すみれ荘ファミリア(小説)
概要
著者:凪良ゆう
発行日:2021年5月14日
発行者:鈴木章一
発行元:講談社
ストーリー
下宿すみれ荘の管理人を
務める和久井一悟(わくいいちご)は
気心知れた入居者たちと
慎ましやかな日々を送っていた。
そこに芥一二三(あくたひふみ)と
名乗る所移設化の男が引っ越してくる。
彼は幼い事に生き別れた弟のようなのだが、
何故か正体を明かさない。
まっすぐで言葉の飾らない芥と時を過ごすうち、
周囲の人々の秘密と思わず
一面があらわになっていく。
愛は毒か、それとも救いか。
本屋大賞受賞作家が紡ぐ家族の物語。
※本裏のあらすじ参照
感想
みんな相手に愛情をもって接してる。
でもそれが相手にとっては牙でもあり…
ゆがんだ愛、愛情の裏返しなんだと感じました。
すみれ荘に住んでいる人たち、
一人ひとりにスポットライトを当てながら
話が進んでいく構成。
みんながみんな個々に問題を抱え、
でも大好きだから憎み苦しみ、
相手を恨んでしまったり…
芥が現れてから
一見家族のような関係だったすみれ荘の人たちの
本当の姿が徐々にあらわになっていき、
歯車がずれていくのが目に見えて分かる。
それが怖いようで、でもどこか共感も出来る。
みんなの本当の姿は
どこにでもあるありふれた感情で
きっとみんなが思っているようなことも多い。
でもそれが度を越えて来たり、
相手をどうにかしたいって気持ちが芽生えると
すみれ荘の人たちの様に
なってしまうんだと感じた。
愛情ってとっても素敵な感情なのに
土を超えると脅威になってしまう。
そんな事を感じた小説でした。
ちなみに最後の「表面張力」の話。
すみれ荘のその後の話になっているんだけど
裏話が面白い。
そして想像して全部がつながっていると感じると
とても悍ましく感じました。
個人的には
自分の想像力を掻き立てられるので好きです。