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v_260 今日の空、見ましたか?自分の心のバロメーターを知っておこう

近年、瞑想やマインドフルネスが流行っていたり、メンタルヘルスへの関心が高まっていますよね。
そのくらい、不調を感じる人が増えている、自分の不調に気づき始めた人が増えてきている、ということなのかしら。「生きづらさ」という言葉もよく聞くようになってきたけど、これってどういうことでしょう?

私はこう解釈しています。
環境や価値観が変わってきているのに、日本社会が旧来型のシステムのままだから、そのズレが生きづらさにつながっているのでは、と。社会のシステムが変化に追いついていけてないわけです。
社会が大きな変革期を迎えているのに、大量購買大量消費だったり、気合と根性で乗り切ろう!といった旧来型のシステムから抜け切れないことに違和感を覚える人が増えてきたのかなと思います。

それはそうですよね。
社会の大きな変革期、それはつまり、右肩上がりから右肩下がりに移行していく分かれ目、その潮目の真っ只中に私たちはいます。
でも社会の仕組みを作るのは、社会のマジョリティを占める人たち、つまり右肩上がりの時代に「頑張れば報われる」を成功体験として持っている人たち。
自分が大人になるまでに刷り込まれてきた価値観、いまだに日本社会では「正解」とされているマジョリティの意見。これらを疑って自分で自分の幸せものさしをつくっていく、これが健やかにこれからの時代を生きていくには大切なことだと思っています。

以下は、#心を整えるには をテーマにVoicyでお話ししたときにご紹介したエピソードです。(音声はこちら→#0259 今日の空、見ましたか?自分の心のバロメーターを知っておこう

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「そっか。今、5月なんだ」
息子と二人で暮らしていた狭いアパートのベランダで洗濯物を干しながら、5月の風を頬に受け、言葉にするとなんの変哲もないけれど、人生の中でも数本の指に入る衝撃を受けた思い出。
私はそれまでの数年間、今がどの季節なのかに1ミリの注意をはらうこともなく過ごしてきたのだった。

就職して2年目で出産、育休。その間に離婚をして、シングルマザーとして営業部に復帰。一人で二歳児を抱えながら、億を超える重いノルマを背負って、並行して裁判離婚も。毎朝3時に起きて仕事。身も心も限界で、最後の力を振り絞って異動願を出した。

異動してひと月が経ち、洗濯物を干しているときに、はっとした。「今、5月なんだ」って。
美しい四季のある日本で暮らしながら、今日の風、空、季節に向ける心が残っていなかった。日々を精一杯生きる私の目には、自然や季節、景色がまったく映ってなかったんだと気づいたときの衝撃。
これって、生きてるって言える?

それから数年後、私はアフリカのルワンダという国に移住した。
今でもはっきり覚えている、2014年に旅行で訪れたときの明け方の時間。朝日がだんだん峰々を明るくしていくのを眺めながら、五官が解放されていくのを感じた。そう、それまで私の五官は眠っていた。
聞こえないように、見ないように、感じないように…情報が多すぎる毎日を忙しく生きる中で、キャパオーバーになる自分を守るための自動制御装置が働いていたんだと思う。眠らない街で忙しく働く日々、オンとオフのスイッチの切り替えは、意識しないと、ともするとずっと「オン」のまま。だから、自動制御装置によって、勝手に「オフ」にされていたんだろう。

ルワンダで飲食店を営む毎日は、本当に飽きない。
実際は、トラブルシューティングで終わっていく日々にうんざりすることもある。不正をする人もいる。動かない役人もいる。日本では起きないような出来事に、心底憤慨することもある。
でも、そんな時に空を見上げて、確認する。
「今日の空は一段と青いな〜」
「一雨来そうだな」
「広い」
いっとき、顔をあげて空を見る。これができたら、まだまだ頑張れるな、と思う。

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