政令指定都市の昼間人口ランキング
こんにちは、こんばんは。
そして多くの人ははじめましてでもあるかと思います。
YouTubeで地理のすゝめChannelを運営しております、
塵野進(ちりの すすむ)です。
今回、ちょっとやってみたかったランキングモノに手を出してみたいと思います。
今回まとめてみたのは『政令指定都市の昼間人口ランキング』です。
政令指定都市と言いつつ、東京特別区も盛り込んでお届けしますので、よろしくお願いいたします。
そもそも昼間人口とは?
我がバイブル、ウィキペディアではこう記されています。
よく都市の比較で引き合いに出されがちなのが"人口"という指標ですが、多くの場合はいわゆる『夜間人口』の多さで比較しているように見受けられます。
これは私個人の意見というか思想というかなんですが、夜間人口って結局は"住んでる人の数"なワケですよ。
「それってベッドタウンめっちゃ有利やん」と思うわけです。
"都市"というのは周辺の街々から人を吸い上げるから『都会』と呼べるわけで、周辺自治体から人口吸われてたら世話無ぇわって話なんですよ。
なので今回は、昼間人口ランキングとしつつ、流入人口・流出人口、常住人口(夜間人口)、昼夜間人口比率なども一緒に見ながら、都市それぞれを比較していきたいなと思います。
なお、リサーチはかなり甘めなので、順位以外の正確性は担保できません。
だから何かの論文とか記事に引用するなよ、マジで…。
政令指定都市 昼間人口ランキング 第21~11位
そう、東京特別区もランキングに入れたせいで21都市の比較となります。
政令指定都市は20都市ピッタリなんですよ。
東京を無理やりねじ込んだせいで歯切れの悪い数字になりましたがご容赦。
ひとまず、21位~11位の11都市はまとめて発表させていただきます。
みんな大好き令和2年度の国勢調査を基にしたデータです。
順位はこちら。
最下位は相模原市。
常住人口では静岡市が最下位なのですが、静岡市は人口流入により昼間は人口が微増するのに対し、相模原市は差し引き10万人も人口流出。
首都圏は東京が圧倒的プライメイトシティですから、東京への人口流出が顕著に表れています。
続いて20位が静岡市。
昼間人口では相模原市と順位が入れ替わり、人口が70万人の大台に乗っかります。
駿遠の大都市、さすがです。
19位は熊本市。
こちらも昼間人口は微増。
同程度の規模の静岡・岡山等と比較すると、増加数は少なめではあります。
熊本近辺はTSMCの半導体工場ができるだとか、割とホットな話題も多いので今後に注目です。
18位は岡山市。
常住人口では相模原市や熊本市よりもやや少ないですが、昼間人口では両都市を上回ります。
隣の倉敷市などからの流入もあるためと思われますが、岡山都市圏は想像以上にデカいです。
17位は堺市。
大阪市に隣接しているとだけあって、やはりベッドタウンとしての性格がかなり強いです。
常住人口では上回っている新潟市や浜松市に、昼間人口では抜かれてしまいます。
とは言え、首都圏の減少数を鑑みれば減少数は比較的少なめです。
16位は浜松市。
実はしれっと昼間人口は常住人口より微減となっており、周辺の磐田市や湖西市に流出していると見られます。
磐田市にはヤマハやスズキの工場があるため、通勤で磐田市に通う人が多いようです。
15位は新潟市。
本州日本海側の最大都市ですが、やはり人口流入数が上回り昼間人口が多くなっています。
常住人口では浜松市にやや遅れを取っていますが、昼間人口では抜き返します。
14位は千葉市。
現在100万都市に限りなく近い約97万人の常住人口を擁する都市ですが、昼間人口では流出数が多く人口減少となります。
とはいえ、首都圏の他都市と比較するとその減少数はかなりマシで、流入人口を考えても比較的拠点性を発揮できている都市の一つとも言えます。
13位は北九州市。
九州地方では2番目の都市です。
常住人口では14位ですが、昼間人口では千葉市を抜き13位となります。
福岡市と比較して衰退しつつある街の烙印を押されがちですが、拠点性はまだまだありそうです。
12位は仙台市。
支店経済都市・札仙広福の東北担当。
