかくホッとした。みんなようやりました。
いいチームです。この作品は特にいろんな経歴の人が集まってるし、イマーシブシアターなのもあって、何がベストなのかをその時その時で探さないといけないんだけども、いっしょに探せる仲間だなと思います。アリスナイト、まだまだ続きますので応援よろしくお願いします。
12月はアリスナイト本番の他に撮影がちらほら入ってて、さらに私生活で引っ越しがあって、ギリギリまでいつ荷造りするんですか?誰が引っ越すんですか?って感じでした。てんやわんやでした。なんとかなりました。
2年ぶりに泊まりがけで遠出したりもしました。半ば無理やり行ったので心から休まりはしなかったのだけど、ほんとに行ってよかった。いい旅でした。これはまた別で書いてます。
公私ともにあわただしい師走らしい師走でございましたちゃんちゃん。
まとめようと書いてたら時間がかかってしまって、今はもう東京の自宅にいる。荷ほどきがやっと終わって、生活がまた続く。冷静になりたくないな。もう少し混乱したままでいたい。
新年は例年通り193と秋の家で迎えた。3人で年末か年始を過ごすのが毎年恒例になってて、なんでやねんと言いながら「今年はどうする?」と話すあの感じが気に入ってる。
しばらく会えてなかった友人夫婦がお子を連れて実家まで来てくれて、近くの神社に出てる出店で甘酒を飲んだりした。初詣は混んでたから出店だけ。おかんを交えて実家でお茶を飲みながら話したりもした。なんでやねん。ありがとう、会いに来てくれて。
はたまた友人カップルが「会えないけど」とテレビ電話してきてくれたりした。会いたい人にいつでも会えるようで、いつでも会えない。近くに住んでても、遠くに住んでても、会いたいときになんて会えない。でも顔は浮かぶ。ふとした時に顔が浮かぶのは、愛する人だと聞いたことがあるよ。思い出してくれてありがとう。
2022年、ひとことで言うとなんだろう。「大変」だったな。大きく変わったし、ずっと大変だった。物理的にも精神的にも。忙しいでもつらいでも困ったでもなく、大変だった。
出会いに恵まれた年でもあった。行く先々で仲間が増えて、どうしたって孤独ではあるんだけど、独りぼっちではないなって思った。心は、こちらから開きたい。その勇気を今年はちゃんと持ちたい。あなたがすきだということを胡麻化したくない。伝えた結果がどうかは相変わらず怖いけど、いいねん、私がすきなんやから。
当たり前のことってまじでひとつもないなって思うよ。ぜんぶびっくりで、ぜんぶありがたい。みんなありがとう。いつもありがとう。今年もどうぞ、よろしくおねがいしますね。
いつも読んでくださりありがとうございます。 サポートしていただけたらとってもとってもうれしいです。 個別でお礼のご連絡をさせていただきます。 このnoteは、覗いて見ていいスカートの中です。