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キン肉マン・リーダーシップ論 ~キン肉マン編~

キン肉マン・リーダーシップ論、最後はいよいよキン肉マンです。

キン肉マンチームのメンバーは1回戦から決勝までの3戦で毎回変わっています。

●キン肉マン
アレキサンドリア・ミート
テリーマン
ロビンマスク
ウォーズマン
ラーメンマン
ジェロニモ
ザ・サムライ(ネプチューンマン)

これまでに紹介したように、運命の5王子は多かれ少なかれリーダーという立場を利用して、自分に合ったメンバーを集めて戦いに臨みました。しかし、キン肉マンは少し異なるようです。

マリポーサチームとの1回戦は、キン肉マンとミートくん、たった二人で挑むことになります。親友テリーマンは正義超人軍参謀に、盟友ロビンマスクは同じく幕僚長に任命されており、キン肉マンを助けたいという思いはあるものの、超人界全体を支える職務を受けた以上、その責任を果たさなければならず、一人の候補者に肩入れするわけにはいかないというジレンマがありました。キン肉マンも、それは十分に分かっていました。この2人に頼れない以上、他の超人にお願いするわけにはいきません。他の正義超人たちも、きっとキン肉マンに力を貸したい気持ちはあったでしょう。しかし、その二人を差し置いてでしゃばることはしませんでした。人によっては冷たいと思われるかもしれませんが、むしろこれは暖かさなのです。キン肉マン、テリーマン、ロビンマスク、この三人の気持ちを汲んだ上で、あえて出ないのです。このあたりが正義超人たちなりの敬意と配慮と言えるでしょう。

さて、試合が始まると、さすがのキン肉マンチームも窮地に立たされます。もはやこれまで、と思った瞬間、現れたのはやはりこの二人、テリーマンとロビンマスク。参謀、幕僚長という職を放棄しても、親友の危機を見過ごすことはできません。さらに、ゼブラチームとの2回戦には、超人墓場からウォーズマンと、霊命木の力を借りたラーメンマンが、フェニックスチームとの決勝戦には、ハワイ巡業を終えたジェロニモと、完璧超人の力で蘇ったネプチューンマン(ザ・サムライ)が参戦します。他にも、師匠プリンス・カメハメはオメガマンに乗り移り、キン肉マンに伝えきれていなかった52の関節技を授けます。カメハメの親友でキン肉マンの腕の大手術を手掛けたドクターボンベは、超人墓場でウォーズマンに人工心臓を移植します。預言書が燃やされて灰となったアタルも、危機になるたびに姿を現し、叱咤激励します。封印された火事場のクソ力を解放したのも、存在が消滅したあとの、アタル、ロビン、ジェロニモ、ネプチューンマンです。

キン肉マンが直接助けを求めなくても、キン肉マンのために自己犠牲を厭わない超人が次から次へと現れました。そこには、キン肉マンに立場としてのリーダーを求める者は誰一人としていません。キン肉マン自身、リーダーというつもりもありません。運命の5王子がそれぞれみずからを大将に据えているのに対し、キン肉マンは平気で先鋒として戦います。1回戦のマリポーサ戦はメンバーがミートくんしかいないため一人で戦いぬくつもりだったので先鋒でも納得ですが、決勝のフェニックス戦ではメンバーも揃っていましたが先鋒で出場します。それくらい自分が中心的なリーダーであるという意識はなかったのです。しかし、それでいて確かに誰よりも強烈なリーダーシップを発揮しているのです。

オモイヤリ+ヤサシサ+アイジョウ=ユウジョウという方程式はあまりに有名ですが、キン肉マンは「友情による成長物語」です。友情、縦の関係ではなく横の関係、その繋がりが正義超人たちの力を最大限に発揮させるのです。それが友情パワーです。

リーダーシップとは、人への影響力のことであり、必ずしも立場や役職は関係ありません。一般的にリーダーシップ論はリーダーとフォロワーという関係の中で、あるいはそれに近い文脈で語られることが多いのですが、キン肉マンはそういったリーダーシップ論では語ることができない「友情」に基づく影響力を発揮しています。フレンドシップ・リーダーシップとでも言うのでしょうか、私はここに究極のリーダーシップを見るのです。

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新型コロナウイルスの影響でこれまでの当たり前が大きく変化していく時代に突入しました。組織の作り方も大きく変化していっていると思います。何が人をつなげるのか、それを今一度見直すタイミングかもしれません。キン肉マンは40年も前からそれを発信し続けているのです。

自分の真意を相手にベラベラと伝えるだけが友情の行為ではないということさ。それがわたしの提唱する真・友情パワーだ…(キン肉アタル)