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キン肉マン・リーダーシップ論 ~フェニックス編~

キン肉マン・リーダーシップ論、魅力あふれるソルジャーチームに続いて登場するのは、シリーズ最後のライバルとなったキン肉マンスーパーフェニックスです。
王位争奪戦に参加したチームの中で最強の戦力を揃えていたのがフェニックスチームだったのではないでしょうか。そのメンバーを見てみましょう。
【先鋒】サタンクロス
【次鋒】プリズマン
【中堅】ジ・オメガマン
【副将】マンモスマン
【大将】キン肉マンスーパーフェニックス
※キン肉マンチーム戦のオーダーです。

ビッグボディチームとの一戦で、驚異の4人抜きを見せたマンモスマン。
アシュラマンの家庭教師サムソンティーチャーに棲みついた寄生超人サタンクロス。
超人を絶滅させかけたカピラリア七光線を放つプリズマン。
超人閻魔の命により参戦した完璧超人、超人ハンターの異名をとるオメガマン。
これだけの大物たちを絶対的な力でもってまとめあげようとしたのが、邪悪の神々の中でもリーダー格である知性の神が力を貸したキン肉マンスーパーフェニックスです。その実力とカリスマ性は他の追随を許しませんでした。有利な戦場を整えたり、闇討ちを図ったり、超人の存在を消してしまうことにさえも、一切のためらいがなく、勝利のためには手段を選びませんでした。しかし、それでも勝ちきることはできませんでした。

なぜか。

それは、マンモスマン対ロビンマスク、涙なくして語ることのできないこの一戦が象徴的に物語っています。真剣勝負の醍醐味を体現した試合、是非一度読んでいただきたいのですが、マンモスマンはフェニックスに裏切られた時のために、必殺技を隠していました。フェニックスの腹心とも言うべきマンモスマンでさえ、ずっと裏切られるのではないかという疑念を抱いたまま戦いに挑んでおり、残念なことにそれが現実のものとなりました。彼らの心は繋がっていなかったのです。それがフェニックスチームの敗因だったのではないかと、私は思います。

スポーツの世界では、この失敗を経験し、乗り越えた例があります。日本のお家芸と言われた競泳です。1970年ごろからの約30年間、日本の競泳陣は実力はあっても世界大会で満足な結果が出せないという状態に陥っていました。代表には実力のある選手が集められていましたが、日頃は競い合っているクラブの選手たち、コーチたちです。代表においてもその関係が変わらないまま、個別に情報を抱え、各々で戦いに挑み、そして力が発揮できなかったのです。

1996年のアトランタ五輪での惨敗を機に、一つの決断をします。代表チームではクラブの枠を取り払う意識をもつこと、すなわち、一つのチームとしての戦い方へとシフトさせたのです。それにより、選手同士、選手とコーチ、コーチ同士の関係が大きく変化していきました。選手・スタッフ全員が集まって円陣を組んでいる姿を目にしたことがある人も多いと思いますが、個人競技であってもチーム力、特に心のつながりを高めることで復活を果たした競泳日本代表。2000年シドニー五輪以降の活躍は広く人の知るところとなっています。

想像することも難しいほどの重圧の中、一人で立ち向かっていく選手と、同じ重圧を受けながら、心がつながった仲間の支えを受けながら向かっていく選手とでは、どちらが本番で力を発揮できるか。もちろん前者であるという選手もいるでしょうが、おそらくは多くが後者だろうと思います。仲間の支えが力になっている、それは選手のインタビューからも多分に感じられます。

フェニックスのような、力による、あるいはカリスマ性によるリーダーシップが、まったく機能しないということではありません。事実、決勝までコマを進めただけでなく、ほとんど勝利目前まで追い詰めています。ただ、フェニックス自身、互いに限界ギリギリでの勝負となったキン肉マンとの一戦において、心のつながりが決定的な差となり、最後の最後に勝敗に現れたこともまた見逃せないところです。

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新シリーズを読み進めると、超人閻魔、カピラリア七光線、オメガマンなど、フェニックスチームに関わる重要事項がいくつも出てきます。当時は思いもよりませんでしたが、フェニックスはよくこのメンバーを率いていたなと感心します。

といったところで、フェニックス編はおしまいです。
いよいよ次回、真打登場、キン肉マン編をお送りします。

自分の真意を相手にベラベラと伝えるだけが友情の行為ではないということさ。それがわたしの提唱する真・友情パワーだ…(キン肉アタル)