東北地方では圧倒的プライメイトシティなため、周囲から人を呼び寄せ、21位~11位の各都市の中では一番昼夜間人口比率が高く、昼夜差がある街となっています。
そして11位はさいたま市。
常住人口ではトップ10にランクインしていますが、昼間人口では惜しくも圏外。
後ほど紹介する、"ある都市"に抜かれてしまっています。
こちらも相模原市と同様に東京への人口流出が凄まじく、なんと約12万人も減少します。
政令指定都市 昼間人口ランキング 第10~1位
さて、第21位~11位はなかなか波乱の結果となりました。
首都圏の都市は軒並み流出傾向が見られ、他にも堺市や、以外にも浜松市が流出気味。
そして仙台市の首位都市性が垣間見える結果でした。
では、とうとうトップ10の発表と洒落込もうかと思います。
11位までの都市よりもう少し深堀りしつつ、紹介できたらと考えております。
第10位
栄えある第10位は広島市。
結果は以下の通りとなります。
広島市は、昼間人口ではさいたま市を抜きトップ10入りとなります。
さすが札仙広福の中国地方担当、広島市です。
ただ広島市は人口規模の近い仙台市と比較すると、昼夜間人口比率が101%とやや増加幅が小さく見えます。
両都市の流出人口は概ね同程度ですが、流入人口では仙台市が4万人も多くなっています。
広島市が仙台市と決定的に違うのは、広島市は中国地方の"プライメイトシティ"ではないという点です。
仙台市は東北地方で唯一の政令指定都市で、東北地方で2番目の都市は福島県の郡山市で常住人口約32万人、3番目は福島県のいわき市で常住人口約32万人といった形で、人口だけで見ても仙台が圧倒的です。
対して広島市の場合、中国地方にはもう一つ"岡山市"が政令指定都市として君臨しているほか、広島県内にも福山市や呉市、岡山県にも倉敷市など比較的拠点性のある街があり、いわゆる『広島一極集中』になっていないのが特徴的です。
また、広島市の場合は隣接している府中町などにマツダ関連の工場があるなど、広島市から近隣自治体に通勤するケースも多くあります。
広島市は仙台市と比較して常住人口は多い街ですが、地方における"拠点性"については、仙台市と比較するとやや弱いと言えます。
第9位
栄えある第9位は川崎市。
結果は以下の通りとなります。
川崎市も首都圏のほかの政令指定都市の例に漏れず、昼間人口が減少する都市です。
常住人口では第7位、ツーランクダウンとなりました。
そして首都圏で唯一東京都区部に隣接する政令市であるからか、昼夜間人口比率では最下位となっています。
昼夜差も-約25万人と、今までの千葉市やさいたま市、相模原市と比較しても、流出人口の多さが際立つ結果となっています。
とはいえ人口150万都市。
昼間人口でもトップ10には入っています。
流出人口に目が行きがちですが、流入人口を見てみると約30万人もいます。
広島市や仙台市と比較しても、流入人口は非常に多いです。
ベッドタウンであることに変わりはないですが、やはりそれだけの人口を抱える都市である以上、その人々が暮らすための雇用がその街にはあるわけです。
これは首都圏の他都市でも同じことが言えます。
第8位
栄えある第8位は神戸市。
結果は以下の通りとなります。
神戸市は常住人口同様に8位にランクインとなりました。
なんと神戸市、昼夜間人口比率は100%以上となっております。
京阪神が首都圏と決定的に違うのは、京阪神各都市が拠点性を発揮している点です。
もちろん、神戸市も大阪市のベッドタウンである側面もありますが、神戸市の場合は周辺の明石市、芦屋市、西宮市などといった街々から多く流入するため、昼夜間人口比率で102%となっているのです。
川崎市に常住人口では抜かれてしまった神戸市ですが、昼間人口ではまだまだ大差をつけています。
これは大阪が東京ほどのプライメイトシティではないこと、東京中華思想的なものが阪神間には成立しないことなどがあげられます。
つまり、『翔んで埼玉』のような関係性が大阪との間にはないのです。
第7位
栄えある第7位は京都市。
結果は以下の通りとなります。
京都市は川崎市と入れ替わりで、常住人口第9位からツーランクアップして第7位にランクインとなりました。
なんと神戸市も抜き去っています。
神戸市同様、昼夜間人口比率が100%を超えており、拠点性を持った都市となっています。
