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二月が逃げてしまう前に:言葉の地域性とオンラインアンケートの話

 今日で二月も終わりますね。一月、二月、三月はあっという間に過ぎてしまうという意味で、「一月行ってしまう、二月逃げてしまう、三月去ってしまう」という言葉を何度か聞いたことがあり、私も覚えていました。私は西日本の出身ですが、先日、東京出身の知人にこの話をしたところ、「何ですかそれ、聞いたことないですよ。」と言われました。この言葉には地域性があるのかもしれないと思い、このnoteを紹介しているtwitterのアカウントでアンケートを取りました。今回はその結果についてまとめます。後半には、オンラインでアンケートをする際に気をつけるべきことについても考えて書いていますので、ぜひ最後までお読みくださいね。

はじめてのTwitterアンケート

 まず、twitterのアンケートは四択しかできないので、「一月行ってしまう、二月逃げてしまう、三月去ってしまう」を「聞いたことがあるか・ないか」ということと、「東日本・西日本のどちらの出身か」ということが関係しているかどうかを確かめてみることしました。設定したアンケートはこんな感じです。はじめからクロスさせてたずねたということですね。

twitterのアンケート設定画面

 これは回答前の画面を、私の他のアカウントで開いてキャプチャしたものです。私は初めてTwitterのアンケート機能を使ったため、使い方のこつがよく分からず、とりあえず4日の回答期間を設定しました。

 結果として、20時間後(2月27日22:09開始で2月28日20:09時点)で183人もの方が回答してくださいました。ご協力いただいた皆さん、ありがとうございました。そしてその集計結果がこちらです。

20時間後の集計結果

 とてもきれいに結果が出て驚きました。西日本出身の人は聞いたことがある人が多く、東日本出身の人は聞いたことがない人の方が多いということが分かりました。

 ちなみに、ツイートアクティビティ(何人がこのツイートを見て、どのような反応をしたか)は下の画面の通りです。

20時間後のツイートアクティビティ

 おおまかに計算すれば、3264人の方が見てくださって183人が回答してくださっているので、5.6%の人がツイートを見たうえで投票してくださったんですね。私としては予想をはるかに超える数でした。

一月は「行く」ではなく「往ぬる(いぬる)」?

 西日本の言葉と関係している可能性があったので調べたところ、下記のような慣用句を見つけました。

「一月往ぬる二月逃げる三月去る(いちげついぬるにげつにげるさんげつさる)」

 私は、一月は「行(い)ってしまう」で覚えていましたが、「往ぬる(いぬる)」という言葉で書かれていました。古語で「往ぬ」は「去る」などの意味ですが、関西の方言として残っているようです。「一月・・二月・・三月・・」の表現を知っているかどうかに、出身地の言葉の影響があるのかもしれません。

オンライン調査を正確に行うためには

 私としては、知人との何気ない会話からこんなことが分かって、とても楽しかったです。ただし、もしこれをもっと客観的に調べるなら、下記のような点に気をつけて再度調べる必要があります。

・今回は設問数の都合で東日本と西日本という区分にしましたが、もし丁寧に調べるなら、都道府県をたずねて、結果を集計する方法が必要です。

・出身という言葉はとても曖昧です。回答をしてもらう前に、定義を示すことが必要です。

・Twitterはアカウントを複数持っている人もおり(私もそうです)、複数回回答できる可能性があります。

・最初に設定した回答期間より早く集計をしたのですが、本来は最初に提示した期間が終了してから結果をまとめる必要があります。今回は二月が逃げる前ということで、ご了承ください。もしこの記事を見て興味を持ってくださった方は、はじめに決めた回答期間の間は回答が可能なので、最終的な回答結果はまた追記します。

・この言葉を知っているかどうかと、年代に関係があるか調べてみても面白いかもしれません。また、どこで誰に聞いて覚えたか、たずねて見るのも面白いです。この言葉は1~3月という年度末のはやさを表すものなので、年度と関わりの深い学校で、先生のお話などで話されて広まった可能性もあります。

 また、今回の結果はおそらく誰が見ても納得してもらえるくらい差が出ますが、本当はクロス集計の結果は統計的検定(χ二乗検定)をしてみると、「この言葉を知っていることと出身地には関係がない」という仮説を棄却するかたちで、「関係がある」ということができます。私はまだ統計的検定には自信がないので詳細は載せませんが、今回の結果はおそらく1%水準で有意(関係がある)です。

 ということで、もしこの記事を読んで「卒論でこんなことをやってみたい」と思った皆さんは、きちんと社会調査法や地域調査法の本を読んで勉強して、適切なプロセスをふんで実施してくださいね。アンケートを研究に用いるのは、手軽なようで、実は周到な準備が必要です。Googleフォームなどを効果的に用いればよいですが、ツイッターのアンケート機能で卒論の調査をするのは難しいと思います。

 とはいえ、地域によって言葉の違いがあるのはとても面白いですし、それに関心を持って調べてみると、色々なことが分かります。こんなにインターネットやSNSが発達しても、言葉や食文化などにはローカル性が残っていて、人間の文化の奥深さを感じます。

 ということで、もう二月は逃げてしまいますが、皆さん三月が去る前に何か短期的な目標などを立てて、充実した年度末をお過ごしください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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