「ショーシャンクの空に」心に残る名言を英語セリフから解説
殺人容疑で収監された主人公アンディの絶望と再生を描いた「ショーシャンクの空に」から、 心に残るセリフや気の利いた使い回し、使えそうな便利表現などを原文解説つきで紹介します。
タイトルについて
「ショーシャンクの空に」の原題は
"The Shawshank Redemption"
です。
"Redemption"には以下のような意味があります。
買戻し、償還
キリストによる罪の贖い (あがない)
救済約束、義務
刑務所なのだから罪の贖いはあるにしても、この作品では他の意味にも通じるところが深いですね。
この作品、スティーブン・キングの原作では
"Rita Hayworth and Shawshank Redemption"
(刑務所のリタ・ヘイワース)
というタイトルでした。
リタ・ヘイワースは1940年代に活躍したアメリカの女優で、本作品では彼女を使った小道具がとても重要な役割を果たしています。
life sentence -終身刑-
“sentence” は日本語でも「センテンス」といいますが、これは単に「文章」の他に「刑事上の宣告」という意味もあるんです。
裁判官の最後のセリフ "So be it" は省略し過ぎで難しいですが、正確には "Let it be so that way" で「そうであってくれ」という意味になります。
blasphemy -神への冒とく-
ショーシャンク刑務所・ノートン所長の入所者への挨拶から。
"blasphemy" は神への冒とくという意味で、日常会話にはあまり出てきませんね。
"I'll not ~" の文章は、"have + 目的語 + 過去分詞" の典型的な例で、「~してもらう」「~させる」「~される」と訳すのがコツです。
直訳すると、「私は自分の刑務所内において、神の名をみだりに使わせはしない」
といったところでしょうか。
innocent -無実-
調達屋レッドとの会話から。
"fit in" は「合う・なじむ」と言う意味です。日本語でも「フィットする」と言いますね。ここでは強調を表す "right" がついて、「まさにピッタリ」という感じを出しています。
「ここではみな無実」というのは面白いジョークですが、それに絡んだレッドの告白が後半で出てくるので、注意して聞いてみてください。
salvation -救い-
アンディと聖書の教えについて会話を交わすノートン所長。
聖書を返しながら発した言葉 “salvation” 自体が宗教的な意味を持ってます。
実はこれがある伏線になってるんです。ぜひ本編で確認を。
normal again -正気に戻る-
会計知識を駆使してハドリー刑務官のご機嫌を取ることに成功したアンディ。
"You could argue" は「~ともいえる」「~という議論も成り立つ」と言う時の慣用句です。
内容について、話し手が必ずしも同意しているとは限りません。
この場合の "you" は聞き手一般を対象にしてます。
briefest of moments -その瞬間に-
"brief" は「短時間の」という意味ですが、最上級にすることで、「ほんのわずかの瞬間」とその短さ、はかなさが強調されてます。
"every last man" も "every man" を強調した言い方で、「一人残らず」「例外なく」という意味になります。
my friend -友として-
これはアンディ自身の趣味である石集め、さらには自分と外を隔てる刑務所の壁も念頭においたセリフでしょう。
アンディにとっての「石」とは、具体的な障害物や降り掛かってくる災いなどの比喩として象徴的な意味を持っています。
普段は多用するスラングを使わず真面目に問いかける様子から、レッドが本気で心配していることがわかります。
honest man -正直な男-
アンディが所長の不正蓄財に関わっていることを知ったレッド。
"I'll be damned." というのは強い驚きを表す表現です。
そして次のセリフに出てくる "a Rembrandt"。
レンブラントは光と影を駆使する手法で有名な画家の名前ですが、ここで注目するのはその前についている冠詞の "a" です。
実は "a + 人名" で、
「まるで (人名) のような人」
という意味になるんです。
今回のセリフのように、有名な人になぞらえて「すごい」と言いたいときの定番表現なので覚えておきましょう。
tradeoff -交換条件-
所長が不正に集めた金を「洗浄」するアンディ。
資金の出どころが分からないよう口座を移動することを「マネーロンダリング」と言いますが、ここではアンディ本来の洗濯作業とかけているんですね。
所長に加担する代わりに洗濯の重労働から解放されるのが「交換条件」というわけです。
get busy living -頑張って生きる-
ノートンにひどい仕打ちをされ、アンディが心身のバランスを崩してしまったのではないかとレッドは心配しています。
この時点では、レッドはまだアンディのある考えに気がついていません。
"Get busy living... or get busy dying." の意味がわかるのは、この後ある「事件」が起こってからになります。
hope -希望-
こちらのセリフに出てくる "ever" ですが、「一度でも」と動詞を強調するために使う、と覚えておきましょう。
"And no good things ever dies"
「良いものは一度だって死なない」
⇒「決して滅びない」
と動詞の die を強調しているんんです。
まとめ
以上、アンディとレッドの会話を中心に、使える表現や心にしみるセリフをご紹介しました。
刑務所を舞台にしているせいか、本作品には上品とは言えないスラングや文法間違いが多く出てきます。
一方、元エリート銀行員だったアンディの話す英語は丁寧かつ正確なもので、刑務所長のノートンに近いものがあります。
この話し言葉の違いが、刑務所内での彼独特の存在感を浮き彫りにしています。
よく聞いていないと気づかないようなアンディの皮肉や、聖書や石ころ、古本といった小道具の効果的な使い途など、言葉の面からこの作品を追いかけて行くと、新たな発見がありますよ。