特筆すべき点は、昼夜間人口比率で109%という高水準を叩き出していること。
これは仙台市や広島市といった、地方の拠点都市と比較しても高いです。
京都市は製造業が盛んな都市で、京都市に通勤する人が非常に多いほか、学生が多い街としても有名で、通学する学生が多くいます。
昼夜差を見ても、実はここまでの都市では一つもなかった10万人の大台を軽々超えて、+約13万人となっています。
実は京都都市圏の人口は全国4位。この都市圏人口の大きさも起因してると思われます。
京都市も神戸市同様、滋賀県や京都府南部などの街々から人口が流入してきます。
『翔んで埼玉』でもあったとおり、滋賀県に対しては東京中華思想的な関係性が成立しており、京都市民はやたら滋賀県民を下に見ている人が多いです。
知らんけど。
第6位
栄えある第6位は福岡市。
結果は以下の通りとなります。
福岡市は常住人口と同様に第6位にランクイン。
今非常に勢いがある街としてよく話題に上がる福岡市ですが、昼間人口では約177万人と、京都市と比較しても17万人程度多くなっています。
昼夜間人口比率も110%に届きそうな勢いで、昼夜差ではここまでの都市で初めて+15万人を超えてきました。
福岡市は天神界隈では天神ビッグバンなどといった再開発プロジェクトも盛んに行われており、住宅だけでなくオフィスやホテル不足に一石を投じています。
福岡市の都市計画が功を奏し、常住人口増加にも寄与しているほか、こうした昼間人口増加策にもつながっているのです。
最近では地下鉄七隈線の博多延伸開業なども加わり、都市としての"強さ"も三大都市圏に引けを取らなくなってきました。
支店経済都市・札仙広福の括りでも、勢いを考えれば頭一つ抜けているように見えます。
第5位
さていよいよベスト5です。
栄光ある第5位に輝いたのは札幌市。
結果は以下の通りとなります。
実は札幌市は、昼間人口は微減となります。
北海道随一の都市、常住人口では約200万人を抱える大都市ですが、実態はただのプライメイトシティというわけでは無さそうです。
昼間人口が少ない理由としては、近隣の小樽市や千歳市にある工場等へ、札幌市から出勤する人が多いことや、札幌駅前のオフィスビルや商業ビルの閉鎖など、要因として考えられそうです。
また、現在千歳市ではラピダスの半導体工場が絶賛建設中ですので、札幌市への影響は少なくないと思われます。
また、札幌市は非常に広大な面積を誇るため、中央区を除く郊外部は基本的にベッドタウンか山間部になります。
そのベッドタウンに住む人々が、必ずしも中央区内に通勤するわけではないのが特徴的です。
減少こそするものの、6位の福岡市とは約20万人近く差があります。
堂々の第5位と言えそうです。
第4位
続いてベスト4です。
栄光ある第4位に輝いたのは名古屋市。
結果は以下の通りとなります。
ここでようやく三大都市圏の中心都市が姿を現しました。
やはり中京圏とだけあって、今までの都市と比較しても頭一つ抜けています。
昼夜間人口比率はここに来て初めて110%を超えており、流入人口もここまでの他都市とは比較にならないほど多い、約53万人。
昼夜差についても+約28万人と、初めて20万人を超えてきました。
いずれの値も第3位となっています。
ちなみに、昼夜間人口比率が110%を超えている都市は名古屋市を含めて3都市しかありません。
名古屋市は中京圏における圧倒的プライメイトシティ。
首都圏や京阪神圏とは違い、中京圏には政令指定都市は名古屋市しかありません。
とはいえ、愛知県内でも豊田市のような大企業を抱える中核市もあるため、一概に名古屋一強かと言うとそういうわけでもありません。
流出人口も、これまでの都市と比較して多くなっております。
これはそもそも名古屋市が常住人口で約232万人を抱える大都市であるが故のこと。
第3位
とうとうベスト3の発表となります。
栄光ある第3位に輝いたのは横浜市。
結果は以下の通りとなります。
なんと、常住人口では政令指定都市最大、東京都区部を含めても第2位を誇る横浜市は、昼間人口では第3位にランクダウンとなります。
なんと昼夜差では-約34万人で、全政令指定都市最下位。
