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「ジョーカー」英語セリフと名言集

混迷する社会に出現するカリスマを描いた「ジョーカー」から、心に刺さるセリフ、使える便利表現などを原文解説付きで紹介します。

crazy -狂気-

Is it just me, or is it getting crazier out there?
狂ってるのは僕か? それとも世間?

コメディアンを目指しアルバイトに精を出すアーサーでしたが、厳しすぎる現実に直面し、ソーシャルワーカーに悩みを打ち明けます。

セリフの中でアーサーは "crazier" と比較級を使っています。

「確かに俺はクレイジーだが、果たして自分だけだろうか? 周りはもっとおかしくなってきてない?」

と言いたいようです。

hope -希望-

"I just hope my death makes more cents than my life."
「この人生以上に硬貨な死を望む」

大事なネタ帳からの一文。

「筋が通る・意味を成す」を意味する "make sense" の "sense" と、お金の "cents" を掛けたジョークになってます。

  • I just hope my death makes more sense than my life.
    この人生以上に死によってより意味を成すことを望む

  • I just hope my death makes more cents than my life.
    この人生以上に死によってより多くのお金が入ることを望む

字幕では「高価」と「硬貨」を掛けてます。
上手い訳ですね。

stand-up -コメディアン-

Are you a famous stand-up yet?
コメディアンになれたか?

広告事務所のボスからの一言。

"stand-up" というのは、「スタンドアップコメディ」、すなわち1人で舞台に立って笑いを取るスタイルのことです。

日本のピン芸人に近いですが、体を張った芸ではなく、あくまでも話術が主体です。

happy -幸せ-

Penny: Happy?! 
Did you check the mail before you came up?
ハッピー、郵便箱は見た?

Arthur: She always tells me to smile and put on a happy face.
She says that I was put here to spread joy and laughter.
母はいつも言うんだ、「幸せな笑顔でいなさい、あなたは喜びや笑いを届けるためにいるのよ」って。

緊張すると笑いが止まらなくなるアーサー。
母ペニーはそんな彼を「ハッピー」と呼んでいます。

"put on" というのは何かを身に着けるときの表現なのですが、「態度や表情などを装う」「気取る・フリをする」という意味も持ってます。

この後のアーサーの変貌ぶりを予感させるセリフですね。

illness -病-

"The worst part about having a mental illness is…that people expect you to behave as if you don't."

「心の病を持つものにとって最悪なのは、、普通の人のようにしてろと訴えてくる世間の目だ。」

再びアーサーのネタ帳から。
ちょっと複雑ですが、基本形はよくあるパターンの

A is that B. (Aなのはthat以下のBである)

で、expect 以下が people を修飾していると考えましょう。

laughter -笑い-

It's funny, when I was a little boy and told people I wanted to be a comedian, everyone laughed at me.
ヘンだな、子供のころはコメディアンになるといったらみんなに笑われた。

Well no one is laughing now.
今は誰も笑わない。

観客を前にネタを披露するアーサー。これには、

  • コメディアンになるという夢を今は誰も笑わない

  • アーサーのジョークがつまらなくて誰も笑わない

の二通りの解釈がとれますね。

一つ目の意味だとジョークになってないですし、二つ目は

「コメディアンになったら逆に笑われなくなった」

という意味でジョークなのですが、どちらにしても思い切りスベッてますね。。

exist -存在-

Until a little while ago it was like nobody ever saw me. 
Even I didn't know if I really existed.
ちょっと前まで誰も僕を見てなかった。
僕は存在するのかなって。

All I have are negative thoughts. But you don't listen anyway.
I said, "for my whole life I didn't know if I even really existed."
But I do. And people are starting to notice..
もちろん落ち込んでばかりさ。でも何も聞いてくれない。
こう言った「僕はずっと自分が存在するのか分からなかった」
でも僕はいる。世間も気づき始めた。

アーサーの行動を理解する上でキーワードとなる言葉が "exist (存在)" です。

自分の存在が認められないことに対する怒りやいらだちは、以下のセリフにもよく現れてます。

Ugh, why is everybody so upset about these guys? 
If it was me dying on the sidewalk you'd walk right over me!
 I pass you everyday and you don't notice me! But these guys? 
Well because Thomas Wayne would cry about them on TV?

なぜ彼らに同情する?
僕が歩道で死んでも踏みつけるくせに!
いつもそばにいるのに誰も僕に気付かない。
だがあの3人はウェインが悲しんでくれた。

"walk over" には単に「上を歩く」だけでなく、踏みにじる・無視するといった侮辱的なニュアンスがあるんです。
さらに "right" を付けて強調しているあたりに根の深さを感じますね。

comedy -喜劇-

I used to think my life was nothing but a tragedy, but now, now I realize it's all just a fucking comedy.
人生は悲劇だと思っていた。
だが今わかった。僕の人生は喜劇だ。

この文には "but" が2か所で使われてますが、ひとつめの "but" は「~以外」という意味でとても重要です!

"nothing but a tragedy" 
「悲劇以外の何ものでもない」

ということです。

subjective -主観-

Comedy is sub, subjective, isn't that what they say?
All of you, the system that knows so much, you decide what's right or wrong.
What's real or what's made up.
The same way you decide what's funny or not.

喜劇なんて主観さ、そうだろ?
みんなだってこの社会だってそうだ。善悪を主観で決めてる。
同じさ、自分で決めればいい。笑えるか笑えないか。

笑えないジョークでひんしゅくを買ったジョーカー (アーサー)が強引に持論を展開しています。

この場合の "you" は特定の相手ではなく、もう少し一般的な社会全体を表したものですね。

loner -孤独な男-

What do you get when you cross a mentally-ill loner with a system that abandons him and treats him like trash?

心を病んだ孤独な男を、彼を捨ててゴミのように扱うシステムで欺くとどうなると思う?

これは Criss-Cross Jokes もしくは Mix and Match Jokes といって、

"What do you get when you cross A with B?"
「AとBを掛けると何ができる?」

という問いに対して、ユーモアで答えるというものです。
日本の謎かけに似てますね。

(例) What do you get when you cross a hamburger with a computer?
ハンバーガーとコンピューターを掛けると何になる?
A big mac!
ビッグ・マック!

ジョーカーのオチはぜひ本編で確認してください!

まとめ

底辺で苦悩する男のやりきれない思いが次第に社会に向いていく様を描いた「ジョーカー」。

アーサーの英語は気分によって明瞭だったり聞き取りにくかったりするのですが、スラングや省略も少なく、丁寧な表現が多いですね。

これは彼が言葉を大事にするコメディアン志望ということもあるのでしょう。

外見や振る舞いばかりが注目されがちな「ジョーカー」ですが、セリフの変化から彼の内面に迫ると、また違った楽しみ方ができますよ。


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