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「地理B」から「地理総合」と「地理探究」へ

 今回は、このページのタイトルにしている高等学校の「地理B」がもうすぐ再編されるということについてまとめます(少し編集:記事を投稿してから気付いたのですが、正確には「地理A・地理Bから地理総合・地理探究へ」ですね)。高等学校で現在選択科目しかない地理が「地理総合」で必修化され、選択科目で「地理探究」が設定される予定です。そして、今回の再編でこれまで以上に地理的想像力や地理的思考力に重点を置いたものになるという話です。ヘッダーは地理院地図(淡色)の京都市内です。地図を見て歴史と地理の関係を考えるのに京都は好事例ですよね。

 現在の高等学校では、世界史Aが必修化されており、選択科目として「世界史B」、「日本史B」、「地理B」が設定されています。しかし2022年度から、「地理総合」と「歴史総合」が必修となり、発展科目で「世界史探究」「日本史探究」「地理探究」の3つが設定される予定です。

 上記の文書「平成30年改訂の高等学校学習指導要領に関するQ&A」のうち、地理科目についての改善・充実の要点は以下のように説明されています。

◆地理総合

ア「社会的事象の地理的な見方・考え方」に基づく学習活動の充実」

イ 「主題」や「問い」を中心に構成する学習の展開、

ウ 地図や地理情報システムを活用して育む汎用的で実践的な地理的技能

エ グローバルな視座から求められる自他の文化の尊重と国際協力

オ 我が国をはじめとする世界や生徒の生活圏における自然災害と防災

カ 持続可能な地域づくりのための地域調査と地域展望

◆地理探究

ア 「社会的事象の地理的な見方・考え方」に基づく学習活動の充実

イ 「主題」や「問い」を中心に構成する学習の展開

ウ 大項目Cの前提としての系統地理的考察と地誌的考察

エ 「現代世界の系統地理的考察」における「交通・通信,観光」の項目化

オ 「現代世界におけるこれからの日本の国土像」を問う探究項目の充実

(以上すべて上記の資料より引用)

 ここで指摘されている「地理的な見方・考え方」が、特に大学の地理学以降でも大切にされている地理的想像力や地理的思考力のことだといえます。単に知識を暗記するだけでなく、知識を体系的に把握し、身につけた知識を使って地域の特徴の説明や社会問題の解決に関わる議論ができるようになることが重要になります。

 もちろん、暗記による知識が重要性を失う訳ではありません。世界を理解するために最低限の知識は必要です。そして、想像力や思考力は知識のないものに対して働かせることはできません。知識の蓄積と、知識の活用や体系性の理解とのバランスが大切になると思います。

 すでに多くの地理の先生方は、地理を学ぶ楽しさ、面白さを説明するなかで、知識を活用したり体系的に理解できるよう促す取り組みを重ねてきていると思います。科目の枠組みが変わるにせよ、これまでの教育現場での積み重ねが生かされていくことが大切だと思います。

 地理が必修化されることで、それまで歴史のみを担当していた先生が地理を教えることになるという変化が生じると思います(もちろんこれまで地理を専門とする先生が歴史科目を教えることはあったと思います)。本来は地理と歴史は関係し合うものであり、科目間のつながりが生かされれば充実した学びにつながります。そうは言っても、それまで専門としていなかった内容を授業で話すのは大変ですよね。

 地理学界の役割は、こうした変化に対応し、地理情報システムなどの新しい仕組みなどが高等学校や中学校でも生かされるように体制を整えたり、地理的想像力・思考力をのばす教育方法についての知見を発信していくことだと思います。ここに書くだけなら簡単ですが、自分にも何ができるのか考えていきます。

 社会科の教育は、知識を身につけるだけではなく、知識をもとにした考え方を向上させ、社会に対する関わり方を身につけてさせる重要な役割があると考えます。学校内、学校間の連携などで、社会科教育がより楽しいものになることを願っています。


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