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【最新号紹介】治療(CHIRYO)2月号 不明熱のカルテ

皆さまこんにちは.『治療』編集部のRです.
(遅くなりましたが)今年初のnote更新です! 本年も『治療』をどうぞよろしくお願いします!

さて,『治療』2月号の特集は,不明熱がテーマです.

発熱をきたす原因は数多くあるので,発熱症例の鑑別診断はとても奥深いです.
発熱診療のエキスパート達は,患者の情報や所見のどこに着目し,どのような疾患を想起して追加検査や治療を行い,鑑別疾患を絞り込んでいくのでしょうか.

特集の目次

■古典的不明熱
糖尿病がある70歳男性の2ヵ月間の体重減少と1ヵ月遷延する発熱(大川直紀,他)
発熱と関節痛が2週間持続する,SLEで通院中の61歳女性(柏原英里子)
発熱と頭痛の後に視力低下,難聴をきたしたがステロイド投与で改善した女性(守田和正,他)
3週間前より発熱と背部痛を認めた血管リスクの高い78歳男性(伊藤泰斗,他)
4ヵ月間断続的に発熱,寝汗,体重減少をきたす73歳男性(佐田竜一)
レボフロキサシン内服中でシャント造設後に発熱をきたした50歳男性(田畑洋輝,他)
低Na血症で入院後に原因不明の発熱をきたした,肝臓がん治療後の87歳男性(佐田竜一)
CRP 0.7で3週間続く発熱と頸部前屈痛を認めた30代女性(竹之内盛志)
無菌性髄膜炎に対し対症療法された既往がある,頭痛・発熱がある若年女性(猪飼浩樹)
再燃する発熱や倦怠感などの全身症状や肝胆道系酵素上昇を認めた71歳女性(北井順也,他)
亜急性の倦怠感,発熱と急性の咽頭・前頸部痛,体動困難で受診した28歳男性(横地律子)
声門がん化学療法中,肺炎球菌菌血症治療中に院内不明熱を生じた71歳男性(佐田竜一)
3週間続く微熱,関節痛,頭痛がありLVFX治療でも改善しない24歳男性(佐田竜一)
不明熱精査開始から1年後に全身性浮腫と急性腎障害が出現した70歳男性(上杉由香,他)

■HIV関連不明熱
AIDS発症患者の抗レトロウイルス療法開始後の発熱(小西啓司)

■好中球減少性不明熱
高熱,血球減少,意識障害を認め,緊急搬送となった60代女性の一例(髙橋佑輔)

■院内不明熱
NSAIDs投与後に悪化する頭痛・発熱をきたした30代男性(前沢めぐみ,他)
進行期肺がんに化学療法施行中,倦怠感,微熱,食欲不振を呈した75歳男性(中村孝人)

“不明熱のカルテ”って何?

学会や雑誌で症例報告を見聞きしたときに,こんなふうに思ったことはありませんか?


演者/筆者「○○を疑い検査を行ったところ陽性で,確定診断に至りました」

「え? その限られた情報で○○(疾患名)を疑って検査オーダーできたの……?」
「✕✕(よりコモンな疾患)っぽいって思うわ~」
「そんな風にスマートに進めばいいけどネ……」


演者や筆者は「もう知っている」ので,さっぱりとした展開になるのだと思いますが,診断がつくまでの実際のプロセスは,さまざまな疾患の可能性を考え,ああでもないこうでもないと考え格闘する,もっと泥臭いものではないでしょうか?
そして,そこにこそ不明熱診療の醍醐味があると思います.

本特集は,発熱症例の診断に至るまでのリアルな思考過程をつぶさに読者と共有することがメインテーマです.まるでほかの医師が受け持っている発熱患者のカルテを覗いてみるかのような,臨場感ある不明熱診療を誌上体験できる特集,それが「不明熱のカルテ」です!

Illness scriptと disease / presentation map

本特集の各項目には,Illness scriptと disease / presentation mapという特徴的なしかけがあります.

Illness scriptは,「この患者さんはどのような背景がある方で,どのような病態か」を端的に表した短文です.
まずはこのIllness scriptを見て,「なるほど,考えられる疾患は……」と想像しながら読み始めてみてください.

Illness script


disease / presentation mapは,その症例の疾患自体がコモンかレアか,病態が典型的か非典型的かを表した図です.

disease / presentation map
丸数字は本特集の項目の順番に対応しています

教科書には「△△値の上昇がみられる」,「若年女性に多い」など各疾患のさまざまな特徴が記載されていますが,実際にそれらすべての特徴を完璧に満たす症例は逆に珍しく,「非典型的なところがある方がむしろ典型的」なのではないでしょうか.

項目を最後まで読み終えたあと,このdisease / presentation mapを見てからもう一度読み返してみると,「確かにこれは〇〇(疾患名)にしては珍しいカモ」,「つい,“シマウマ探し”をしてしまっていたカモ……」など新たな発見があるかもしれません.

本特集では,示唆に富む18の発熱症例をご紹介いただきました.いずれもリアルで濃い内容ですので,ぜひご覧ください.

「治療(CHIRYO)」2023年2月号
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南山堂

文責:南山堂「治療」編集部 R


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