「ストーリーとしての競争戦略」はおもしろい!
診断士受験生におすすめ!
中小企業診断士の試験に合格したらいろいろ本を読もうと思っていました。その中の一つに楠木建さんの「ストーリーとしての競争戦略」があります。競争戦略では有名な本ですが今まで手に取ることはありませんでした。理由は楠木さんの独自の理論が解説されていると思い込んでおり、教科書的な理論を勉強している私にはまだ早く、試験後に読んだ方がよいと思っていたからです。しかし、その考えは完全に間違っていました。この本は競争戦略の教科書的な理論をしっかり踏まえたうえでストーリーに焦点を当てているとても勉強になる本だからです。読むのに少し時間がかかるので短期合格を目指している人は合格後でよいかもしれませんが多年度で無理せず試験に挑戦している人はぜひ読んでいただきたい本です。作者が伝えたいことや重要なことは何度も繰り返し別な角度から説明されているので覚えようとしなくても頭に入ってしまいます。(私はこのような本が大好きで久しぶりに覚えようとしなくても頭に入る体験をすることができました。読み終えたときにとても気持ちよかったです。)格段に競争戦略の理解が深まると思います。
作者:楠木建さんのことが好きなる
おそらく読んだ人は作者のことが好きになると思います。理由は作者のユーモアあふれる人柄が伝わってくるからです。一般的にこのような経営学の本は作者の人柄などは見えることはなく理論の説明だけで終始します。それは悪いことではなく伝えたいことが理論であれば当然です。しかし、楠木さんはこの伝えたいことにプラスアルファでユーモア(お笑い)を入れてくるのです。このユーモアは別に入れる必要はありません。しかし、あえて入れてくるところに作者の優しく他社と共感したいという人柄が見えてくるのです。この時折見せるこのユーモアはとても面白く一気に引き付けられ楠木さんのことが好きになります。例えば事例企業としてスターバックスを取り上げていますが当初立地戦略として銀座などのプレミアム立地に集中して出店して徐々に拡大して今では松戸や錦糸町にもあるという説明をした後であえてカッコ書きで(私が住んでいる鷺沼にはありませんが)と入れるのです。戦略の説明自体では完全に作者がどこに住んでいるかなどの情報は不要ですがあえてユーモアを入れるのです。実際は松戸との対抗意識も見え隠れする表現もあり、もっと面白いです。また、全体的には合理的だが部分的に不合理な戦略を競合他社が模倣するとうまくいかないという例えとして地方のコギャルメイクを取り上げて延々説明しているのですが最後に「少々コギャルの話が長くなってしまいました」と入れ、笑いを誘うのです。面白い!これは好きになるでしょ。