昼夜間人口比率でも約91%と、他の首都圏の都市と同じ傾向です。
驚くべきは流出人口。
約85万人と、堺市や新潟市などの常住人口よりも多くなっています。
これは、東京都区部を含めた全都市中1位です。
横浜市ほどの規模となると、ベッドタウンとしての規模感も全然レベチです。
神戸市も横浜市と似たような境遇、位置関係ですが、昼夜間人口比率で100%以上を維持できていることを考えると、東京がいかに異常かが分かる結果かと思います。
ただ、横浜市がただのベッドタウンと一線を画しているのは、流入人口を見てみると約51万人と、名古屋市に次ぐ第4位となっている点です。
名古屋市が約53万人なので、流入人口だけを見れば名古屋市と遜色ないと言えます。
とはいえ、結局それも首都圏という日本の総人口の約4分の1が犇めく大都市圏だからと言ってしまえば終いです。
第2位
そして、惜しくもトップの座を逃した第2位。
栄光ある第2位に輝いたのは大阪市。
結果は以下の通りとなります。
大阪市はなんと、常住人口では100万人以上差がある横浜市を、昼間人口では抜き去ります。
それもそのはずで、三大都市圏の一角、第4位の名古屋市と比較してもその"差"は歴然です。
流入人口は約123万人と、名古屋市や横浜市の倍以上。
昼夜差を見ても、+約89万人と名古屋市の約3倍以上。
そして昼夜間人口比率では132.5%と、東京都区部を抑えて第1位となっています。
三大都市圏と言われるだけあって、やはり2番手の京阪神大都市圏の中心都市は別格です。
多くの大手企業本社が軒を連ねるほか、商業地としても梅田や難波といった首都圏の繁華街とも引けを取らない街があるのも大きいです。
昼間人口では約365万人と、3位の横浜市より20万人程度多くなっています。
常住人口では横浜市に抜かれて久しいですが、昼間人口ではまだまだ日本で2番目の都市であることを主張しています。
以前、どこぞのテレビ番組で『大阪VS横浜』という企画をやっていましたが、実態を知っている我々のようなニチャニチャした地理オタであれば、正直比較対象ではないとわかります。
第1位
さて、いよいよランキングトップの発表です。
もうお察しの方も多いでしょうが、栄光ある第1位に輝いたのは東京都区部。
結果は以下の通りとなります。
圧倒的第1位。
他の追随を許さない、堂々たる第1位です。
特筆すべきは昼夜差。
+約314万人と、2位の大阪市と比較しても圧倒的です。
昼夜間人口比率も惜しくも大阪市に及ばずですが、大阪市と並んで130%越えを記録する都市です。
ただ、常住人口で約973万人と、2位の横浜市の約3倍近い数いるので、昼夜差でも群を抜いています。
2位の大阪はもう二度と、東京を超えることはないでしょうね。
東京の背中は遥か彼方です。
東京一極集中と言われて久しいですが、これも政府が推し進めてきた首都一極集中の賜物ですね。
世界的大都市となった東京の肥大化により、本来拠点性を発揮できたであろう横浜市や千葉市といった自治体がベッドタウンにならざるを得なくなったのは、驚くべき結果です。
そしてその都市圏の膨張は今も続いています。
地方分権とは口で言ってはいますが、結局何が分権されたのやら。
東京の中にいると、外から見たその異常性に気が付けないという大きな問題点が、結局地方分権が一向に進まない要因だと考えます。
知らんけど。
まとめ
さて、東京都区部を含めた全21都市の昼間人口ランキングを見てきました。
札幌や浜松といった都市が意外にも昼間人口で減少していたり、京都市や仙台市といった都市が意外にも昼間人口が大きく増加していたりなど、注目すべきポイントも多くあったのではないでしょうか。
そして、やはり三大都市の規模の大きさが際立つ結果となりましたね。
特に東京の規模の大きさは、他都市と比較しても圧倒的でした。
そして意外にも、昼夜間人口比率では大阪市が1位だったりなど、面白い結果となりましたね。
そして国勢調査は令和7年にまた再び行われます。
結果が出たら、改めてデータをまとめてランキングを作りたいと思います。
ここまで長々ご覧いただきありがとうございました。
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