キン肉マン・リーダーシップ論 ~マリポーサ編 前編~
キン肉マン・リーダーシップ論、まずはじめはマリポーサ編です。
マリポーサチームのメンバーを見てみましょう。
【先鋒】ザ・ホークマン
【次鋒】ミスター・VTR
【中堅】ミキサー大帝
【副将】キング・ザ・100トン
【大将】キン肉マンマリポーサ
イロモノ揃いのチーム構成ですが、ここにマリポーサの特徴が色濃く出ています。
5人の邪悪の神が運命の5王子にそれぞれ乗り移りますが、飛翔の神が見出したのは、盗っ人ジョージでした。ポイントは「強盗」ではなく「盗っ人」という点、つまり、力ずくで奪うのではないということです。目当てのものを手にすると、言葉通り超人的な跳躍力と敏捷性を活かして逃げ切りを図るのです。そのためには、冷静な観察力と的確な分析力、そしてなにより入念な下準備が不可欠となります。こうした幼いころからの盗っ人経験を、王位継承サバイバルマッチという舞台でも見事に応用したのがマリポーサです。
キン肉マンはプリンス・カメハメに伝説の7秒フォールで敗れて以来、シングルマッチでは負けなしです。いかにキン肉マンを倒すかが優勝への鍵であることは間違いありません。そのキン肉マンの最大の強みは、邪悪の神も恐れていた「火事場のクソ力」であり、これを最も警戒していたのがマリポーサです。
そこで、火事場のクソ力に対抗するためにマリポーサがとった手段は、力と力、技と技という正攻法のぶつかり合いを回避するというものでした。マリポーサのリーダーシップを考えるには、メンバーの構成と戦い方が肝になるので、少し詳しく見ていきましょう。
先鋒のザ・ホークマンは、超人であり、鳥人です。キン肉マンは、過去、動物要素を備えた超人との闘いではかなりの苦戦を強いられています。バッファローマンとの死闘はあまりに有名ですが、他にもアトランティス、スニゲーターとの試合をみても、キン肉マンは勝利しているものの、試合後には十分な休息を必要とするほどのダメージを残しています。そこに目をつけたマリポーサは、哺乳類、魚類、爬虫類で敵わなかったキン肉マンに対し、今度は鳥類を投入する決断をします。
マリポーサは、おそらくホークマンに、勝利までは望んでいなかったと思います。できる限りキン肉マンにダメージを与えて、次鋒のミスター ・VTRにつなげることが目的だったはずです。そして、ホークマンは見事にその役目を果たしました。キン肉マンはキン肉ドライバーで試合を決めた直後にふらついているのです。
次鋒ミスター・VTRは、ホークマンの試合中、キン肉マンの様子をリングサイドから撮影し、戦い方を研究していました。これもおそらくマリポーサの思惑通り。その作戦は素晴らしかったのですが、キン肉マンならではの機転と、ネオ・キン肉バスターから超人絞殺刑へつなぐという離れ業によって惜しくも敗れてしまいました。しかし、ミスター・VTRの本当の活躍の場は、この後の試合でやってきます。
続く中堅のミキサー大帝は大仕事をやってのけます。試合開始と同時に満身創痍のキン肉マンをパワー分離機に。そして、邪悪の神の力添えもあり、見事に火事場のクソ力を邪悪大神殿に封印することに成功したのです。キン肉マン自身はウォーズマンの助けにより、なんとか超人墓場から帰還しますが、封印された火事場のクソ力は発動しません。それでもキン肉ドライバーに持っていくあたりは、さすがキン肉マンといったところですが、ここでミスター・VTRです。状況予測装置の編集機能を使い、技がかかる瞬間をカットしました。これにより形勢逆転、ミキサー大帝がキン肉マンをマットに沈めたのです。
最高のタイミングで最高の仕事をしたミキサー大帝。敗れてなお、最大の見せ場をつくったミスター・VTR。それもこれもマリポーサの用意周到さゆえなのです。
さあ、残すはミートくんひとり!
あと一息だ!頑張れ、マリポーサチーム!
ということで、思いのほか長くなってしまいましたので、今回はここまで。
次回、後編をお送りします!