【書籍紹介】症例から学ぶ栄養素欠乏
皆さま食欲の秋、いかがお過ごしでしょうか?
野菜は高騰気味ですが気温も下がって鍋もおいしくなってくる頃ですね。
自分は残暑を理由にランニングを控えていたら体重が増えてきたので、冬にそなえて(おいしいものを食べるために)運動の秋も取り入れたいなと思います。
今回、ご紹介するのは雑誌「治療」で大好評&ロングヒットとなった
『症例から学ぶ栄養素欠乏』の書籍版です🌟
栄養素欠乏なんて昔の病気で、現代じゃ起こらないでしょ┐(´д`)┌
と思われる方もいるかもしれませんが、
じつは高齢化社会になってまたこの問題がひっそりと台頭しているのです。
雑誌特集から大幅拡充 1冊でバッチリ学べます
雑誌版では11種の栄養素を扱いましたが、書籍版では15種に拡充。より広範な内容が学べるようになっております。
また、新たに疾患領域ごとの栄養素欠乏症例を紹介する章を設けまして、より実践的に栄養素欠乏の諸相を知ることができます。
本の目次
その症状、栄養のせいかも?
栄養素欠乏、と聞いて思い浮かぶのはどんなものでしょうか。
アルコール関連のウェルニッケ・コルサコフ症候群や鉄欠乏性貧血などはすぐに思い浮かぶものかもしれません。
胃の切除歴がある患者さんなど消化吸収機能に懸念がある場合や薬剤の組み合わせ、食生活の偏りがある場合も要チェックです。
一方で経腸栄養剤を使用している場合にも栄養素欠乏が起こり得ることはご存知でしょうか?
栄養補給のためのものなのだから栄養バランスバッチリでしょ!と思いがちかもしれませんが、製品によって不足している微量元素があるために、長期で使用する場合は注意が必要になります。
非専門医にとっては鑑別が難しい皮膚症状も栄養素欠乏の症状としてはよくみられるものとなります。
鑑別の際には、いつも頭の隅に栄養素欠乏の可能性を残しておくことで、原因不明のもやもやから抜け出せる機会がきっとあるはずです。
栄養指導ガイドとコラムで息抜き
書籍版で新たに追加したものとして、栄養素ごとの栄養指導で使える情報をまとめております。欠乏していても薬として処方できるものがない栄養素もありますし、食事から摂取できるのであればそれに越したことはありません。
診療の合間に「○○や○○なんかも食べてみてくださいね」とさらっと数種類言えると、お見事ですよね。
そして編集の矢吹先生によるコラムもたっぷり用意しております。
栄養素欠乏の歴史や日本での関連事項、よく耳にする「ビタミンC神話」についてなど興味深い話題が合間に入っておりますので話のネタになること間違いなしです。
編集部目線の編集後記
もとになった「治療」特集が2020年2月号ということで4年弱越しの書籍化となりました。コロナ禍が始まったのがもう4年も前というのにちょっとクラクラしますね。
雑誌特集がロングヒットになった要因としては、臨床系で栄養素の疾患についてまとまった本があまりなかったこと、多職種の方にも興味をもっていただいたことと感じておりました。
そのため書籍版でも多くの方に読んでいただけるようにと、装丁はやさしい雰囲気になるようにデザインしました。
上にあげた装丁画像をよく見ると、絵柄はシンプルながらべた塗りではなく、線もまっすぐではなかったり手書きのタッチで描かれているのがわかります。紙も画用紙みたいなものにつやつや加工をしており手触りが特徴的になってます。カバーをめくった部分も茶色い厚紙に印刷していて、画像では伝わりにくいのですがモノとしての良さが感じられる作りとなっています。
矢吹先生の総論にもありますが、栄養素欠乏は高齢者で起こりがちな一方でどこまで治すかというのは難しい問題です。そして序文で触れられたように「食事」を「治療」と考えてしまうのも息苦しさがあり、生活と距離の近い問題だからこその認識が必要になりますね。
各栄養素が不足した時、どんな症状がでたんだっけ?と思った方は是非読んでみてください!
文責:編集部 カーター