【書籍紹介】徹底深掘り! 蜂窩織炎 ―ジェネラリストのための皮膚軟部組織感染症診療ガイドー
皮膚軟部組織感染症、と聞くと、
日々の診療の「モヤモヤ」や「あちゃ~」という感情がよみがえってくる方もいるのではないかと思います。
皮膚軟部組織感染症(SSTI)という括りでいうと、誤嚥性肺炎や尿路感染症に匹敵するくらい頻度の高い疾患となっています。
外来でも、入院管理でも、在宅医療でも出会うこの疾患、‟いつもの対応”だけ覚えて満足していてはもったいないと思いませんか?
SSTI診療を深掘りし、得意になれば、一味違った臨床医になれるはず…!
そんな思いからSSTI診療の深淵を探る書籍が完成いたしました!
君たちはどう見切るか
SSTIというと、誤診が多いことも特徴です。
好発部位の足は服を着ていると診察しにくい部位のため、医療者側も億劫になるかもしれませんが、疑った場合はしっかり診ていく必要があります。
診たうえでこれは丹毒か?いや蜂窩織炎…?もしかしたら壊死性かも!?と病巣の深さや重症度を探っていく必要があるわけですが、原因菌の推定とあわせて、SSTI診療の醍醐味ともいえます。
本書では画像検査や培養検査、診断プロセスに関してなどまとめているほか、蜂窩織炎と間違えやすいミミッカ―に関しても深掘りしておりますので、「そうだったんだ!」と思える記述が見つかるはずです。
治療戦略やマネジメントについても頼もしい
感染症の治療で悩ましいのが抗菌薬の使い方。
原因菌はいつでも正確に調べられるわけではありませんが、各疾患でどんな菌が想定されるか、耐性菌への配慮や稀な原因菌を考えた場合などもフォローしていますので、不安を感じた時に本書が頼もしい味方になってくれるはずです。
SSTIはコモンディジーズでありながら、これまでまとまった書籍がほぼなく、困ったときはその都度、論文検索やほかの医師に相談していたという方が多いかと思います。まだまだ不安の多い方にも、診療の型がある程度できているという方にもどっしりとバックアップできる1冊です。
本の目次
編集部目線の編集後記
この企画のきっかけは「とことん極める!腎盂腎炎」の書籍が完成した時に著者の一人であった佐藤先生より、「ジェネラリストがよく診ることになるコモンな感染症の解説本」というコンセプトに共感をいただいて、腎盂腎炎の次は皮膚軟部組織感染症でしょう!ということでスタートした企画なのでした。
自分の担当した「終末期の肺炎」とあわせて正式には別々の本ですが、‟コモンな感染症をちゃんと診るのがジェネラリストのカッコよさなんだぜ”シリーズと思っています。
今回は皮膚の写真も多くなっていることから全ページカラーになっています。症例写真はショッキングなものも入ってくるので、シリアス感の調整と読みやすさを考えて、章ごとにテーマカラーを変えたり、見出しのデザインを調整したりと細かいことを考えておりました。
装丁は蜂窩織炎ということでハチの巣をモチーフにする案もあったのですが、生々しさを感じてしまうと雰囲気に合わないというのと、もう犬がかわいくて「犬にしよ?ねっ?」という感じで深掘りに焦点を当てたデザインに決まりました。
目次をみていただくとわかるように、誤嚥性肺炎、腎盂腎炎と比べると扱う範囲が広く、項目数もページ数もぐんと多くなっておりますが、ご編集いただいた佐藤直行先生と長野広之先生にしっかり率いていただいて、気鋭のジェネラリストの先生、専門医の先生にご協力いただいて集大成、という感じのする1冊になっていると思います。
お力添えいただいた先生方には改めて深謝いたします。
文責:編集部 カーター
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