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「友達がいない」問題はなぜ起こったのか


ニューノーマルが叫ばれる中、全国の多くの大学で授業がすべて遠隔授業に切り替えられ、4月から一度も大学に行かないまま夏休みに突入した学生が多いのではないかと思います。そんな中で起こったのが、

「友達がいない」問題

でした。
では、なぜ大学生、特に新入生は「友達がいない」事態に陥ってしまったのでしょうか。数日前にTwitterでこんなやりとりがありました。。(@ChikaST1はこのnoteの筆者です。)

この日から、ずっともやもやしていたわけです。
(あ、ちなみに、私自身はこうやってオープンに議論ができるTwitterの場が大好きです。)

ここで私自身の現在のプロフィールに少しだけ触れておくと、
①社会人を挟んで久しぶりに学業に戻ってきた大学院生(D1)
②大学で留学生向けの日本語授業を担当する非常勤講師
という2つの顔を持っています。
学生と教員、両方の側面から今回の遠隔授業を経験することになったわけです。修士とは異なる研究科に入ったため知り合いがほぼゼロで入学しました。しかし、学部、修士と学生を経験していますので、通常の対面授業の様子はある程度知っています。そして、急に4月に遠隔を指示されて実施した教員であるため、教員側の気持ちも少しわかります。

「友達がいない」問題と授業の質の担保が合わさって議論されているのをときどき見かけますが、これは分けて考えるべき問題だと思います。

その理由は、この2つのツイートに集約されます。

つまり、少なくとも対面授業が当たり前に行われていたころは、教員に求められるものは、授業の質の担保だけであって、学生と学生をつなげることは特に求められていたわけではなかったということです。

実際、大学生を経験した方ならわかると思いますが、教員から学生に一方通行に情報を伝えるような講義スタイルの授業であっても、大教室の授業であっても、近くに座っていた人や、その前の授業も同じだった人と仲良くなった経験ありますよね?一方、誰も知り合いがいない授業に静かに座って90分経つのを耐える、という授業もありましたよね。

ということは、授業内で「友達がいない」問題は、遠隔授業が実施される前から起こっていたということです。

しかし、上記のtweetにもある通り、対面授業の頃は、授業以外にも授業前の教室、廊下、食堂、サークルボックスなどなど無数に友達ができるきっかけとなる"場"がありました。だから、たとえ授業が一方通行で学生同士のつながりが一切なかったとしても、「友達」をつくることができたわけです。そうすると、授業外の"場"で出会った「友達」が授業内にもいるという現象が起こり、「友達と授業を受けている」と思っていたんだと思います。

そういった"場"が一切なくなってしまったことで、

遠隔授業になったから「友達がいない」

と捉えるようになってしまったんだと思います。

すでに述べたとおり、教員にはこれまで授業の質の担保のみが求められてきたわけですから、そのままの形を続けていたら学生同士のつながりを意識することがなくても、ある意味当然だと言えます。授業の質が保たれているのであれば、教員を「なぜ学生間のつながりを作らないのか」と攻めるのは少し違うように思います。急に遠隔授業を命ぜられ、とにかく授業の質を保つことに必死だったはずですし。

("授業の質"を保つには学生間のつながりは必須でしょ、という意見もあると思います。私もそっち派ですが、今までの大学教育で教員にそこが求められてきたわけではないので、この契機にそこまで攻め立てるのは便乗以外の何ものでもないでしょう。)

ここまでで、「友達がいない」原因は遠隔授業の中身ではない、ということを述べました。
ここで少し話を切り替えてみます。

対面授業の頃は無数にあった"場"を、今つくることができるのは誰か

こたえは、もちろん、「大学に関わっている人全員」です。教員だけであるはずがありません。しかし、教員ももちろん含まれます。いくつか例をあげてみます。

・学生
サークルや学科でこれまで実施してきたような新歓やイベントをオンラインで企画すれば、学生同士のつながりは自然と生まれるでしょう。デジタルネイティブですから、自由にやってしまえばいいと思います。これまでの新歓コンパが教授主催だったならば、学生主催でやっていいか聞く勇気もいるかもしれません。

・教員
春学期はツールに慣れ、オンラインでも同じ授業を提供するのに必死でしたが、秋学期は授業内で学生と学生のつながりを取り入れていくことを考えるときではないでしょうか。授業のはじめにLINE交換タイムを作るだけでもいいと思います。グループディスカッションを取り入れて授業内で会話を作れば尚よいでしょう。必要なのは"つながり"を意識すること、それだけです。

・大学職員
FDセミナーなどで、"つながり"を意識することを教員に訴えかけることができるのは、大学の運営側にいる方々でしょう。また、食堂のような自由に出入りできる場をオンライン上に作ることだってできるのかもしれません。授業やサークルなどそもそも持っている共通点を超えることができるかは、大学側の"場"の設置にかかっているのではないでしょうか。

このように"場"を作ることができる人たちはたくさんいます。ただ、その必要性に気づいたのが遅く、学生に春学期を「友達がいない」まま過ごさせてしまったケースが目立ってしまったのだと思います。

ニューノーマルですからね。

気づいた今は、やるしかありません。
「つなげようとする人」と「つながろうとする人」両方のバランスが重要だと思います。前者の力が必要だと感じた後者が多かったんでしょうね。

点と点をつないで、つながって、それがいつしか大きな輪になって。

今まで意識していなかった"場"を意識し、
その"場"を作ることができれば、オンラインでも偶然の出会いは生まれると思います。

うんうんと頷きながら読んでいただいた方、ポチッとしていただけると嬉しいです。

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