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【広報つの2021年11月号掲載】都農をめぐる冒険 Vol.5 ~「勝利」と「敗北」をめぐる冒険】

2021年9月19日(日)、九州サッカーリーグ最終戦が行われました。首位ヴェロスクロノス都農は、この試合で勝つか同点で優勝、敗れれば2位の沖縄SVが逆転優勝という大一番に臨みました。

拮抗した、紙一重の試合でした。

前半は、終了間際に都農が先制点を挙げ、理想的な展開となりました。後がない沖縄は、後半25分ごろから高身長の選手を都農ゴール前に集め、ひたすらにボールを放り込む作戦をとります。必死にはじき返す都農でしたが、この猛攻に耐え切れず同点に。そしてここからが沖縄にとってのハイライト、都農にとっての悲劇の始まりでした。守り切りたい都農に対し、より一層の圧力をかけて攻め立てる沖縄。残り2分を切った頃、ついに逆転を許してしまいました。残されたわずかな時間では同点に追いつくことができず、試合終了のホイッスルが虚しく鳴り響きました。

喜びを爆発させる沖縄と対照的に、都農の選手たちは誰もがうな垂れ、肩を落とし、何も言葉を発せられずにいました。沖縄にとって最も劇的な勝利は、都農にとって最も残酷な敗北でした。


スポーツは夢や希望や勇気や感動を与えられることがあります。と同時に、現実を突きつけられ、絶望を味わわされることもあります。興奮と歓喜に沸く試合もあれば、溜息と怒声が響く試合もあります。のめり込むほどに感情のふり幅が大きくなります。こうして人々はスポーツに熱狂します。

小さな町の小さなクラブの歴史がまた一つ、劇的な敗北と共に刻まれました。この結果に、悔しさや怒りや絶望を抱えた人もいるかもしれません。しかし、5年後なのか10年後なのか、この日の出来事をこの日とは違った感情と共に振り返る日がやってくることを私は知っています。こういった経験を繰り返し、乗り越えることで、クラブは強く、大きくなり、サポーターも熱く、逞しくなっていきます。サッカークラブとはそういうものです。

勝利の栄光だけではなく、残酷極まりない敗北を受け入れることもまた等しくスポーツの醍醐味です。この試合にはそれが凝縮されていたように思います。


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自分の真意を相手にベラベラと伝えるだけが友情の行為ではないということさ。それがわたしの提唱する真・友情パワーだ…(キン肉アタル)