自然の中で歳をとる
田舎でひとり暮らしをしている
87歳の母は
最近、電話の声に張りがあります。
その理由は「草取り」。
涼しくなってきたおかげで
早朝から庭の「草取り」をしていて
きれいになった庭を眺めるのが
嬉しくて仕方ない様子です。
枯れた植物を抜き、
新しい花の苗を買ってきて
植えたりしているようです。
花の名前は思い出せないみたいですが
「きれいよ〜」と嬉しそうに
電話口で話してくれます。
小さな庭ですが、
母と庭は調和しています。
草はちょこちょこ生えてくれるので
毎日仕事が生まれます。
食べられる野草も生えていて
お湯を沸かしてから庭に出て
野草を摘んで
サッとゆがいておかずにすることも
あるみたいです。
まだらボケで
時々騒ぎを起こす母ですが、
自分の栄養になる野草は
しっかり見分けがつきますし、
花の美しさや香り
草のない庭の清々しさを感じる
感性はなくなりません。
なにより「草取り」をすることで
太陽や風を感じているはずです。
自然って、本当にありがたいなぁ、と
思います。
生まれ育った環境にも
寄るのかもしれませんが、
やはり人は歳を取れば取るほど
自然に近いところに行く方が
幸せな気がします。
今はマンション暮らしで
ベランダガーデニングを楽しんでいる
私ですが、
いつか母のように
小さな庭を眺めて暮らす生活を
したいなぁと思っています。